お化けらしい姿

らゅ家のシェアハウスがある某県に台風が接近していて大雨で外に遊びに出掛けることが出来なかった
窓を閉めていても強風でバリバリ音を立てながら
激しく揺れる窓。どこかに穴が空くのも当然で
雨漏りしている場所もあった。

夜の暗い時間に停電して電気も使えず
マスターもパソコンが使えずに作業を断念した。
雷が鳴ってない分、静かに眠れるかなと考えたが
強風でバリバリと音を鳴らしながら揺れる窓が
雷よりもうるさく寝付けなかった。

暗闇の中で壁や手すりを頼りにして
廊下を歩いていく。床の軋む音もいつもより酷い。
そんな時に突然バアッと驚かせてくる田中くんが
目の前に現れてマスターは腰を抜かしてしまった。
腰を抜かしたのがマスターだと知った田中くんは慌てながら謝って
「実はニトロを驚かせようと思って」と話した。

懐中電灯の光を下から当てて目を見開く驚かし方は
誰でもやるような事だと思ったけど…
まさか、この歳で誰かにやられると思ってなかったでも、田中くん達にとっては普通の事なのかも。
幽霊なのに人間らしい暮らしばかりしてる方が
逆におかしいのかもしれないね?
悪霊の割には人に危害を加える事もないから。

楪「ばあ!!!」
「わぁぁっっ!」
ヤンデレ子「ばあっ!」
「わぁっっ!!」

楪「やっぱこういうの僕には合わない気がするな〜、幽霊だからした方がいいのかなと思ったけどね。僕には人を驚かせるのは難しい…」

田中「全員で驚かしてたら誰も驚かなくて意味無いじゃん。なんで邪魔するの」

田中くんの持ってた懐中電灯で辺りを照らすと
続々と部屋から出てきて忍び足で近づいて
驚かそうとしてくる幽霊達が何人もいた。
幽霊らしい事が出来るのはこの緊張感のある夜だけ
みんな、もしかして同じ考えしてるのかも?

楪「キリが無いから今日はお化け屋敷やろっか!」
デレ子「隣のシェアハウスの人達を呼んで驚かしてみよ!マスターはなんだか疲れてるし!」
楪「よーし!それじゃあ早速準備だー!」

台風で何も出来なくて暇だからと始めたお化け屋敷
低クオリティかと思いきや本物の幽霊達による
身体を透けさせる技や飛行する技を使いこなして
普段は見ないくらいの笑顔で楽しんでいた。
雨でジメジメして強風で外は滅茶苦茶になってると思うけど、これはこれで面白い記念日になるかも。

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