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健忘

電話が鳴る

昨日の死者は光線を放つ

大きな二つの目が私を撃って

腐り果てる前に わたしから音を奪う

そこでは考古学者たちが飛び跳ねながらわたしを笑う

新しくできた地質時代を祝いながら

視線が霞む 西陽が私を刺す 

私は昨日に置いて行かれてしまった

文字たちが滲む

鳴き声が洩れる

誰かが忘れた

私は笑っている 薄く濁っている  

そこで鈍く光って 底に沈む

静かに花が咲く 

あなたが笑っている

私は笑うのをやめる

何かを忘れる

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