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仕事の「あるべき」論の考察

(Twitterはこちら → @yanagi_092)

前回記事のとおり、東京海上の本社へ異動となり、いきなりCSN撮影をすることになりました。また、異動先の損害サービス業務部は会社大好きキラキラ系の集まる事業統括部。ちょっと「捻くれ者」の私は、徐々に「キラキラ系」の人達の論議に違和感を覚え始めるのでした。

CSN撮影(賠償責任保険)

事前に台本をもらっていたのですが、全てに目を通すのが面倒になって、「読むだけやし、まぁいけるやろ!」ということで、ぶっつけ本番を迎えることにしました。

上司「CSN放送は、録画をして全店の損害サービス課にDVDで配るので、緊張せずに頑張ってね!」
ぼく「まぁ、大丈夫っす!(余裕や!)」

ということで、撮影は順調に進みました。しかし、自動車損害課で民法を少々勉強した程度の知識しかありませんでしたので、商法関連で奇妙なワードが出てきます。


台本

台本2


ぼく「やばい、どうしよ、、、これ(→「店子の責任」)何て読むんやろ? あー、ちゃんと準備しておけばよかった~。事前に台本読んでないのバレたら怒られそうや、どうしよ・・・。みせこ? てんし?、じゃーない、イチかバチかや!」


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・・・

私を見ている上司は何も反応しません。

ぼく「やったぜ、さすが俺。"てんこ"で乗り切った!」

しかし、後に正しい読み方が「たなこ」と知ったのですが、この「てんこ」DVDは全店に広く配布され、長きに亘って多くの損害サービス課の人が「てんこ!」と声高に叫ぶ「損業のやなぎ」をDVDで視聴することになるのでした。


事前準備は大事ですね。


損害保険会社のあるべき論(ありたい論)

損害保険会社では、一撃必殺のパワーワードが存在します。

「保険は公共性のあるものだから・・・」

損害保険会社における多くの事象は、このパワーワードで片づけることができます。「公共性」というパワーワードによって、みんなで仲良く思考停止をして多幸感のなかで論議を終わらせることができるので、特に「会社大好きキラキラ系」が多用する一撃必殺技です。

公共性

本社部門に限らず、キラキラ系の上司が「公共性」というパワーワードを出したときは、注意深く論理構造を探ってみてください。私の経験上、多くの場合は論理が飛躍しており、答えになっていないことが多かったです。

例えば、自動車損害サービス課において、代車費用や過失割合の交渉は大事だと思うのですが、そこにどれだけの人件費が掛かっているのでしょうか。東京海上の総合職・課長代理クラスであれば、年収は1,000万円を超えてきますので、時給にすると相当なコストになることを論議したことがあるのですが、キラキラ系とのやりとりは以下のとおりです。

ぼく「代車費用3,000円/日とか細かい金額の交渉って、従業員の人件費を考えたら全然釣り合ってないよね。真にコストメリットを考えるなら、もっと査定を簡素化(甘く)して、人件費を削減してみては?」
キラキラ系「お前は何を言い出すんだ!保険は公共性のあるものだ!お客様から頂戴した保険料を1円でも無駄にすることはできない!」
ぼく「けど、代車費用3,000円/日のために、人件費をどれだけ使ってるの?我々の人件費って、めっちゃ高いよね。逆にお客様の保険料を無駄に費消しているんじゃないの?」
キラキラ系「修理工場等の関係者に舐められたら、中長期的にロス悪化に繋がるから、人件費うんぬんを言うべきではない!」
ぼく「うん、おつかれー(もうええわ・・・)」

全ての事象において「仕事のあるべき論」の結論が先にあって、その理由を後付けするような論議が多かったので、ゼロベースでの検討がやりにくかった記憶があります。

以下の記事でお示ししたとおり、「社内有名人」の集まる本社の事業統括部においては「会社大好きキラキラ系」が多数を占めています。統括部である損害サービス業務部には「損害査定大好きキラキラ系」が集まる構造となっていることから、私のように「そもそも、そんなに重厚な損害査定って必要あるの?」という「そもそも論」を言い出す人は皆無でした。

もちろん、終身雇用型の日本企業では「人件費は固定費」であり、そこまで簡単な話ではないのですが、損害サービス業務部に来てから、月に2~3回くらいは「保険は公共性のあるものだから・・・」という思考停止パワーワードを聞くようになり、とっっても違和感がありました。


ぼく「論議に行き詰ったら、すぐに『公共性』って言うの止めて欲しいな。そんなに公共性って連呼するなら、公務員になれば良かったのに(あっ、ぼくは学生のときに国家公務員の試験に落ちたんやった・・・)」

ラスト

(続く)

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