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ささやかな面白み

人生の楽しみ方は人ぞれぞれだけれど、お手軽に楽しいことを発見できるのはなかなかにお得なことだなと思う。

私は髪の毛の色をいろいろと変えるのが好きだ。時に、のちに形も残らなければましてや足しにもならんのに、私は年にいくらつぎ込んでいるのやら・・・。とふと正気に返ったような気持ちになったりもするのだけれど、美容室にいって、カラーチャートなんかを見ながら、自分の髪の毛にこの色入れたらどうなるんだろうと想像して、相談して、乾かしてもらって現れる、自分の髪の毛が綺麗な色に変わった姿を見るのは面白い。一種の賭け事みたいなものにも似ているかもしれない。

ちょっとしたイメージならすぐ変えられる。髪型というのは偉大だ。

2、3日前にも美容室へ行き、金髪から久々に暗めの色にしてみた。赤味の強い茶色のような濃ゆい赤紫のようなちょっとワインのようにも見える。これが、また綺麗な色だ。秋らしい色で嬉しい。長いこと明るい色だったので、気持ちはさながら「世を忍ぶ仮の姿」といった気持ちだ。これがなんとも可笑しみがあって楽しい。

生まれ持った髪の毛色は日本人おなじみの茶色がかった黒、涅色とでも言うだろうか。なのにしばらくずっと鏡で見てきた自分は明るい色だったから、それを覚えている脳が、誤作動を起こして、違和感を覚えている。それがなんだか変装しているような気持ちになってなんだか愉快なのだ。

しかしこの色は儚い命で、持ってせいぜい2週間くらいだろう。そして日々刻々と色は抜けていく。もったいないようでいて、その変わっていく過程も楽しい。

似合う洋服も当然変わるので、美容室帰りはなんだかちぐはぐしている時もあるのだけれど、持っている洋服の見え方が変わるから、これまたちょっと頭を使う。けれど服に飽きがこないような気がして面白いものだ。

こう思うと、日々これだけ楽しめるのだし、コスパも悪くないのでは?と思ったりもする。いつの日か、落ち着いた色でないと落ち着かない。なんて気持ちになったりもするのかもしれないけれど、そのころには、それはそれできっとなにか違う楽しみをまた増やすんだろうな、なんて気がしている。


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