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「ポジションサイズ」 ① 分散投資の重要性

個別株投資を開始するにあたり、まずは分散投資の重要性について言及します。「現在ポートフォリオ理論」とは、今は亡き経済学者のHarry Max Markowitzが提唱した概念です。「資産運用において優れたポートフォリオは、複数の銘柄や資産に分散投資されたものである」というものです。ポートフォリオは資産構成、つまり保有している金融資産の内訳(株式や債券、金など)を示しています。現代ポートフォリオ理論では、特にその複数の金融資産の値動きの相関関係が負である場合に限るという注訳があります。例えば、AとBの金融資産を保有していた場合、Aが上昇しBが下落するような関係のことを指します。

上昇2に対して下落1の割合で動くAとBについて、AとBの相関関係が正の場合、それらが合わさったポートフォリオは動きが荒くなる

上の図は、AとBの上昇率と下落率が同じ動きの場合のポートフォリオです。AもBも、単位時間あたりの下落率が1に対して上昇率は2で作図をしています。A+Bのポートフォリオは、下落率も上昇率も2倍になり、値動きが荒くなります。下図のB’はBを真逆にしたもの(B’ = -B)で、Aとは完全な負の相関関係があるものです。

B'=-Bとしている。AとB'の相関関係が負の場合、それらが合わさったポートフォリオは動きが緩やかになる

A+B’のポートフォリオは、安定して資産が増加していることがわかります。負の相関関係の金融資産を保有しているポートフォリオは、より安定しているのです。「投資家が合理的でリスク回避的」と仮定すると、より安定したポートフォリオが好まれるため、「分散投資は大切だ」という概念が現在ポートフォリオ理論です。つまり、合理的に考えた場合、債券や株式といった異なる値動きのものを複数保有する方がよいということです。しかし、2022年のように米国金利が急速に上昇するような環境下では、債券や株式も同じように下落する場合もあり(負ではなく正の相関関係を持ってしまった)、現代ポートフォリオ理論はあくまで理論に過ぎず、限界はあります。これと似た概念がコア+サテライト運用で、負の相関関係ではありませんが、安定したコアのポートフォリオと、攻めて高いリターンを狙うサテライトのポートフォリオを組み合わせて運用するものです。米国成長個別株投資も、コアサテライト運用のように、あくまでサテライトとして口座を分散した上で運用する方が良いと思います。

参考:Ralph Vince 「投資家のためのマネーマネジメント」

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