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非正規職員抜きに図書館は動かない

2023年6月7日付『毎日新聞』対抗社会面「図書館非正規職員『待遇改善を』」
 日本図書館協会が6日、東京都内で開いた記者会見によると、「全国の公共図書館の職員の数は約42,000人(2022年4月1日現在、兼任を除く)。過去15年間で、正規職員の割合は4割から2割に下がり、非正規職員の数が増えた。」
 自治体と契約している会計年度職員などの非正規職員、自治体と契約している民間企業の非正規職員など、「非正規」といっても様々で、そうした人々が同じ職場で不安を抱えながら働いている。一方、その2割とされる正規職員の中には、役所の定期異動で図書館に配属され、必ずしも図書館業務に知見があるわけでも意欲があるわけでもない人もいるだろう。じっさい、記者会見で経験を話した会計年度職員は「本を選ぶ、買う、レファレンス業務など専門的な知識が必要な業務は非正規の職員が担っている実態があった」と話したという。
 地域の魅力を掘り起こし発信する拠点としての機能に注目し、ユニークな活動を展開する公共図書館は増えてきた。しかし同時に、こうした図書館の地域貢献・文化創造機能への理解に欠ける市町村はあり、その経費削減対策の矢面に挙げられてしまうのも「住民の暮らしに直接の影響がないから」として軽視される図書館の宿命であり続けてきた。
 加えて新聞もこうした「地味な」記事を取り上げることは少なかった。新聞の体力が衰えた結果でもあるだろう。不甲斐ないOBとしては、日本図書館協会の記者会見に足を運ぶ目配りのきいた記者がいて、それを社会面の囲みにしてくれた整理記者のセンスに感謝したい。

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