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きょうだい映画『ふたり〜あなたという光〜』感想①※ネタバレ注意※

やっと見ました、きょうだいが主役の映画「ふたり~あなたという光~」
公式HP:https://www.movie-of-siblings.com/

予告編はこちら

あらすじ
障がい者(精神障がい)の妹・希栄がいる姉のぞみ(中西美帆)は、 恋人である崇(熊木陸斗)に希栄(納葉)の存在を打ち明けられていない。
ある日プロポーズをされたことをキッカケに希栄の存在を知らせたところ、崇は困惑してしまう。
そこから 障がい者家庭特有の悩みに次々と直面し、“普通”の人生とは程遠い自分の人生に絶望し、のぞみは崇との結婚を諦めようとする。
ところが、あることをキッカケに改めて自分の人生を考え直していく。

日本初だそうです、「きょうだい」に光をあてた映画。
結婚して、子どももいる私にとって、この映画を見る事は、やっと出来たカサブタをはがすような感じで、正直・・・怖かったです。

でも、おなじきょうだいの方が渾身の力で作られた作品。
こうやって声をあげて、実際に動いている方の活動を見てみたい。

そう思い、カサブタを恐る恐る端からピリピリとめくってみた感想をここに記録しておきたいと思います。

是非、見てほしい人

この映画、途中、辛くて最後まで見れない人もいると思います。
恋愛・結婚で嫌な思いをした、きょうだいの方。
フラッシュバックして、複雑な気持ちになるかもしれません。
無事結婚できた私でも、感情移入してしまって泣きました。
自分の気持ちに正直に、見たい気持ちになるまで待った方がいいと思います。

私が見てほしいなと思ったのは,きょうだいの親御さん。
仕事に逃げて母親にこどもの面倒はすべて押し付けてきたお父さん。
障害児のケアが人生の中心になってしまってるお母さん。
まだ子どもが小さいご両親。
深い溝が出来る前に、是非きょうだい児の気持ちをしってほしいなと思います。

きょうだいに立ちはだかる恋愛・結婚の壁

※ここからネタバレあり※

最初から嫌な予感がしました。

主人公の女の子は、鼻歌を歌いながら夜、家まで歩いて帰っています。
家に着くと、警察に連れられて妹が帰ってきている所だった。
そして落ち着いたころ合いを見計らって結婚すると母親に打ち明けます。


私は以前、結婚を打ち明けた時の親の反応エピソードをtwitterで見かけたことがありました。
(だいぶ前で、どの方だったか、失念してしまいました。無念)

開口一番に「○○(障害児)の事は話しているの?」と聞かれた。
こんなおめでたい時でさえも、私の事を一番には考えてくれないのか。
素直に「おめでとう」も言って貰えないのかと笑ってしまった。と。

あと、別の方だったと記憶しているのですが、

父親に「どうして結婚を許してくれたの?」と聞いたところ
「○○(障害児)を受け入れてくれそうだったから」と答えられたそうです。

自分の人生で一番と言っていいほどの大きなイベントなのに、親はやっぱり障害児基準なのが悲しかった。「あなたの事を大事にしてくれると思ったから」と言ってほしかったと。

私たち家族は生活のすべてが障害児基準になりがちです。
恋愛・結婚・出産という大イベントにも常に不安・心配が付きまといます。

私はこの映画をみていて15分ほどたたないと、主人公の名前がわかりませんでした。
何故なら、妹の名前は連呼されていたけど、姉の「のぞみ」という名前はめったに呼ばれないからです。
この「2番目感」、わかりますでしょうか。

きっと、お母さんは後で取り繕うように「おめでとう」は言ったんだと思います。
でも、一言目の「キエの事はどういってるの?それで結婚ができないかもしれないでしょ」という言葉は、この後、無事結婚できたとしても忘れられないでしょう。

私が感じた違和感

前半のシーンは私の中で色々と違和感がありました。
それは

1.プロポーズされた時点でまだ自分の家族の事を打ち明けていない事
2.そんな状況なのに、鼻歌を歌ったり、あまりにも能天気なように思えた
3.母に報告した際に、自分の将来の事をあまり考えてなさそうに見えた
4.両親はきょうだい児の結婚の可能性を全く考えてなかったのか

という点。
まぁ、映画だから!と言われてしまったらそれまでなんですが・・・

後半になるにつれて、妹キエの普段の行動の様子がわかってきます。
一人で外出してしまい、戻ってこない事もある為、家族総出で探しに行ったり、警察のお世話になったりしています。

そんな家族の状態を打ち明けないまま彼氏と付き合うのはそうとう演技力が必要ではないか。
前日夜中に捜索してへとへとになった次の日にデートの約束があったとしたら隠し通せるのだろうか。
実際、親ともめた後、デート中、思いつめた表情をしていて崇に「何かあったの?」と聞かれていますし。

そして、結局何も言ってくれない彼女に違和感を感じなかったのだろうか。
本心を話してくれてないと感じる彼女にプロポーズする?
のぞみは気丈に振る舞ってたのかな。

きょうだいなら誰しも一回くらいは「好きな人にカミングアウトして拒絶されたらどうしよう」という不安がよぎることがあると思う。

打ち明けないまま彼氏と付き合っていて、プロポーズされたら。

私なら、本当に申し訳ない、という気持ちになって、もう鼻歌どころではないと思う。
嬉しいけれど、これから待ち受けている色々な心配事が一気にドドドドドと押し寄せ、私なら、すぐさま泣いて暴露してしまいそう。

のぞみは、結婚にあたり、今後、彼氏・彼氏の両親・親族まで巻き込んだ話になっていくという事は想像したことなかったのだろうか?
いや、きっと考えたに決まってる。

のぞみは「ありがとう」とプロポーズを一旦受け取り、今後について母親に相談しよう、喜んでくれるかな、という気持ちでいっぱいだったのかもしれない。
うーん、そう考えると、やっぱり開口一番の母の言葉は本当に辛い。

そして、何年付き合ってたのか不明だけれど、年頃の女の子がいる家庭で、将来自分の子が結婚することになったら、と考えたりはしないものなのだろうか。
「キエがいるから、きっとこの子は結婚できないだろう」
そう思ってたのだとしたら、本当に失礼な話しだ。

そこまではっきりと思ってたなかったとしても、キエの事で頭がいっぱいいっぱいだったのだろうなと思う。

家族だけで面倒を見るのは、やっぱり無理がある

幻覚・幻聴の症状が出て、ハサミをもって暴れそうなキエをおさえながら、逃げなさいと叫ぶ母。
慌てて、仕事中の父に連絡すると「そんな事で電話をかけてくるな」と切られてしまう。
ショックを受けながらも、母を助けるために戻ると、手を傷つけられて流血している母。
何とかなだめようと妹に一生懸命話しかける、のぞみ。

私の両親の世代(60~70代)は、夫がバリバリ働いて、妻は専業主婦というのがスタンダードだったと思う。
障害児を育てながら、女性がフルタイムでオフィスで働くなんて、今の時代でもまだ難しいと思う。

のぞみの父親も、昔のよくありがちな、「家族の為」を盾にした仕事人間のようだ。
ワンオペ育児をしていたら、気が付いたら外に出てしまっていて、行方不明になってしまう。
そんな環境がもう20年続いているのだ。そして、これからいつまで続くのか。
母親の自由は、どこにあるのだろう。
家族だけで抱え込まずに、家族を支える社会制度や支援してくれる人と今はつながって、自分のゆとりを持って!なんてさんざん言われているだろうけど、果たして今子育てしている方には、ちゃんとそういった支援が行き届いているのだろうか。

顔合わせのシーンや、相手の親の反応など、色々思う所がまだまだ沢山ありました。長くなりそうなので、今日はこのへんで!



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