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メディアの話その94 8割と西浦教授と10倍と。

新型コロナウィルスの専門者会議のクラスター対策班の西浦教授が4月24日行った2時間近くにわたったメディアとの意見交換会。いくつか数式をつかうが、わかりやすい。

「だれでもメディア」時代の、科学者のプレゼンのお手本になる。

そこで西浦教授の説明と質問への回答をまとめる。1時間33分過ぎの質疑応答だけでも聞いてほしい。


いまの感染者数は氷山の一角です。ロンドンの渋谷先生が10倍以上とおっしゃってましたが、それよりおそらく大きいです。2月のころに北海道を事例に、外国人が母国に帰ったときの渡航者数中のリスクを計算し、北海道の感染者数は、900人の累積数のざっと10倍程度という数字でした。現在は、むしろそれより大きいと思います。


 慶応の六十七人中四人陽性だった件については、サンプリングがどんなものだったかがわからない、サンプリングエラーが出るかもしれない人数です。なので、この比率を一般にすぐにあてはまめることはできないが、大変貴重なデータではあります。


西浦教授が、なぜ8割の接触を避けるべきか。

40万人の死者が出る恐れを示唆するのか。

それを受けて西村大臣が21万の病床確保が必要というのか。
ベースにあるのはこの計算だ。

いまの日本政府のやり方を批判しているロンドンの渋谷教授よりむしろ、最前線の西浦教授のほうが、日本の感染者数はもっと多く、もっと危機的なのだ、と考えているからだ。


疫学と数学が「いのちを救う」。こういう「計算」ができないと適切な政策が打てず、「いのち」を救えない。数学がいのちを救くう重要な学問だ、ということがよくわかる。

そこでふと思ったのが、サルトルの言葉だ。
「ことば」は「いのち」を救えるか?
サルトルの諧謔を超えることはできるか?

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