メディアの話その104 オフィスを図書館にしよう。
コロナ禍になるちょっとまえ。こんな動きが日本であった。
フリーアドレスのオフィス。
フリーアドレスのワークスペース。
自由にどこでも働ける。そんなふれ込みと、裏にあるのは、オフィスのコストを切り詰めたい各企業の世知辛い事情があった。
が、最先端かと思いきや、コロナ禍で、そもそも通勤概念が消えてしまった。
フリーアドレスの仕事、「ぜんぶ家でできるじゃん」となってしまった。
そもそもオフィスという概念に疑問符がついてしまった。
いきなり時代遅れになってしまった。
じゃあ、わざわざ「集まる場所」、会社やシェアオフィスに必要か?
結論からいうと、ある条件を揃えれば「必要」になる。「必須」になる。
その条件とはなにか。
わざわざ集まることで「仕事のクリエイティブ」のレベルがあがること。
別にアートをつくるって話だけじゃない。
新しい営業戦略も、顧客サービスの向上も、会計システムの簡素化のアイデアも、すべて「クリエイティブ」である。
じゃあ、そんなクリエイティブな「オフィス」ってどうすればできる?
すごく簡単である。
オフィスを「図書館」にしちゃうのだ。
とりわけ、メディア企業、出版社、新聞社、テレビ局、広告会社はすぐできる。
埃の被った資料室をつぶして、いままでためこんだ新聞や雑誌や書籍の書庫を、ぜんぶオープンな壁に広げて、開架式にしちゃう。
各部署でばらばらでとっていた雑誌や新聞なども、ひとつのところにあつめて、だれもがみられるようにしちゃう。
ディスプレイをたくさん用意して、過去のビデオやdvdを気軽にみれるようにしちゃう。
そこにいくつもテーブルを用意して、ひとりで調べ物をしたり、複数で雑談できるようにする。
インターネットで検索できることには限りがある。
ひとは、自分の脳みそのレベルを超えた検索ができないからである。
検索キーワードをセレクトすることが、インターネットという巨大な書庫にアクセスするための「教養」である。で、この「教養」あんがいみにつけるのが難しい。
さらにいうと、「偶然」の出会いが案外ない。
そこで、図書館なのだ。
とりわけメディア企業は、過去の自社のアーカイブをものすごく簡単にアクセスできるようにする。
そこでしかうまれない、知識や歴史との出会いを簡単に創出できる。
すべてのオフィスを図書館に。
これが「だれでもマスメディア時代」の勝ち残るためのオフィス戦略である。
で、KADOKAWAさんのさくらタウンにはそういう要素もあるな、と勝手に思っております。
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