ふとした思いやりと優しさに触れて
年度末まであと一週間、案件をどこまで今月末に間に合わせられるかで部署全体が目まぐるしく動いていて、私も余計なことが考えられないくらい忙しく動いていた。
業者くんの任期も3月末で終了になるため、残り少ない時間で業者君と触れ合えたらいいなぁと思ったけど全然そんなどころじゃなくて、会うどころかせっかくかけてきてくれた電話さえも出られなくて伝言してもらったりして、会えないままお別れなんだろうな、としょんぼりしていた。
今日になって上司から全員の案件の進捗を確認しろと言われたので、部署の営業員に確認したあと、その仕事に一部関わっていた業者くんにも確認するために久しぶりに電話をした。
「ヤンマーさん、お疲れ様です。」
「ごめんね、忙しいのに。今大丈夫?」
「引継ぎが来週になったので意外と余裕ありますんで大丈夫ですよ^^」
業者君の声が久しぶりに聞けて嬉しい気持ちを抑えて淡々と仕事の話。
「あ、〇〇の案件は3月末に入りますよ」
それは私が紹介したお客さんだった。手間ばかり抱え移送だったので、後回しにして後任の人に任せて大丈夫ですよ、と伝えていた先だったので、まさか彼がその案件を一生懸命進めていたことに驚いた。
「すごい!絶対間に合わないと思ったのに!」
「本当は実際に契約できたら連絡してびっくりさせようとしてたんですけど😅」
好き…。
仕事が忙しくて心が弱ってるのもあって、彼の言葉にものすごく嬉しくなってしまった。
通常業者くんの立ち位置の人は大体2~3年で人が入れ替わるので、あくまで仕事はビジネスライクで、異動が決まればさっさと身支度して最後の一週間はほどほどにして次の仕事の準備をするのが通常だったから、彼が最後まで一生懸命仕事に取り組んでくれたことが嬉しかった。
「最後の最後まで本当にありがとう😿無理せず頑張ってね」
「いやいや、ヤンマーさんの方が大変ですよ!最後まで頑張ります!」
そういって電話を切った。
やっぱり好き。
損得じゃなくて、目の前のことに一生懸命で、思いやりがあって、そういうところがたまらなく好きなんだよ。
本当に残念だ。寂しくなりそうだなぁ…。
でも、こんな気持ちにさせてくれて、ときめきを感じさせてくれて業者くんには感謝しかない。本当はもっと一緒に仕事したかった。でも、ちょっとの間でも仲良くなれて、一緒にお酒が飲めて、あらゆる場面で業者くんの優しさに触れられて嬉しかった。いい思い出ができた。
苦しくて、悲しくて、後悔する出会いじゃなくて、よかった。
でももっと一緒にいたい、仲良くなりたい、と思えば思うほど別れが訪れるんだよね。後輩くんも、坊ちゃんもそうだった。楽しい時間は、長くは続かない。
でも、本当に今日は嬉しかった。明日も予定がぎっしりで憂鬱だけど、彼の優しさを思えば、あと3日くらいは頑張れるかな…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?