マガジンのカバー画像

「ヨコハマメリー学」への誘(いざな)い

32
2018年12月12日発売の『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)をより深く読み解く上でのヒントをまとめてみました。 宮崎駿の映画『風の谷のナウシカ』を論じた『ナウシカ論』…
運営しているクリエイター

2019年10月の記事一覧

嶽本野ばらからメリーさんを考える

・切なくて哀しい少女の生き様 ・ロリータファッションをめぐる破滅的な筋立て ・美しいもの 人気作家・嶽本野ばらを語るとき、キーワードとなるのは上記のようなことがらでしょう。 嶽本野ばらは、澁澤龍彦の支援をうけた画家・金子國義のファンのようですが、確かに嶽本の耽美的な部分は澁澤色を感じさせます。また「少女(嶽本は「乙女」と呼んでいますが)」というキーワードは、「アリス」をテーマの一つにした金子國義的でもあります。 この「身体性に抗うような観念的なフォルムのお洋服を身に纏い

映画「ジョーカー」と「ヨコハマメリー」は同じ闇を抱えている

「問題作」 「模倣犯が出るのでは?」 「救いがなさ過ぎる話」 「異常な犯罪者が、その動機や言い訳を延々釈明するだけの内容」 などさんざん問題視されながらも、同時に主演するフォアキン・フェニックスの高い演技力や圧倒的に完成された映像美で、ベネチア国際映画祭の金獅子賞を獲得した映画「ジョーカー」。 この映画に関する批評や口コミは、溢れるほど書かれています。 この映画をみて、【メリーさんとジョーカーは非常によく似ている】と感じました。 『白い孤影』の第3部や note の【