業務用スーパーがあるこの町で君とは別の家族と暮らす (黒あげは。)

「業務用スーパー」なんてオシャレでもなんでもないどころか俗的なこんな単語で、こんな切ない歌が生まれることを私は知らなかった。いや、このリアリティしかない単語だからこそ、その陰に存在したと思われる真実の物語を想像して惹き込まれてしまうのだ。作者は若い頃、ここで「君」と一緒にアルバイトしていたのかもしれない。購入ロットの大きいここの商品は一人暮らしには向かない。将来、家庭を持って子どもたちをもうけた暁に、利用したいねと話していたのかもしれない。しかし、「君」とは結ばれず、いま別の家族と「業務用スーパー」のある町に住む。今も不幸でなどないが、あの青春の墓標のような「業務用スーパー」。一本のドラマを観るような壮大な感動を得てしまった。

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