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「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」

近代戦争史は好きなジャンルなのでこの本も気軽に読めるかなと思ったけど、あくまでも戦時の事例を元に研究、分析をする内容なので学術書に近いイメージをもった。
#学術書というのをまともに読んだことなので違っているかもだけど。😓

今流行のChatGPTさんに要約をお願いすると

(前半は省略)
日本軍の組織に焦点を当てながら、組織の特性や構造が失敗にどのように影響を与えるかを深く分析しています。

ChatGPT

という回答が得られた。これは読んだ感想とも近い。
以下つらつらと引用しながらコメントしていく。やや消化不良なのでまとめきれてない感じが出てる。。。💦


序章:日本軍の失敗から何を学ぶか

組織としての日本軍の失敗を現代組織にとっての教訓とすることが本書の目的である。
#日本軍と戦後高度経済成長期の組織や日本経済の失われた30年を招いた現代の組織との比較、考察ができそう

軍隊とは合理的、階層的、官僚制組織の代表的なもの。
日本軍には合理的組織となじまない特性があり、それが組織的欠陥となって大東亜戦争での失敗を導いた。
平時においては日本軍の組織はほぼ有効に機能していたが、戦争という不確実性が高く不安定かつ流動的な状況になると有効に機能しなくなった。
#これは現代の会社組織にも言えて、不確実性が増している現代において世界を相手に上手く立ち回ることができなくなってしまったため、海外の企業に遅れを取ることになった

一章:失敗の事例研究

>ノモンハン事件
陸軍中央と関東軍とのコミュニケーションが有効に機能しなかった。
情報の受容や解釈に独善性がみられた。
過度に精神主義が誇張され、意見が対立すると常に積極策が慎重論を押し切り無謀な作戦を選択して敗退を繰り返した。
関東軍は満州の統治機関として最適化されていたので、ソ連という強大な敵を相手にする戦闘という新しい環境への変化に首脳部が対応できず自壊した。
下士官兵は頑強で勇敢、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが高級将校は無能。
#経営と現場の連携がないことで現場の独走を許しそれを経営が統制せずに放置する。それではうまくいくわけがない

>ミッドウェー作戦
作戦目的の二重性や部隊編成の複雑性に加えて、不測の事態が発生した時、それに瞬時に有効かつ適切に反応できなかった。
日本側の作戦はミッドウェー攻略自体ではなく米機動部隊を誘き出して殲滅することが主目的であったが、その意図を十分に現場司令官にへ有しなかったため、先験的判断を持たせてしまうことになった。
一方、米側は提督が日常的に部下との価値や情報の共有及び作戦思想の共有に努めており意思疎通がが取れていた。
#この戦いにおいて日米両軍の動きが間逆なのが対照的だった。目的の明確性、意思疎通の円滑さは何よりも重要であり、当初戦力的には有利だった日本海軍の実力を発揮できずに敗北となったのも仕方ない

>ガダルカナル作戦
戦略的グランドデザインの欠如。陸海軍の考え方の相違から何故ガダルカナルを奪還しなければならないかの意思共有がなく、統合作戦も行われなかった。
戦い方においても米軍は活発な無線通信システムを活用して陸海空間で正確な情報の共有ができ、統合的組織的戦闘ができていた。
一方日本軍は陸海軍がバラバラの状態で戦い、統合的組織的戦闘ができなかった。
粗雑な戦略であっても第一線の部隊は練達の戦闘技術によりこれをカバーして戦果を上げていたが、その経験のフィードバックが作戦司令部にはされなかった。(第一線からの提案は否決され、大本営のエリートも現場には出なかった)
その結果、環境変化への果敢な対応策も出てこなかったため白刃のもと、全軍突撃を繰り返すという戦術しかとれなかった。
#いわゆるセクショナリズムのため各部署が連携せず個別の対応をしていてはプロジェクトもうまくいかないのは当然

>インパール作戦
合理性を欠く作戦は人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人の突出を許すシステムにより実施された。
作戦構想の杜撰さがあったにも関わらず、体面や人情が軍事的合理性を凌駕した。
作戦目的について現地の第十五軍と上級司令部との間の意思の不一致があった。
コンティンジェンシー・プランもなく、適時の態勢転換を図れずに作戦中止が遅れることで多くの犠牲者を出した。
敵戦力の過小評価、それまでの過去の戦闘における失敗からの学びもなかったことが要因。
#実施しなくて良かった作戦。過去の教訓からの学びもなく、敵を過小評価し、さらに人情という名の人間関係重視、組織内融和の優先した結果、杜撰な作戦を強行し失敗した。学びがないこともさることながら人のメンツ、思いに組織の合理性が失われたというのはいかにも日本的。和を大切にするとでも言えばよいのか

>レイテ海戦
参加部隊が任務を十分に把握しないまま作戦に突入、統一指揮不在での失敗。
作戦の立案者と遂行者の間に戦略目的について重大な認識の不一致があった。
事前の戦闘での航空機の大量喪失という状況変化への作戦自体の戦略不適応(目的の明確な指示、航空援護や各部隊策応への徹底した措置もなし)のために現場が戦略適応を強いられる結果となり、対空防衛のない水上部隊が特攻をする羽目に。
そもそも機動部隊を囮にし、レイテ湾に突入する一艦隊を潰すという異常な作戦自体に無理があった。
#ここにおいても司令部と現場部隊の作戦に対する共通認識を持たず、情報連携の不備、そもそもの作戦自体の無謀さも相まって勝てない作戦だったことは明白

>沖縄戦
本土上陸を遅らせるための戦略持久か航空決戦なのか作戦目的が曖昧。
大本営と現地の第三十二軍の戦況及び作戦への認識のずれや意思の不統一。
第三十二軍の大本営、第十方面軍(上級司令部)への不信感。
天号作戦の実施には沖縄本島の航空基地の確保が必須であったが、米軍侵攻に対して第三十二軍はほとんど無抵抗であった。
本来は上級司令部が作戦準備の段階で第三十二軍に対して強力な指導を行う必要があったが、戦闘勃発後に統帥干渉になる作戦指導をしてしまい、より混乱を招いた。
#上層部の現場への無理解による行動が引き起こした不信感。それに加えて事前の指導が曖昧で戦闘開始後に鑑賞してくる。一番やってはいけないこと。現場からすれば「お前が自分でやれ!」だよね

二章:失敗の本質

~6つの作戦に共通すること~

>あいまいな戦略目的
目的の単一化と兵力の集中は作戦の基本だが、主観と独善から希望的観測に依存する戦略目的が戦争の現実と合理的論理によって破壊された。
#ゴールがはっきりしないのに実力を発揮などできない

>短期決戦の戦略思考
日米開戦後の確たる長期的展望はなく、一過性の攻撃先行。
攻撃重視、決戦重視の中で防禦、情報、諜報の軽視、兵力補充、補給、兵站の軽視により作戦遂行に支障をきたした。
#攻撃は最大の防御にも限度というものがある

>主観的で「帰納的」な戦略策定
日本軍の戦略策定は一定の原理や論理に基づくというより、情緒や空気が支配する傾向がある。
そのため科学的合理性が精神力や駆け引き的運用に屈する。
主観的な積み上げによる戦略策定をしてそれに固執し効果的な戦略の修正を行わなかった。
#自省を行わなければ成長はない。この辺が本質なのかも

>狭くて進化のない戦略オプション
猛訓練による兵員の練度の追求は必勝の信念という精神主義とあいまって軍事技術の軽視につながった。
戦闘上の練度の高さによるオペレーションの戦略化はある程度の範囲では通用するが、レーダーなどの技術の進化には対応できない。
戦略オプションが狭いにもかかわからず、状況が変化した際のコンティンジェンシー・プランをも軽視。
視野の狭小か、想像力の貧困化、思考の硬直化により、戦略の進化、戦略オプションの幅と深みを著しく制約した。
#気合で何とかなるのは個人戦においてくらいなのでは?一騎当千とは良く言ったものだが、そうそう無双できるわけではない

>アンバランスな戦闘技術体系
陸軍の兵器、戦闘技術の水準は日露戦争や第一次大戦の段階にとどまるものが多い。
他方で大和や零戦などの一部兵器は世界一の水準であった。
ある部分は突出してその他は絶望的に立ち遅れる一点豪華主義により、総合的技術体系が求められる中バランスを欠き性能を発揮できなかった。
また標準化、大量生産の遅れにより生産力の差が戦力の差を広げた。
更に無線システムの貧弱さによる部隊間の連携不足やロジシステムの遅れによる補給不足による失敗などがあった。
#個別最適を優先。職人魂としては良いのかもしれないが、組織としては弱い

>人的ネットワーク偏重の組織構造
官僚制的組織階層がありながら強い情緒的結合と個人の下剋上的突出を許容するシステムが共存していた。
根回しと腹のすり合わせによる意思決定が横行。
対人関係が最も重要であるという日本的集団主義により、組織目標と達成手段の合理的体系的な形成及び選択よりも、組織メンバー間の間柄に対する配慮が重視された。
#人とのつながりを大事にするは良いのだが、馴れ合いは意味が違う

>属人的な組織の統合
陸海空三位一体作戦についての陸海軍による共同研究はほぼない。
陸軍はソ連を海軍は米国を仮想敵国とみなして戦力を充実させてきた歴史がある。
大本営は陸海軍を策応させる組織であったが、根本的な対立を解消することは難しく、戦争指導の大綱でも両者の妥協という形となり、一貫性、整合性を持たせることができなかった。
#その結果各戦いにおいて陸海軍の策応協同は実現しなかった。セクショナリズムの典型

>学習を軽視した組織
精神主義による敵の過小評価と自己の過大評価。
各戦いによる失敗した戦法、戦術、戦略を分析し、その改善策を探求し、それを組織の他の部分にも伝播していくことはなく、同じ失敗を繰り返した。
また情報の共有も欠如し、作戦を立てるエリート参謀へ現場からのフィードバックがなく、同じような作戦を繰り返して敗北し続ける。
教育機関において学生にとって問題は絶えず教科書や教官から与えられるものであって目的や目標自体を創造したり変革することは求められなかったし、許容されなかった。
方法、手段においても同様で模範解答があり、模範解答への近さが評価につながった。
#失敗から反省をせず何も学ばないことが一番の問題。謙虚さもなく他責思考。また不確実な状況下で決まった答えがあるわけもなく、それに対応できるような人材が育たなかった

>プロセスや動機を重視した評価
戦闘結果よりリーダーの意図ややる気が評価された。
積極論者が失敗しても人事当局は大目にみた。
信賞必罰における合理主義を貫徹できないため、評価においても情緒主義が反映された。
#結果が伴わないのに「がんばりました」で評価される。頑張り自体が悪いということではなく結果を追求しないことが問題

三章:失敗の教訓

日本軍の戦略、戦術の原型が組織構成員の行動様式にまで徹底して高められたため、適応しすぎて特殊化した。
陸海空ともにその戦略原型が西南戦争、日露戦争の頃より変わらずにあり、
資源の蓄積もそれに合わせたものになったため、近代的兵器、装備は十分に整備されなかった。(白兵第一主義、大鑑巨砲主義)

組織特性として陸海空を一元管理する統合参謀本部を持たなかったので組織的な統合が弱かった。

学習の面では戦略、組織特性、成果の一貫性を通じてそれぞれの戦略原型を強化したという点では徹底した組織学習をおこなった。
しかし既存の知識を疑い、新たな知識を獲得することができなかった。(学習棄却に失敗)

日本軍は異端者を嫌い、組織の中枢から遠ざけたため、イノベーションがおこらなかった。
組織の末端の情報、問題提起、アイディアが中枢に繋がることを許さなかった。

ガダルカナル作戦をはじめとする過去の失敗の蓄積、伝播を組織的におこなうリーダーシップもシステムも存在しないし、緒戦の勝利のような成功の蓄積も不徹底だった。
#過去の栄光に拘る、横のつながりがない、新たな知識の獲得をしなない、失敗の蓄積も成功の蓄積もしない、イノベーションもおこせないでは、激しい環境の変化に対応できることはできない。大企業や行政官庁はこの傾向が強い

戦後の起業組織において従来の権威の否定が敗戦によって起こり、日本軍の優秀な下士官、兵が若気経営者として活躍した。
しかし彼らには軍隊経験しかなかったのでその経験が活用され率先垂範、一致団結という行動規範が企業経営に引き継がれた。
高度経済成長期には大きなブレイクスルーより一つのアイデアの洗練になる製品ライフサイクルの成長で家電製品、自動車、半導体などの分野で日本企業が強みを発揮できた。

ただ組織としては、、、
・明確な戦略概念に乏しい
・急激な構造的変化への適応が難しい
・イノベーションを生み出すことが難しい
・経験から学習しない
・組織間の統合の負荷が大きい
・意思決定に長い時間を要する
・集団的思考により異端の排除がおこる
といった特徴がある。

#要するに戦前戦中の日本軍と現代の会社組織にそれほどの差異はなく、過去の経験を活かしきれていないことが現在の日本経済の低迷にも繋がっているという感じか

このVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代にどのように対応したら良いのか?
もはや会社組織に依存するのではなく、個人が自ら学び変化の大きな時代に柔軟に対応できるようなスキルを身に着けていくしかない。
その結果の集団としての組織であれば上手く対応できるのではないだろうか。

なんかまとまったようでまとまっていない感じ。多分消化不良なのだと思うので忘れた頃に読み直すとしよう。。。

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