【10~15分・2人・声劇台本】君らが決める最期の旅行
男1:女1
【演じる上で注意点】
エンディングが、2つ用意されています。声劇開始前に、どちらのエンディングにするか決めてから始めてください。エンディングによって長さが変わってきます。(ショートカット用に、途中に目次を置いているので、そこからとんでください。)Nとしてナレーションが存在し、()で推奨キャラクターを書いてあります。
ハッピーエンディング:15分
バッドエンディング:10分
注釈:以下は、読まないでください。
() 描写(読まないでください)
[] セリフ読み方
【】各場面
A 男性の名前を入れて読んでください
B 女性の名前を入れて読んでください
N ナレーション()内は推奨キャラです
【あらすじ】
3年記念日のデート中。突然、倒れた彼女、医者から告げられた余命は半年だった。恋人と一緒に病室で話をする彼女は、頑張って彼氏には「余命」についてバレないように作り笑顔をしていた。面会する2人は、とても楽しそうに談笑している。しかし、彼氏は彼女の余命を知っており…。
【配役】
男・・・20代後半。デート中に彼女が倒れ、病室前で医者と彼女の余命の会話を聞いてしまう。それでも、笑顔で面会をしようとする。
女・・・20代後半。デートから目覚めたら、病室にいた。医者から余命半年宣言をされたが、彼氏には隠して会話をする。
【台本】
(目覚めて後に、病室で医者と会話している最後の一言)
女「はい。わかりました。えーっと、家族には明後日来てもらうので、立ち会いはその時にお願いします。」
(沈黙)
(ノックの音が聞こえる)
女「はい」
男「B?起きてた?」
女「ふふふ、起きてるよ」
男「どう?気分は」
女「悪くないかな。
もう少しだけ、入院が必要だって言われてるけど」
男「そっか。それなら、もっと買ってくればよかったな」
女「ん?なにを?」
男「ほら、これ!」
(手に持っているビニール袋を持ち上げる)
女「えっ!なにそれ!」
男「下の売店で買ってきたんだよ」
女「ありがと!
てか、こっち来て座りなよ」
男「あ、そうだな。よっこいしょっと。
じゃー、ここで商品紹介しま~す!」
女「(笑う)、お願いします」
男「まずは、何と言ってもお茶です!」
女「えー?1つ目が、お茶なの?」
男「カテキンっていう血圧や血糖、悪玉コレステロールの上昇を抑えてくれるので、生活習慣病の予防効果があるのが嬉しいところです。」
女「[嬉しそうに] はい。有難く受け取ります」
男「一応ストローもつけてくれたみたいだから、プラスチック製の幻の透明ストロー!」
女「[笑う] うんうん。他には?」
男「えっと、他には、ポテチ、オレオ、抹茶のお餅、
グミに———」
女「[遮るように]待って待って、そんなに買ってきたの?」
男「ほら、病院のご飯って少ないって言うじゃん?」
女「私は、Aみたいに沢山食べないよ?」
男「まぁまぁ、そんなこと言わずに3時のおやつにでも食べて」
女「そうね。ふふふ、ありがと」
男「ゆっくり楽しんでよ、ここに置いとくから。
それで、いつぐらいに退院できそう?」
女「んーまだわからないかな。でも、デート中に急に倒れちゃってごめん!」
男「びっくりしたけど、気にしないで。こうやって、話せてるんだし」
女「私、どうなったの?」
男「イルミネーション見ながら、急に倒れて、
それが怖くてすぐに救急車呼んだよ」
女「そうそう。イルミネーションを見たのは、覚えてるんだけど…」
男「うん」
女「ごめんね?せっかく、記念日に予約してくれたレストランだったのに」
男「あー大丈夫だよ!レストランは、いつでも行けるんだし!さっき、電話して、予約を取りなおしたから!」
女「(嬉しそうに)え!予約いつに変更したの?」
男「んー、なんだっけな、予約取れたのが嬉しくて…忘れちゃったかも」
女「えー、それ楽しみにリハビリできるのにー」
男「(少し笑って)ごめんごめん…てか、リハビリ必要なの?」
女「それもわからないけど、なんか病院ってリハビリ終わるまで退院させてくれないイメージある」
男「そうかな?」
女「てか、来年の夏はどこ行こうかな!」
男「夏かぁ。まだ、クリスマスも終わってないのに、とりあえず鎌倉とか行ってみる?」
女「また鎌倉ー?もう、あそこ沢山行ったじゃん」
男「なら、道後温泉は?」
女「[笑いながら] それって、地元じゃん」
男「でも、行かなくない?東京の人だって、スカイツリー行かないみたいに」
女「そうね、なんかいつもすぐ行けるから、先延ばしにしてたけど…
東京来ると、何かと聞かれるよね」
男「そうそう!「愛媛出身なら、道後温泉とか毎日入れるじゃん!」って…行くわけないじゃん、家に風呂あるのに」
女「でも、せっかく行くなら、なんか特別な事したいよね」
男「めっちゃ東京人|《トウキョウジン》みたいな恰好してみる?」
女「と言いますと?」
男「ほら、なんかタイトめなジーパンに、上はワイシャツで黒いコート羽織って、銀色のスーツケースに、片手にはスタバのコーヒーって…どう?」
女「いや、東京へのイメージ…てか、夏に行くんでしょ?暑すぎるわよ」
男「あ……確かに」
女「あはははははは!」
男「そんなに笑うなよ…わからないよー、帰省するのに特別な事って」
女「ごめんごめん。しょぼんって顔がついね。本当面白い
[笑いながら]
あーお腹痛い」
男「もう…」
女「でも、いつも笑わせてくれて、ありがとね」
男「なんだよ、急に」
女「別に。ただ、たまに考えるの。もし、Aと会ってなかったら、私どうしてたんだろうなぁって」
男「Bなら、もっといい人見つけてたよ」
女「なーにーその言い方」
男「たまに考えるってだけさ、特に意味なんてないよ」
女「ふーん。それなら、いいんだけどね。
もしさ………」
男「なんだよ、その沈黙」
女「いや、もしだよ?仮に、もし、私が死んじゃったらの話ね?」
男「うん」
女「Aには、いい人見つけて、幸せになって欲しいなって思ってる」
男「なんだよ、縁起でもない。病室でする話か?」
女「あ、私入院中なの忘れてた」
男「おいおい…何の為の見舞い菓子だと思ってんのー?」
女「でも、私、少しは本気よ?
………そんな顔しないでよ」
男「こんな顔にもなるだろ。3年も付き合って、急に私が死んだらとか話すんだよ?そりゃ驚くだろ」
女「ごめんごめん。でも、Aはどう思ってるの?」
男「なにが?」
女「もし、私が死んだ時のこと」
男「死んだ時のことなんて、考えたことないよ。不謹慎な奴だなぁ」
女「それがさ…私…その、先生にね?
言われてるの?」
男「んー…何を?」
女「もしかしたら…あー…その、、、半年も生きられないかもって」
(少し長めの沈黙)
男「それは、余命ってやつ?」
女「うん。さっき、Aが来る前に先生に言われた」
男「そうなんだ。知らなかったよ。それ、ご両親には?」
女「明後日、立ち会いって形で、伝えられるらしい」
男「そうか」
(沈黙)
女「なんて言っていいか、わからないよね。ごめんね」
男「謝ることないよ!ただ、俺も何を言っていいか、わからなくてさ」
女「こんな事になるなら、会社さっさと辞めて世界旅行でも行けばよかったなー」
男「なにそれ?」
女「ん?実は、私世界一周してみたいの」
男「初めて聞いたよ」
女「昔から、思ってたこと。ハネムーンとか、世界一周してみたいなって
」
男「それは、確かに面白そうだな」
女「でしょ!一度でいいから、カナダのオーロラとか見てみたいし、マチュピチュの遺跡とか、ヨーロッパの国を周ってみたかったなぁ」
男「別に、まだ死ぬことが確定してないんだから、諦める事ないじゃん?」
女「んーでも、無理そうなの。ガンのステージ4で、肺と胃、肝臓、それ以外にも転移が見つかってるんだよ?」
男「そうだったんだ…でも!まだ、治せるかもしれないじゃん!」
女「わからないかな。先生には、ここまで転移が広がってるともう助けるすべはないって言われた」
男「抗がん剤とか使って、小さくしたりできるって聞くし」
女「それもそうなんだけど…」
男「だから!俺も、お金なら出すし、一緒に治療していこうよ!
まだ、Bが諦める必要ない!」
女「そんなこと言ったって!…頑張れないかもしれない…私」(泣きそうに)
男「弱気になるなって!まだ、これからじゃん!人生!」
女「でも…」
男「でもじゃない!弱気にならない!」
女「弱気にもなるよ!!!
末期がんだよ?半年だよ?…そんなのあっという間にすぎちゃうよ
(沈黙)
だから…だから…私じゃない女の子と…幸せになって?ね?お願いだから…」
(沈黙)
女「なんか言ってよ!」
男「ダメだ!俺にはBが必要なんだよ。Bがいない未来なんて、考えられない…
考えたくないんだよ!」
女「今、私がいる病棟だって、緩和ケアのすぐ隣なんだよ?明日にでも移った方がいいって、言われてるの」
男「うん」
女「ね?だから、最後のお願い。私のことは、もう忘れて?」
男「そんなこと…」
女「もし治ったら連絡するしさ」
男「…俺が支えになっちゃダメなの?」
女「うん。今は、会いたくないかな」
男「それは…本気で言ってるの?」
女「うん」
男「本当の本当に?…ね?
(沈黙)
何も言わないとわからないよ?」
女「そんなわけないじゃん!
でも…でも…Aが近くにいると、嬉しいけど、迷惑かかってるって思うから…
そんなの私耐えられない!」
男「迷惑だなんてことない!
だから…そんなこと言わないで、一緒に頑張ろうよ」
女「うん…1人で考えてみる」
男「ありがと」
女「明後日、親も来るから、先生にも聞いてみる」
男「うん。一緒にBと生きたいよ」
女「私も、Aとずっと一緒にいたい」
男「今日は…うん、もう面会時間過ぎてるから、帰るよ
でも、寝れない時は電話してね?」
女「うん、わかった。」
男「じゃ、ちゃんとお菓子も食べてね」
女「うん」
男「…ねぇ、B?俺、Bの事愛してるよ」
女「うん」
男「じゃ、行くね。」
【ハッピーエンディング】
【1年後】
N(男)「1年後、2人は旅館にいた。」
女「はぁー!疲れたー!もうー私、歩けない」
男「ははは、確かに今日は歩いたなぁ」
女「ほんとに、暑いし、もう汗だく」
男「とりあえず、チェックインも済ませたし、温泉行くか!」
女「じゃ、あとでね」
男「いや、待って!」
女「ん?」
男「ここの部屋、実は…露天風呂付なんです!」
女「え!?なにそれ…もしかして」
男「はい。こちらのふすまを開けると…
じゃじゃーん!貸し切り露天風呂です!し・か・も!道後温泉かけ流し!」
女「すごーーい!この部屋、高かったんじゃない?」
男「んー…そこは今は聞かないでいただけると…嬉しいかな?
だからこそ、コンビニで安いお菓子沢山買ってきたんじゃん」
女「はい。有難く受け取ります(嬉しそうに)
そういえば、お菓子で思い出したけど、入院した時も買ってきたよね」
男「あーあの時、実は買うつもりなかったんだよね」
女「そうなの?」
男「うん。実は、Bと先生の余命の会話を聞いちゃって、泣きながら売店行ったんだよ」
女「え?そうだったの?」
男「半年って聞いて、焦った
でも、もうこうして回復してるからさ」
女「ほんとにね、ありがと」
男「ずっと一緒に生きてこうね」
女「はい。ありがとね、A」
【バッドエンディング】
【1年後】
N(女)「1年後、努力むなしく、Bはこの世を去った。
医者の死亡確認に立ち会った1時間後、Aは病院の屋上に立っていた。」
男「近寄るな!
もう、Bはこの世にいない!この病院で死んだんだ!
俺は…俺は…同じところに迎えにいってあげなきゃいけないんだ!
警備員さん?止めたって無駄だよ?もう、警察呼んでるかもだけど…
(泣きながら)俺はBのところに行くんだ!!!
B?…今行くよ」
(…ドサッ!)
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