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故郷4『強くなりたいと強く思っていた』

iyamori
#優しさを感じた言葉  
#再春館製薬
#星読み
#過去の傷

(このエピソードは以前書いてアップしたものを「故郷」の一部として再編集しています)


yamoはお家に居る時には口を利かなくなっていた。
お家に居ること自体が怖いと思うようになっていた。

子供たちも体は大きくなるし、家族6人で団地暮らしは限界だったのか、会社の社宅で暮らせるのは7年間だけの福利厚生だったからなのか、いずれにしても家族は引っ越した。

yamoが小学校4年生になる年だったと思う。

同じ茨城県内だった。
隣町だった。
学区は変わった。
小さいけど平家の一戸建てだった。
庭も有った。


夜中に酒臭さと共に襖が開く。
どのタイミングで体を固くしたかまでは覚えていない。

当時は、「あなたの妹よ」と教えられて一緒に暮らしていたユウコ(仮)という子と布団を敷いて並んで寝ていた。

2つ上の姉は別の部屋で寝ていた。

姉は姉で、ユウコの姉と並んで寝ていた。

ミカ(仮)だ。
ユウコとミカは父親違いの姉妹だった。
(だいぶ後でこのことは知る)

ユウコとミカの母親ミチヨは、しょっちゅうなぜか夜中に私を蹴り飛ばしに部屋に入ってくる。

1番最初にそうされた時のことを思い出せない。

気がついたら既にそうされることが当たり前みたいになっていた。

夜中に玄関の鍵が開けられて帰宅が分かった時には目覚めていた。
部屋の襖が開く頃には体を固くして丸くなっていたと記憶している。


父親は工場勤めで三交代制だったので、夜勤があった。

夜勤をしたところで父親の収入だけでは足りなかったのだろう。

ユウコとミカの母親は、車で10分くらいの所にスナックが有って、そこでホステスとして働くようになっていた。
歩いても通える所だったはずだけど、ミチヨは毎日タクシーで通っていた。

父の稼ぎは間違いなく少なかったけれど、ミチヨの金銭感覚もちょっとおかしかった。そもそもが派手好きだったんだろうな。


父親の夜勤の日は私は眠らせてもらえない。

襖が開いて、まずは思いっきり蹴られる。

腹の時もあるし、頭部であったこともある。

「ねたふりすんじゃねえよ」と言われて蹴られていた。


なぜyamoなんだろう?
なぜユウコは蹴られないんだろう?
途中何回か聞いてみたこともあった。
蹴られながら「なんで?」と。

納得がいく返事なんか有るわけない。

勢い、漏らしたこともしょっちゅうだった。
漏らして布団を濡らすとまたひどく怒られるので、蹴られて痛いと思う瞬間と、ああ、、まずいと思う瞬間同時に布団から這い出たこともよく憶えている。

蹴らないでとお願いする継母に伸ばした手と、濡れてしまったパジャマのズボンを隠す手はいつもとても冷たくて、なぜか寒かったという感覚が残っている。


今思い出しても不思議なことが1つ。

当時ミチヨはよく私に聞いてくる質問があった。

「オマエの誕生日は?」と。

「7月12日」と、幼い頃から疑わずに知っていた日を疑わずに答えた。

ミチヨはそれがなぜか気に入らない様子だった。
また蹴るし殴る。
そしてオマエの誕生日は7月14日だと言う。
言い直せと言う。
イヤだと最初の頃は抵抗していた記憶がある。

何度目のその「yamoの誕生日は12日か14日か」の夜中の尋問だったか。

台所にいつもミチヨが座る椅子があって、ミチヨはそこに座ってタバコを吸っていた。
yamoはテーブルを挟んで向かい側に立たされていた。
パジャマは濡れたままだ。

姉が起きてきた。
「どうしたの?」

ミチヨは「イイカラアンタはネナサイ」と言った。


「泣いてるの?もらしちゃったの?」

yamo小学4年生。
姉は6年生。

「イイカラアンタはネナサイ!」と、また姉にミチヨが言っている様子がyamoは恐ろしくて泣くしかない。
しゃくりあげながら泣いてるyamoに姉が寄ってきてまた聞く。


「どうしたの?なんでおこられてるの?」

背をyamoに合わせるように低くして、私の泣いている顔を覗き込むようにして「いってごらん」と言った。

yamoは泣きながら誕生日の説明をした。

小さい小さい声だったと思う。

姉が耳を近づけてうんうんと聞いて、「わかった」と言った。

タバコを吸いながらミチヨが姉に大きい声で怒鳴っている様子だった。


「うるさい」

姉は立たされていたyamoの両肩に手を置いて私を床に座らせた。
そして確かに確かにそう言った。

「うるさい」

静かに言った。
ムキになって逆らうという感じではない。

「この子の誕生日は12日。14日なんて聞いたことない。お父さんに聞いて。もういいでしょう?」

それからyamoは姉に促されて一緒に濡れた下着からパジャマから色々取り替えた。


翌日、yamoが汚したいろいろを姉が洗濯させられていた。
姉にゴメンナサイと言った。

姉は、「次にまた誕生日のことを言われて寝かせてもらえないような時は、14日と言っちゃいな」と言った。

「あれはただのイジワルなんだから」と。

yamoはよく髪の毛を夜中に切られていた。

前髪が変に曲がっていることはしょっちゅうだった。

まつ毛が切られることもあって、瞼にハサミが触る冷たさは今も思い出すと心が塞ぐ。

yamoが汚したパジャマや下着はいつも姉が洗っていた。
その日、yamoが汚した色々を洗濯機に入れている姉の前髪がいつもより短いと感じた。
ほとんど前髪が無かった。


yamoはまた泣いた。


姉は面倒くさそうに「ただのイジワルなんだから」と、「泣かなくていい」と言った。
面倒くさそうだった。


ただのイジワルか。

yamoは、たぶんその日以来だったと思う。
ミチヨに誕生日をイジワルで聞かれると、14日と答えた。

本当は12日だけど、14日だと言うだけのことがどうしても出来なかった。
それでずうーーっと痛ぶられてきた。

翻って姉が、「うるさい」とミチヨを嗜めてくれたことで、私の何が安心して次からの「イジワル」に逆らわないことを選べたのか。


姉も私も蟹座に太陽を持つ。

星読みを学んでいると、自分の太陽星座を生きることが、結局のところ「自分らしく生きること」と言うふうに教わる。
#星読みテラス
#かげしたまゆこ

そう言う性質だったり、選択する時の傾向だったりと、色々言い方は違えど結局は太陽星座は人生に大きく影響する。

蟹座は戦う星座だ。
大事だと思う人のために戦う。
大事だと思う人を自分で守ろうとする星座。
善悪も勝つも負けるも考えない。
そこには思考力はあまり無い。
家族が困っているから咄嗟に戦いの場に走っていくというイメージだ。
戦略があるわけでも無いけどとにかく行かなくちゃと思って行くという感じだ。

姉は優しい人だ。
強く優しいまま大人になったと思う。
信念の人。
今も昔も変わらない。
蟹座に太陽をまんま生きてきて、今もそう生きている気がする。


いつからか、yamoは姉のように強くなりたいと思うようになっていた。



子供の頃の夢は?という質問が星読みを学んでいると出てくる。

なりたい自分は?とか。

私は常々「早く大人になりたい」と思っていたと思う。

なりたい自分なんて知るもんかと少し前までは思っていた。

現在私は大人になってからお陰様でだいぶ経つけれど、こうして普通に大人で居られる事は、ひとえに姉のおかげだと言える。


いつまでも元気で暮らしてくださいと、心から願う。


最後まで読んで頂きありがとうございました。
また頑張ろうと思います。

又次回。別のエピソードで。

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