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似顔絵の描き方15 似顔絵の前はなに?1

似顔絵が出る前は何があったかというと肖像画がありました。いや、今もありますね。肖像画しかなかった…と言った方が正しいでしょうか。特定人物の顔を描く行為は洋の東西関係なしに軽率にはできなかったのです。呪術的な意味の忌避感などがあったのではないかな、と思います。また絵を描くという行為は日常から大きく離れているから、日常的なものを描かない、という気分もあったと思います。                     似顔絵のように気楽に人の顔を描くのは市民社会の到来を待たねばなりません。んでは肖像画の話も少し。                    ギリシャーヨーロッパ文化では顔を描く決まりがありまして、正面から描くのは神様とかそういう世界の人たちなんです。

例えばこんなんですね。三重の冠…教皇冠って言います…をかぶってるので、これは教皇の肖像画ですね。このように真っ正面から描きます。フロンタルって言います。                         それから、横顔で描くのもあります。

こんなんですね。これはアントニオ・デル・ポッライオーロ( 1429/1433~- 1498)って人が描いた『若い婦人の肖像』。当時のフィレンツェのお金持ちを描いています。お金持ち、権力者は横顔を描きます。プロフィールっていいます。今でも海外のコインで国王や大統領なんてのを浮き彫りにしたのがありますが、ああいうのを古代ローマからヨーロッパじゃ、やってるわけです。                                 んじゃいまある、ごく自然な肖像画はいつ頃からあったか。例えば、こんな絵。


ピーテル・ルーベンス(1577~ 1640)の『シュザンヌ・フールマン』。モデルはルーベンスの奧さんのお姉さん。普通の市民を普通の感じ(クォータとかアングルとかいう角度)で描いてます。こういうふうになったのはルネッサンス以降なんですね。

ヨーロッパでは、こういうような時代を経て、さらに簡単な筆記具(紙)、印刷技術などが普及して肖像画は似顔絵という弟分を生み出していきました。

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