新学術領域合同シンポジウム「ソフトロボット学と発動分子科学の境界」(2020年11月14日)聴講
はじめに
新学術領域「ソフトロボット学」の成果報告会をウォッチしていたら、なんと「発動分子科学」と合同シンポジウムを開催するニュースを発見した。
さっそく、オンライン聴講(無料)を申し込んだ
ソフトロボット学HP
発動分子科学HP
新学術領域合同シンポジウム「ソフトロボット学と発動分子科学の境界」
10:00-10:05 開会の挨拶
藤枝俊宣(東京工業大学)
「ソフトロボット学」と「発動分子科学」は、ともに「アクチュエーション」がキーであり、ソフトロボット学は「小さなものを作りたい」、発動分子科学は「大きなものを作りたい」という欲求を持っていました。
両領域の領域代表者がともに「東工大」であることから、「一緒にするとおもしろいんじゃない?」ということになって合同シンポジウムが実現しました
10:05-10:20 新学術領域「ソフトロボット学の創成」
総括 鈴森康一(東京工業大学)
ソフトロボット学は、従来の固いロボットの「固い」「精密制御」「部分の干渉を避ける」に対して「柔らかい」「良い加減な制御」「全体を一つとみなす」という、正反対の考えを持った学問です
10:20-10:35 新学術領域「発動分子科学」
総括 金原 数(東京工業大学)
分子が、分子の鎖を伝って移動するなど、分子が能動的な運動を創発する仕組みを作る。エネルギー源は生物のエネルギーの源であるATPを想定している。
現在は、DNAを自由自在に設計できるようになっており、DNAで骨格構造を作成し、そこにさまざまな分子をくっつけることで多様な働きをする分子構造を構築することができる。
10:35-11:00 「ロボット工学の基礎」
遠藤 玄(東工大)
従来の固いロボットについて、ロボット工学の基礎(センサ、アクチュエータ、運動制御)について基本的な考え方の紹介
11:00-11:25 「アクチュエータの基礎」
鈴森康一(東工大)
科研費特定領域研究「次世代アクチュエータ」の研究成果を踏まえ、電磁モータ以外の新原理アクチュエータを網羅的に紹介
フィルムアクチュエータにも言及
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf
11:25-11:50 「分子と超分子の基礎」
金原数(東工大)
分子や超分子は、自己修復・自己適応能力を持つ。
以下が、分子や超分子のキーワードとなる
1.Active
2.Intelligent
3.Self-organizing
発動分子科学は生物・化学・物理wピュウゴウした学問領域であり、
巨大分子・異方的環境・集積化を達成する
エネルギー源にATP(エネルギー変換効率100%)を活用することにより、エネルギー革命をおこす
Chirel Triphemyleneという分子は、なぜか自己組織化を促す
11:50-12:15 「タンパク質の基礎」
飯野亮太(分子科学研究所)
生命は、非平衡系(安定状態にならない)であるという根源的な特長を有している
生物・・・情報とモノは一体化(数十nm必要)
DNA・・・情報と物質の相互やりとりが可能 Y字DNA結合でゲル化できる→DNAカプセルを作成可能
タンパク質の構造コンプライアンス→特異値分解により、柔↔軟を解析
13:15-15:20 各領域の研究紹介セッション①
ソフトロボット代表 (座長:難波江裕之)
「生物と機械の融合デバイス」
田中 陽(理化学研究所)
「機械刺激で自己組織化するバイオソフトロボット」
清水正宏(大阪大学)
「マイクロマシン「線虫C. エレガンス」集団を操作する」
杉拓磨(広島大学)
「やわらかいロボットのボディープラン」
新山龍馬(東京大学)
「自律駆動するやわらかい機械」
前田真吾(芝浦工業大学)
15:30-17:10 各領域の研究紹介セッション②
発動分子科学代表 (座長:佐藤浩平)
「小さな自律型ロボットの開発に向けた生物分子モーターの再デザイン」
古田健也(情報通信研究機構)
「生体発動分子の分子動力学シミュレーション」
池口満徳(横浜市立大学)
「高速原子間力顕微鏡でタンパク質の一分子動態を可視化する」
内橋貴之(名古屋大学)
「生体分子機械の集団運動制御」
角五 彰(北海道大学)
17:10-17:25 総合討論
鈴森康一教授:階段を上って増加する位置エネルギーはわずかなのに、ロボットはその数百倍のエネルギーを消費しないと階段を上ることができない。こんなの絶対におかしい。
生物のエネルギー効率の良さをロボットに取り入れることができたら革命が起きる
金原数教授:我々、一つ一つの分子は力が小さくても数百万個集めると筋肉のような大きな力が取り出せるのではないかと考えています。そのためには自己組織化で一気に数百万の分子を組み立てる技術が必要になります
我々は大きなもの、ソフトロボット学は小さなものを目指し、双方の領域が重なって刺激し合いながら大きな人工生体機構を創成できれば良いなと考えました
17:25-17:30 閉会の挨拶
藤枝俊宣(東工大)
本日は非常に有意義なシンポジウムになったので、引き続き合同シンポジウムを開催していきたい
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