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45歳の春

やなぎらっこ(ラッコブラザーズ)
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『45歳の春』
あと2週間弱で46歳になるので、45歳のうちにこの歌を封印したいと思いました。

この曲は昨年末の大晦日前日に作ったものなのですが、公言できない理由で自らの気持ちをずっと持て余しており、家庭内の親子関係や夫婦関係に亀裂が入った時期とも重なり、もう自分やめたいと思ったり人前で何かするのも虚しいわと、どん詰まりループに嵌っていました。側から見たら、ただの空回りギター更年期おばさんなのですが…
人生には思いもよらぬ落とし穴があって、善きことなのか悪しきことなのか俄には判断できないことも起こります。私のような自己評価の低い人間が行うダサい表現活動を、好意的に見てくれる仏のようなかたもいて、そんな時は感謝の想いで溢れ、褒められた小さな児になったような心持ちでただただ素直に嬉しいだけの自分がいます。と、同時に青臭い心を忌み嫌いながら棄てられなかった己の蟲の軌跡をそろそろ赦してあげてもよいのでは…と甘い考えも正直湧いてきます。自分に甘くなるのは年をとった証左かもしれませんが。

先日、ある個展会場からの帰り道にご一緒したKさんという方と、お会いしたのは2度目にもかかわらず、帰りが同じ方角だったもので電車の中でお話させてもらいました。
最初は芸大の話(奇遇にも同じ文芸学科の後輩の方でした)や、岡崎京子さんの漫画、みんな大好き小沢健二さんの音楽なんかについて話していたのですが、モノノケ・サミットの辺りから、Kさんが若干熱めに「歌う目的が明確なのと、歌を聴かせたい相手がはっきりしている姿勢がすごいと思って影響受けた」とおっしゃっているのを聞いていて、私個人のなんか言いたい気持ちが溢れてきてしまいました。
ほいで、Kさんが「ラッコさんは…ですか?」と何かを(質問の内容は既に聞いておらず…)尋ねてこられたのをいいことに、唾飛沫を飛ばしながら(マスクをしていたので実際には飛んでいないと思いますが)、
「フルタイムで働いてて週末ライブとか実際ほんまにしんどいんですよ。家族にも迷惑かけてるし家も回せてないし。ほんでライブの企画思いついたらその時は楽しいけど近づくと鬱になって寝られないし、CDも6枚も作って、なんでこんなことやってるかわかんないすよ、ビョーキです。目的なんかなんもないす。でも、どうしようもなくて。実際、子どもがいるとか家庭があるとか関係ないところで、ずっと生きることにグラグラしている自分がいて、結局この年になっても根本的には全然変わってなくて、未だに何の意味もわからないままなんです」 
と、自分が降りる駅に着く直前まで独りよがりの気持ち悪い話を喋りまくってしまいました。(Kさんは「生きることに意味なんか何もないですよ」と教えてくれました。)駅降りた途端に自己嫌悪の塊で、帰路また恥ずかし過ぎて泣きそうになりました。
その日はたまたま自分もライブやり、初めて知り合った若者や刺激的な絵描きの方ともお話して興奮していたせいもあると思うのですが、結果的に完全な巻き込み事故に遭わせてしまった、Kさんにこの場を借りてお詫びします。読んではいないと思いますが…ごめんなさい。

穏やかな優しい春風のようになりたいものです。

さよなら、煩悩。

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