私は腐女子。そして文字書き。ブクマ数に振り回される。

きっかけは何だったろうか。

能動的ではなかったことは確か。

友達が先に腐女子になって、私は偏見を持ちながら友人に勧められた同人誌を読んだ。

男同士の恋愛なんて、それまで私は存在しないものだと思ってた。

だから、正直びっくりした。

でもその中で描かれていたのは普通の恋愛だった。男女が惹かれ合うのと同じように彼らは恋に落ちる。

友人には「よく分からなかった」と同人誌を読んだ感想を伝えたけど、内心どぎまぎしてた。

私はその時、自分が普通だと思っていることは普通じゃないということを知ったんだと思う。

それからも友人のおすすめの同人誌を半ば強制的に押し付けられて、口では「やめてよ~」なんて言いながら本当は嬉しかった。

だってその中ではただ人が人を好きなるその感情があるだけだった。

比較的健全なものを選んでくれてたからだけど、それは美しかった。


そして、男性と話すことに苦手意識のあった私にとってそれはとてもやさしかった。

男と男だから、男性が苦手ならもっとダメなんじゃないの?と思うかもしれないけど。

例えば、どんな恋愛漫画、恋愛ドラマ、恋愛映画を見てもそこに映る女性はみんな「される側」なんだ。

私は女性だから、どうしても女性に自分を投影してしまう。

もしその行為を自分がされたら、って考えてしまって胸がぞわぞわする。

だけど、BL作品をみてそんな風に思うことは無かった。

ただ純粋に物語を楽しむことができた。

えげつない描写に関しては受け付けられないものもあるけど…。

初めての感覚だったかもしれない。どこか俯瞰して恋愛に触れるのは。

その感覚がどこか居心地が良かった。そして私は腐女子になった。


それからは早かった。私は友人と一緒に出掛けるようになった。中古の同人誌を販売するお店へ。薄い本を物色して、少ないお小遣いからほとんどをそこにつぎ込んだ。

それと同じころpixivの存在を知った。そこにはありとあらゆる二次創作が溢れていた。本当に色んな人が色んなものを投稿していて、私は夢中になって徘徊した。

絵の描けない私は小説を読んで、これなら私にも書けるかもしれないと軽率にそう思ってしまったのだ。

気付いたら物語を書き殴ってた。

初めての二次創作だった。私は小説を書き始めた。本当に短い、ただ思いついたことを書き殴っただけの駄文。

それを恥ずかしいことに私は友人に送りつけてた。今思い出しても恥ずかしい。よくもまあそんなことができたもんだ。

絶対にお世辞だと思ったけど、友人に面白いって褒められて天狗にでもなってたんだと思う。その話を私はpixivに投稿した。全くもってブクマは伸びなかった。一桁止まりだった。でも当時の私は嬉しかった。誰かに作品を見てもらえることが嬉しかった。

たまに文字を綴って、それを投稿してを繰り返した。やっぱりブクマは伸びなかった。だんだんと、自分の作品が恥ずかしいものに感じるようになった。

あれ、もしかしてこれ面白くないんじゃない?って気づいたとき、私はアカウントを消した。

それからあまり小説を書かなくなった。


腐女子になってから5年くらい過ぎた頃だろうか。

私は旬ジャンルにハマった。本当に素晴らしい作品で、二次創作も本当に素晴らしいものばかりだった。

気付いたら手が文字を打ち込んでた。書きながら自分で泣いたりもしてしまって、それは初めて1万字を超えた小説になった。

自己満足で書いて、満足して、ついでのようにもったいないからとpixivのアカウントを作ってそこに投げて寝た。

朝起きたら、スマホの通知がすごいことになってた。pがいっぱい並んでて、私にはそれがなんなのか理解できなった。開いたら私の投げた作品のブクマ数が3桁になっていて、震えた。

頭は真っ白だった。

旬ジャンル、こえええってなった。それからも通知がやむことはなくて、通知をきった。

次の日、確認のようにpixivを開いたら、二桁だけどランキング入りをしていて意味が分からなかった。ブクマ数は4桁になろうとしていた。

私は現実がよく理解できなかった。でも、嬉しかった。自己満足で書いた小説を読んでくれて、評価してくれる人がいて嬉しかった。

書きたい、と思うようになった。調子に乗って私はすぐに短い話を投稿した。

だけどそのブクマ数は二桁前半で止まった。

おかしいな、自分では面白いと思ったんだけどな、と思った。

気付いたらブクマ数ばかり気にするようになってた。面白いと思った作品を投稿してブクマ数が伸びなければその作品が恥ずかしいものに感じられた。

でも、ブクマしてくれた人には刺さる内容なんだ、感謝しようと思って作品は消さなかった。

でも、作品を投稿する前に必ず思う。ブクマ数が伸びなかったらどうしようって。小説を書いてる時も、この小説面白いのかな?ブクマもらえるのかな?って思う。

私は楽しんで創作をしたいだけなのに、いつの間にかブクマ数という評価に振り回されるようになってた。

書いてる時ももやもやしてしまって、楽しかったはずの創作がだんだんとストレスになった。

そうして、最後にしようと思って自分の趣味に走って投稿した作品がまた二桁だけどランキング入りした。

なんでだよ、って思ったけどやっぱり嬉しかった。

でも、本当にそこでやめた。リアルの生活が忙しくなったのもあるし、それ以上そのジャンルで書くことが無くなってしまったというのもある。


だけど私は腐女子。

それから2年半。

また他のジャンルにハマって推しCPを作ってしまった。

今度はマイナージャンルで、書き手は固定されてるようなジャンルだった。

気付いたら手が文字を打ってた。

それは1万字を超えて、書きながら自分でも楽しかった。自己満足で書いて、満足して、なんとなくまた新しいpixivアカウントを作ってついでのように投げた。その作品はじわじわと伸びて、そのジャンルではなかなかのブクマ数をもらえた。

嬉しくなった。調子に乗った私はまたすぐに新しい作品を書いて投稿した。だけど、その作品はブクマ数一桁で止まった。

書き手は固定されてるから、探せばその人たちがTwitterでつながってることもすぐに分かった。あわよくば繋がりたいななどと思っていた私は怖くなった。Twitterアカウントを作成したのに、未だにフォローもできずにいる。

2年半前と同じだ。デジャヴしか感じない。私はブクマ数を気にしないなんてことができるだろうか。

楽しく創作することができるだろうか。

文字を書くことがやめられないのに、ストレスなのに、楽しいなんて。


私は腐女子。そして文字書き。ブクマ数に振り回される。




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