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渾身の一撃が生んだ同点弾!大橋祐紀選手

彼は虎視眈眈こしたんたん と得点を狙っていた。

- 9月26日、第30節の川崎戦。その日、先発に選ばれた大橋に追加点を取るビッグチャンスは前半16分25秒に訪れた。絶妙なタイミングで相手のディフェンスの裏に走った大橋に平岡のスルーパスが届く。利き足である右でシュートを打てる場所にトラップできたが、ボールとゴールマウスの中心を結ぶ直線状にGKチョン・ソンリョンが的確にポジションを取っていた。大橋がシュートを打つ直前、チョン・ソンリョンは自身の長い手足を倒れながら広げ、シュートコースを完全に消しに行く。大橋は工夫がないままファーサイドにシュートを流し込もうとするが、シュートはチョン・ソンリョンの左足に当たり、ゴールマウスの外へ。彼は試合後に悔やんだはずだ。GKの頭上を狙った”浮かすシュート”であれば決まっていたと。そして、誓ったに違いない。次こそは決めてやると。
彼はそこから1ヶ月、GKとの1対1の居残り練習の中で、GKの頭上を狙った”浮かすシュート”を練習した。来たる機に備えて。 -

横浜FC戦後半77分05秒、ビハインドの状況で途中交代で入った大橋に同点弾を取るビッグチャンスが訪れる。山田のアーリークロスにウェリントンがポストプレー、ボールは大橋に渡る。それまで大橋をマークしていた横浜FCのDF高橋は山田のアーリークロスをダイビングヘッドでクリアしようとするも失敗し、大橋にボールが渡った際には倒れていた。大橋はフリーの状態でGKとの1対1を迎える。
ファーストタッチは成功。利き足の右にボールを置けた。そのボールに対して、横浜FCのGKブローダーセンはシュートコースを消すため自身の長い手を広げながら、ブレイクアウェイ(キーパーが体ごと飛び込むこと)を仕掛けてきた。
しかし、大橋は冷静であった。その瞬間、右足のつま先でボールをチップキック。ボールはGKブローダーセンの頭上を超えて、ゴールマウスのネットを揺らす。

川崎戦でビッグチャンスを逸してから1ヶ月。居残りで練習した”浮かすシュート”は、残留を争う大一番で貴重な同点弾をもたらしたのである。


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