本当は違うんでしょう?

らゅ家 死人組シェアハウスに一通の手紙が届く。
送り主に「薬診ニコラ」と書かれており、どうやら薬診ニトロのお姉さんのようだった。
死人組シェアハウスで暮らして4年が経ったニトロ
縁を切ったはずのお姉さんからの手紙には
怯えていたようだった。それも、そのはず
ニトロはニコラと母に暴力を振るわれていたからだ

そんな姉からの手紙にはこう書かれていた。

「最初は目を疑ったの。ここにいると思ってなくて、てっきり地獄で苦しんでるのかと思ったら
そうでもなくて逆に死後の方が生前よりも楽しそうにしてる。でもね、私は死んでも苦しいの。貴方には友達がいるからいいでしょう?
1人だけ仲間外れにされた時、周りの人が楽しそうに話してる時に自分は独りだって思ったんでしょう
でも、貴方が感じたその苦の時間は少しだけ。
私の方が倍の時間、そう思ってきた。
どんなに優しくしても、優しくしすぎて人は離れていく。私はそうだった。
あの人ならいつでも優しくしてくれるからいいやとか、そう思われていた。
嫌われる事や相手にされない事も苦しいけど
優しくしていて無視される事は1番辛かった。

私が母親に命令されてした暴力も本当はしたくなかった。でも、やらなければ母親に捨てられる。
貴方を選んだところで知恵も無ければお金も無い
母親と暮らしていた方が生活が出来る。
大人になってから母親とも縁を切ろうと思ってたのに、貴方は薬を飲んで死んでしまった。
それで母親の暴力は私に傾いたの。
それで、私も苦しくて死んでしまった。

どんなに楽しい記憶があっても
辛い記憶があれば一瞬で辛い記憶に塗り替えられる
楽しい事より辛い事の方が多くて
貴方はまだ本当の孤独を知らないだけ。
独り、暗い部屋で体育座りをして泣いている私
何もする気力も起きなければ涙しか出てこない。

正直、死んで楽になると思ったけどならなかった
現状は変わらず独り寂しく暮らして
家族を忘れたかったのに忘れられなくて
母親が、…ねばいいとさえ思ってしまった。
私の方が貴方より辛い
健常者にこの気持ちは分からないでしょう。
本当のサイコパスは健常者なのよ」

そう手紙に書かれていたが理解は出来なかった。
ニトロには聞かせないように無言で手紙を読んでいた田中くんだったけど、なんとなく孤独に生まれ愛されずに愛を知らずに育ったという点は自分と一致しているのかもしれない。
そう考えたのだった。

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