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【中国動向観察】遂に!アリババに党委員会設立:党の「民間企業」支配が「優等生」企業にも波及ー(驚愕)「国進民退」なんて生ぬるい

   アリババグループの子会社アリソフト(北京)で24日、党委員会が設立された。同社のトップであるジャックマー(馬雲)氏の動静が伝えられなくなってしばらく経つが、中国当局によるアリババ支配は日を追うごとに強まる模様だ。

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 アリババグループは2016年以降、北京市と杭州市の「二つの本部」戦略をとってきており、北京市中心の朝暘区にその本部の一つが置かれている。北京の本部では党員自体は元々存在し、マー氏も党員だったというニュースは内外でも驚きを持って伝えられたことがある。国際派でリベラル的な考えを持ち、共産党とはうまく距離をとってきたと思われていたマー氏だったが、それでも共産党員だったという事実に多くの人が驚いたのだ。北京での党員比率は3割を超えたといわれている。

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これまでも党員は存在しており、党の活動も行われてきたが。。

 それゆえに党委員会の設立によって共産党による同社への干渉はさらにますのではないかと思われるが、党組織としては中国共産党北京市朝暘区党委員会中関村科技園区朝陽園工作委員会に所属することになるとのことだ。

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 党委員会が設けられると今後、同社の経済活動だけでなく、共産党の様々な活動の大規模展開にも軌を一にしていくであろう。党の100周年は大きな契機だ。皮肉である。創設者のマー氏についてはその行方は今だ伝えられず、逃亡説、拘束説と様々な憶測が行き交っている。

 しかし、明らかのことが一つある。それは共産党の統制が強められ、民間企業であっても一定規模の企業は有無を言わさず、党委員会、党支部といった党の組織が作られ、共産党の統制が強められているということである。こうした傾向は国が進展して、民間が後退するという意味から「国進民退」という言葉で形容されてきた。今回の党委員会設立も含め、確かに「国進民退」の傾向は明らかであるが、もはやそうしたレベルに止まらないのではないだろうか。極論してしまえば、党組織や政府による企業の「乗っ取り」である。中国はその政治体制を民主化はさせていないが、経済では市場経済体制を導入し、資本主義化はしてきたとみられてきた。ところが、輝かしい成功をおさめ、国の経済発展を率いてきたアリババのような企業でさえも、政治の干渉は不可避にみえる。もはや政治経済体制自体が新たなフェースに入ったもみれるのではなかろうか。

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習近平主席と談笑するジャック・マー氏

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李克強首相と談笑するジャック・マー氏

 そして党の組織としてもう一つ。末端の軍事組織として企業内に民兵組織が作られることも増えている模様だ。民兵連隊が置かれ、企業が国防動員体制の一部に組み込まれる動きがあるのだ。企業民兵と呼ばれる組織の設立がそれであり、アリババやテンセントなどのIT企業での党委員会の設立を含め動向がますます気になる。

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