2022年5月に聴いた新曲4つ
どうもヤンです。
先にcyAnos「Who knows the answer」についての記事を書こうとしたら、予想以上に筆が書き進まなくて、そのうち忙しくなってなかなか記事が書けずにいました…。というわけで、1ヶ月遅れの記事になってしまいますが、先に5月に聴いた曲について書いていきます!
SEKAI NO OWARI「Habit」
この曲が出たのは4月だけど、私が初めて聴いたのは5月中だったので、無理矢理ねじ込んでおきますw
映画『ホリック xxxHOLiC』主題歌である、SEKAI NO OWARIの最新曲。申し訳ないことに映画は見てないんですけれども、この曲に関しては本当に曲単体としてかなり評価が高いと思っています。
初見でこの曲を聴いた時は「こんな韻の踏み方があるのか!?」って感じでしたね。「所詮アンタはギフテッド / アタシは普通の主婦ですと」「そんなHabit捨てる度 見えてくる君の価値」「俺たちだって動物 / こーゆーのって好物 / ここまで言われたらどう? / 普通 腹の底からこうふつふつと」と、今までのJ-POPでもあまり見たことがないような韻の踏み方を活用しているような気がします。しかし、それが気持ち良すぎて中毒性が高い。
さらに、歌詞の主張も激しいのもこの曲の中毒性を高めています。
これは2番Aメロ、TikTokとかでよく流行っている部分ですね。「大人の俺が言っちゃいけない事言っちゃうけど」という前置きから「説教」に関する傲慢な持論を展開するこの歌詞、なんとも皮肉が効いてますよね。最終的には「そもそもそれって君次第だし / その後なんか俺興味ないわけ」と見放してくるの、叱るだけ叱ってあとは何もしないダメ上司やダメ教師の典型例ですよ…。でも、そういったダメ人間が世の中に蔓延り、人々の「Habit(習性)」として受け入れられてしまっている、というのが今の日本社会です。
このような曲が今の日本で流行るというのは、やはり何かしらの意味があるのではないかと思います。Ado「うっせぇわ」が流行った時にも話題になりましたが、今の若者は大人に対する怒りやストレスを音楽を捌け口として解消しているのかもしれません。
とあ「いらない、いらない、いらない。- ft.星界」
ボカロPとあが音楽的同位体「星界」を用いて制作した、3拍子でメロウなバラード曲。
KAMITSUBAKI STUDIO所属バーチャルシンガー花譜を元にして作られた音楽的同位体「可不」に続いて作られた、音楽的同位体第二弾の「星界」。今回は同じくKAMITSUBAKI STUDIO所属バーチャルシンガーであるヰ世界情緒の歌声をもとにして「星界」のボイスが作られております。
「星界」のボイスの特徴は、なんと言っても人間歌唱に限りなく近いクオロティであること。「可不」も人間歌唱に近いことが可能でしたが、ブレスの使い方や抑揚の付け方などが「可不」よりもさらにレベルアップしているように思います。科学の力ってすげー!
そして、「いらない、いらない、いらない。- ft.星界」はブレスが得意で優しい歌声を持つ「星界」の特徴を思う存分活かしたバラードとなっております。歌詞も別れを描いた切ない物語となっており、自然と涙が出そうになります。そして、3拍子で進んでいくことにより、どこか心地よく、救われるような歌になっている気がします。同時期に発表されたとあ「リセットなの。-ft.可不」と合わせて、心を落ち着かせたい時に聴きたいバラードですね。
キタニタツヤ×はるまきごはん「月光」
ボカロPであり、かつともにボーカリストとしても活躍しているキタニタツヤとはるまきごはんが、ゲーム「プロジェクトセカイ」内のユニットVivid BAD SQUADために共作で書き下ろしたロックナンバー。Vivid BAD SQUAD × MEIKOのバージョンのほか、本人たちが歌うバージョン、初音ミクと鏡音リンが歌うバージョンの3つが用意されており、もう豪華絢爛って感じや。
この曲は「月光」の名の通り、夜に聴きたくなるような幻想的な雰囲気を持つ曲ですね。歌詞としては「月」のように光り輝く憧れの人に追いつこうとする気持ちは分かるけれども、自分のアイデンティティも忘れないでね…という感じでしょうか。全体的にキタニタツヤらしい勢いを感じる音程が使われていると思うんですけれども、ところどころではるまきごはんらしい幻想的なアレンジが施されていて、「月光」が持つ雄大さと神秘性を表現しているような気がします。
そして、この曲はそれぞれの歌唱の違いにより3倍楽しめる、というのもいい点ですね。本人歌唱版は力強いキタニタツヤとウィスパー多めで優しいはるまきごはんという歌声の違いが、「月光」のサウンドと非常にマッチしていてとても好きです。初音ミクと鏡音リンの組み合わせはボカロゆえに声が高く、それが神秘性をより高めているような気がします。Vivid BAD SQUADは混声合唱ゆえにより豊かな表現が詰め込まれており、MEIKOの特徴的なボカロボイスも相まって圧巻の出来になっていますね。どのバージョンもめちゃくちゃかっこよくて、かつ中毒性マシマシです。
DECO*27「愛言葉Ⅳ」
2010年の「愛言葉」、2013年の「愛言葉Ⅱ」、そして2018年の「愛言葉Ⅲ」以来となる、DECO*27の「愛言葉」シリーズ最新作。
これに関しては、もう「天才」としか言えませんね…。同じようなコード進行、似たような伴奏を使って、だけれども異なるメロディラインに当てはめ、かつ過去に書いた歌詞を引用しつつ新しい曲を生み出す、これってなかなかできるようことじゃないと思うんです。これはひとえにDECO*27が名曲を量産し続ける最強のボカロPであるからこそなせる技ではないでしょうか。
「愛言葉Ⅳ」では今までの「愛言葉」シリーズはもちろん、「ゴーストルール」(2016)、「妄想感傷代償連盟」(2016)、「乙女解剖」(2019)、「アンドロイドガール」(2019)「ポジティブ・パレード」(2020)、「ネオネオン」(2020)、「ヴァンパイア」(2021)、「サラマンダー」(2022)、「ジレンマ」(2022)をオマージュして「愛」に関する歌詞を綴っております。冒頭8小節目に出てくる「Hey!」という合いの手は「ヴァンパイア」オマージュですかね?
また過去の歌詞を繋ぎ合わせるだけでなく、「愛言葉Ⅳ」ならではのオリジナルな要素も盛り込んでおります。例えば「君がくれた音に 弾けた火花に / 初めましてから ずっと恋しちゃってるんだよ / 君のいない未来考えらんないよ これから先も二人がいいじゃん」とサビで「初音ミク」を入れたり、「一途になるほど 逃げたくもなったよ / 散々な僕のこと 呼んでくれてありがとう」と数字順に歌詞を盛り込んだり、と言った感じに。DECO*27の歌詞の美しさには毎回やられてばっかりですね…。
ボカロPとして初期から「初音ミク」という存在と関わってきたDECO*27にしか書けない歌、「愛言葉Ⅳ」はそんな歌だと思います。
「こんな歌歌ったんだって 君が輝けるように」
今回はこれで以上です!次回の記事もお楽しみに〜