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漫画編集者による意味のよくわからない言葉から漫画の本質に近づいてみようのコーナー7「まぁいいか」

まぁいいか

編集者からリテイクを出される。直してみせる。編集者がボソッと言う。
まぁいいか……」
おい……。本当にいいのか? そうなのか?
これは漫画家が相当傷つく言葉だ。特に自分の作品を見せているときの漫画家はものすごく敏感だから、なおのことである。編集者が実際どういう意図で言ってるかどうかに関わらず、
「これ以上こいつに言っても何も出来ないだろう。
 あとは本人が責任とれば良いんだから、無駄に時間使うのはやめよう」
と言う風にしか、聞こえないのだ。
いきなり打ち棄てられた感覚になる。


問題はあるが

編集者の意図を訊く手もあるが、見ていると何か考えながらながら呟いているから本人に何か自覚があるとも思われない。無自覚かそれに近いレベルなんだろう。これはたぶん訊いても無駄だろう。
漫画家はこういう言葉にもなんとか対抗しなきゃいけない。
ボクの場合は早々に
「ここには問題はあるが解決方法はない」
と割り切るようにしている。
編集者ってのは問題を解決するトレーニングはしてないケースが多い。畢竟問題を解決するのは漫画家の仕事だからだ。ただし問題に気がつくようなトレーニングはされているので、そこのところはかなり頼りにしてもいい。
では、問題をどう解決するか。


対まぁいいか

自分で描いたモノには
「これで良いんだ」
と思いたい。思いたいが、疑義を呈した人がいるんだから、とりあえずその思いは保留しないといけない。特に編集者は問題に気がつく人種だから。
保留した上で、それまでの編集者の態度とか言葉を反芻した上で問題がなんなのかを考える。考えて特定する。一人でダメなら信頼できる第三者と話すのもいい。漫画関係者でもいいが、関係者でなくてもいい。問題を特定できる感性を持っていればいいのだ。
この問題特定までいければ、だいたい解決できる。断定するのは、漫画には解決方法を提示した作例が数限りなくあるし、今も生み出され続けてるからだ。
「偉大な先輩たちはボクの問題解決のために作品を残していったのだ、ヌハハ」
と思えばよろしい。

もし、ここを読んでいる漫画の編集者がいるだろうか?いるならその人たちくらいは漫画家の作品を見る時、言動に自覚的であって欲しい。
アナタの一挙手一投足から漫画家は何かを読み取ろうと必死なんだから。

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