雪が降る前に感じる静けさと期待外れの冷たい既読 (黒あげは。)

私が短歌に一番大切だと思うことは「感情の表出」なのだが、最近見る作品の多くは言葉扱いの器用さばかりが目立って感情が見えない。それに対してこの作品は「哀」の感情がたっぷりと浸みわたっており、AIには作れないうたらしさがあると感心した。音もなくしんしんと迫ってくる良くない予感が、色温度の低い単語で淡々と述べられている。「期待外れ」と「冷たい」は重複の感があって気になるが、「雪」「静」「外」「冷」を並べて強調したかったのだろう。既読無視のことを「冷たい既読」と表現したのであればおもしろい工夫である。

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