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物がもつことば

梅田にある蔦屋書店から頼んでいた本が午前中に届いた。
楽しみにしていた本を2冊、袋から取り出すと、一緒にリーフレットが出てきた。

「書肆山田の本と書肆山田」
これは、「しょし」と読むのでいいのかなと思い検索してみると「しょし」で間違いないようだった。

初めて聞く出版社だ。ぱらりとめくると、数人の方の名前が並んでいた。それも、五十音順でもなく、いろは順で。さらにひらりとめくると、どうやら出版社の節目へ向けて、詩人、歌人の方などが言葉を寄せている内容のようだった。
そうか、今回「はじめての詩歌フェア」で特集されていた本から一冊注文したから、詩集を出版されている出版社のリーフレットを同封してくれてるんだなあ。ということを理解する。

このリーフレット、とても静かなデザインなのだけれど、一目見て、とても上質な造りだなあと思う佇まいだった。厚みがあってうっすら横縞の凹凸がある2枚の紙でできていて、優しげな少しくすんだ桜色の表の紙と、内側は同じ紙質で乳白色。紙同士を止めるものはなく、ただ綺麗に観音開きになるように折りたたまれている。それがかえってこのリーフレットを品良く見せているようだった。きっと素敵な本を作っているんだろうなあと予感させるそんな造りのリーフレット。

少し腰を落ち着けて読み進めて行くと、どの方も一様にとても素晴らしい出版社だと称えている。書肆山田で作られる本は美しい本だとも。
詩歌に明るくないから存じあげなかったけれどどんな本なんだろうかとまんまと気になって、今度大きい本屋に立ち寄った際には探してみようかなとホームページを検索にかけてみる自分がいた。

詩集は片手で足りるほどしかもっていない。ちょうど最近編集しているオンラインラジオでも、「詩ってとてもハイコンテクストじゃないですか、行間を読む力を必要とされますよね」という話が出たのだけど、私もその言葉に、「そうだよなあ」と思ってしまったくらいだ。言葉をなぞることはできても果たしてちゃんと読めているかは疑問が残る。

それでもなんだか、一足跳びに興味を湧かせてくれたリーフレットの存在に、言葉の説得力はもちろんあるとしても、説得力とはやはり丁寧なプロダクトにも宿るものだなあと改めて考えさせられる夜となった。

※リーフレット内部の文章の写りそうな写真はぼかしを強くしています。

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