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利根川・江戸川・鬼怒川・渡良瀬川・合流地点を探す16号線の旅、その4 平将門と一言主神社と野田のピザと。

平将門のお家に行く。
その前に、もういちど関宿城だ。あの城はいつできたか。
室町時代、鎌倉公方だったのを追い出され、その後山内上杉、扇ヶ谷上杉と対峙する足利成氏は、この関宿から利根川をわたった先、まさに日光街道を進んだところにある古河に居を構え、古河公方となる。
その古河公方の家臣である簗田成助が、1457年に上杉勢と対抗するためにつくった16号線エリアの城、それが関宿城だ。
1457年は、扇ヶ谷上杉の家臣である太田道灌が、16号沿いに河越城と岩槻城をつくり、さらに江戸城をつくった年である。
城作りの天才、道灌の動きに対抗した城であることは論を俟たないだろう。
が、ここでひとつ疑問がわく。
古河から関宿に向かうには、いまは、日光東往還=県道17号で利根川を渡らねばならない。
当時はどうやってこの関宿にアプローチしていたのか?
そこでヒントになるのが、この関宿の城を降りてからの周囲の風景だ。千葉ならではの大きな農家の周囲。いずれも畑なのだ。田んぼじゃない。
つまり江戸川と利根川に挟まれたこの土地は、土手に囲まれているため低く見えるが、全体の標高はそこそこある。低地ではない。台地地形なのだ。
城から伸びる道はより広い、そしてさらに標高の高い街道にぶつかる。
県道17号=日光東往還である。右折してこの道を進む。さきほど利根川の河原から見えた橋にさしかかる。橋を渡ると左手にドンキホーテ。
その先を右折する。
これから将門の祀られている国王神社へ進む。
右折した道は、県道126号線。あきらかにドンキホーテのあるところは低地である。おそらく田んぼのあとだろうか。126号の標高はやや高い。そのまま進む。126号はゆったりと左右にゆらぐ。典型的な古い道だ。しかもアップダウンがある。途中で、利根川に注ぐ細い川があるからだ。常陸台地の南の端。その端のわりと広い谷戸から流れ出た川。
16号線沿いにたくさん見える小流域地形。それが、南関東と北関東を川を渡らずに進むことのできる日光東往還から左右に利根川沿いに走る126号沿いにもある。
さらに進むと利根川沿いを走っていた国道354号と合流する。鵲戸川を渡り、さしま少年自然の家という森にぶつかり、右に折れ、そのままもっと進む。
台地のややまんなかを走る。そして、右に曲がる。すぐに左手に見えてきたのが国王神社。将門がまつられたところだ。駐車場にとめる。
神社にしてはめずらしく、落葉樹のコナラがめだつ。
老夫婦に、老人三人組に、ビデオカメラを回す30歳くらいの男。それなりに人気があるようだ。規模は小さい。お社がひとつぽつんとある。
その先を左に折れて坂を下る。下り切ったところに将門に縁のある延命寺。さびれた風の構えだが、手前に池があり、こんこんと水がわいている。延命寺の先には、江川という川が流れる。
この延命寺に降りる道をふたたび登っていくと途中で二股に道が分かれる。細くなった左手の道に、かつての将門の館のあとがある。島広山石井営所跡だ。道が分かれるところにちょっとしゃれた家がたち、細い路地には数件の家が。館跡は、2つの家に挟まれた、庭木と石が残っただけのしろものだった。しゃれた家から3歳くらいの男の子が出てきて、えい。やー。と空手の構えをみせる。あきらかに私を不審者として追い出しにかかっているのだ。
おいだされよう。
実はその先に小さな一言神社があるのだが、そちらはよらなかった。
ただ、ひとつわかったことがある。
将門が居を構えたこの地は、鵲戸川と、江川に挟まれたみさきのような台地である。将門の館は、江川を望む台地の縁に位置する。
ふたつの川は現在利根川に注いでいるが、将門の時代、利根川はここを流れていない。ちょうど鬼怒川と利根川のあいだにあたる。が、地形を見る限り、2つの川は利根川へと向かう。考えられるのは、現在の利根川が流れているあたりに、湿地帯や池や沼などがあり、その水は最終的に鬼怒川の流れに合流して、香取海につながっていたのではないか?
というのも、この常陸台地の南端は車で走るとわかるが、実にでこぼこが多く、小さな川、そして沼や池、湿地帯がいまでも多いからである。
そしてこの台地と低地がいりまじる地形は、馬を走らせるのにうってつけ、馬に水をやるのもうってつけ、畑も田んぼもつくることができる。
中世において、この常陸台地の南端は、まさに初期武士団が形成されるのにきわめて適した土地だったことが推察される。
そして、日光東往還だ。おそらく将門が下総国=千葉側に入るときは、このルートをつかったはずだ。地形からいって、ここが渡良瀬川と鬼怒川の分水嶺ではなかったのではないだろうか?
その分水嶺をつたい、17号をつたい、一気に野田へ向かう。
おなかがすいた。16号沿いのうまいピザ屋にいこう。
こちらのピザは友人に勧められた。日本でもダントツのうまさだと。
野田の市役所の前を17号=日光東往還=流山街道で抜け、しばらくいって左折すると右手にユニクロが。そのとなりである。目と鼻の先が16号線だ。
ここでおすすめピザをたべ、コーヒーを4杯おかわりし、ゆずシャーベットをたいらげる。1992年創業だが、ハングリータイガーなどに通じる、古き良きバタくささを感じさせる室内とサービス。誕生日のひとに、バリトンのおじさんが朗々とハッピーバースデーを歌っていた。
さ、つぎはふたたび茨城川に戻り、一言神社、菅生沼、そして利根川と鬼怒川の合流地点へ。

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