ダムタイプ|2022:remap 、2023/2/25~5/14 アーティゾン美術館
本作は、私が2023年に鑑賞したアート作品の中でもっとも謎めいていた作品でした。
謎、といっても私が難しく考えすぎていただけだったようで、あえて記事にしなくてもよいかと思いましたが、高谷史郎氏が制作して、これから公開される二つのパフォーマンス作品のタイトルが、本作「2022:remap 」と関連しているような気がするので、私の個人的感想とともに、考えたことをつづります。
いよいよ今週末2/9からロームシアター京都にて公開予定の舞台作品「タンジェント」(総合ディレクション 高谷史郎)
3/28~4/14に新国立劇場、4/27、28にロームシアター京都で公開される「TIME」(坂本龍一、高谷史郎、田中泯、宮田まゆみ、石原淋)
三角関数のtangent、とtime(時間)は、両方とも、ある地点の地球上の位置をしめす座標(緯度、経度)を求めるときに必要な要素です。
緯度は観測地点の真下の方向と赤道面がつくる面でできる角度、
経度は基準となる経線と地軸が作る面と、観測地点を通る経線と地軸がつくる面でできる角度です。
三角関数(sin、cos、tan)は、角度と線分の長さの関係を表す関数であり、その性質を組み合わせて応用することで、長さから角度を知る、角度から長さを知る、角度から向きを知る、といったことが出来ます。
三角形を円に、さらに球面に展開して応用することで、様々な計算ができるようになります。
地球は回転楕円体と呼ばれる、赤道方向に少し潰れた形をしています。
そのため、緯度には、地球の正確な形状や、重心、重力のゆがみを考慮した複数の種類があります。それらを求めようとするとかなり複雑な計算式が必要になります。これにtangentを含めた三角関数が応用されて使われています。緯度 - Wikipedia
また、航海の時に、目的地に行くのにどの方向へどれだけ進めばよいか、ある方角であるスピードで進んだ場合、何分後にはどの場所(座標)にいるか、といった問題に三角関数を応用した計算で答えを出すことができます。
経度にも複数種類があり、このうち天文経度は天体 (たとえば太陽 ) が観測地点の子午線を通る時刻とグリニッジ子午線を通る時刻の時間差から求められます。
「タンジェント」も、「TIME」も地球上のどこに自分が今いるのかを知るのに必要なものです。
そして、「2022:Remap」です。
展覧会会場の出口付近に、作品を解説したフライヤーがおかれていました。それには、作品全体を上からみた見取り図がのっていました。
その図面をみて、いろいろと考えを巡らした結果、最終的に、作品全体がコンパス(方位磁針)を表しているようだと考えました。
(いや、こじつけじゃないのと思う方や、あるいは一目瞭然のことを何をいまさら言っているのかと、思われる方も多いでしょうが、私を悩ませたのは、この作品が全体的に正方形や、立方体から成り立っていたからです。そのあたりの考察は別記事にかきます。)
この作品がコンパスを表していることに気づいたとき、作品の感想として、自分が今どこにいるのか、目的地の方位は示されているけれど、どこにも行かずに今いる場所にとどまっている自分、というものを意識しました。
上記の二つのパフォーマンス作品も、もしかしたら、地理学的な要素から自分のおかれた場所、状況を想起させるような、何かが含まれているのでは?、と予想しました。
チケットは入手済み。観るのが楽しみです。
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