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『介護の営業。』レビュー、コツは何か?

私は台湾での日系介護施設運営プロジェクトを成功させるため、現在埼玉県のとあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で研修中です。この施設は今年の7月で開業から5ヶ月目を迎えていますが、入居率はまだ約20%で営業的に苦戦しています。

そこで今回、介護施設の営業方法についてヒントを得るため電子書籍(Kindle)・hayazo著『介護の営業。:~自治体も絡むけど民間な世界~』(2022年7月9日発売、石黒書籍)を読んでみました。


著者プロフィール

著者のhayazoさんのプロフィールは下のとおりです。

名前:hayazo
性別:男性
年齢:アラフォー
特徴:強度HSPの独身貴族
資格:介護福祉士、言語聴覚士、介護支援専門員
モットー:みんなで幸せになろっ

出典:『介護の営業。:~自治体も絡むけど民間な世界~』著者プロフィール

ちなみにHSP(エイチ・エス・ピー)とは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとった言葉です。 これは、生まれつき「非常に繊細な人」「非常に感受性が強く、敏感な気質をもった人」を指すそうです。hayazoさんは非常に繊細な男性なのでしょう。

『介護の営業。』の表紙には「戦国介護業界は群雄割拠。この世界を生き抜くためのノウハウをここに記す!」とありますが、まさに日本の介護業界は多数の運営業者が地域に乱立する「群雄割拠の戦国時代」に突入していると言えます。

hayazoさんは『介護の営業。』の第1章と2章で日本の介護保険制度を解説し、第3章と4章で本題の営業についての説明を展開しています。

初歩的な営業

第3章では著者の経験にもとづきながら、施設営業のスタート地点(初歩)から解説しています。

  • 現状を知る
    自分の施設が置かれている状況を把握する。定員数、稼働率、毎月の赤字額など。

  • 身内の意識改革
    稼働率が高いほかの施設を見学。自他の違いを分析し、自分の施設のスタッフに「できること」を実行するように指示を出す。

  • 外に出る
    ケアマネの事業所に営業に行く。ケアマネは営業に来られるのを迷惑がるので、時間をかけない(1件1分程度)。

システマティック(体系的)な営業

第4章では初歩的な営業を発展させた「システマティックな営業」について説明しています。

  • 第一段階「あるだけ営業」
    介護施設がない場所に施設ができるとそこに「あるだけ」で営業が成立する。介護施設が地域に乱立する現在「あるだけ営業」は難しい。

  • 第二段階「特徴」
    施設の特徴を考える。「外国語のネイティブスピーカーがいるデイ」など。しかし、必死に施設の特徴を考えても同ジャンルの施設が多いと埋もれてしまう危険性が高い。「大谷翔平がオーナーのデイサービス」のような知名度がある人物(タレント)を宣伝に使うと効果があるが、知名度がないとそもそも効果が薄い。

  • 第三段階「人間」
    ここで言う「人間」とは施設スタッフのこと。対応が難しい利用者や家族がいても施設スタッフがノーをつきつけず、積極的に受け入れる。困難事例でもなんとかする。当たり前の電話応対や接客に気を使っている。このようなスタッフがいるところにはお客様が集まりやすい。

  • コネを確立
    利用者の化身であるケアマネに「安心できる施設」という評判を確立させる。ケアマネを施設の「常連さん」にし、コネを確立する。

  • 自動営業
    ケアマネ同士で施設の情報共有=営業ができている。ケアマネが施設の知らないところで宣伝をしてくれるようになる。

介護営業のコツは?

hayazoさんはケアマネ(介護支援専門員)として活動していることもあり、本書は「ケアマネが自動営業」してくれるような施設を目標としています。ケアマネに面倒だと思われずに、彼らとどのようにコネを築くかが施設営業のコツになると言えそうです。

海外ではそもそも日本のケアマネにあたるような職業が未確立であることもあり、hayazoさんの営業経験(ノウハウ)をそのまま輸出することは難しいのですが、日本の施設営業の王道(基本)として理解しておくにはよい一冊だと思いました。

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