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「買いのタイミング」 ① Overhead supplyの概念

Overhead supplyとは

少し右上の傾きをもった抵抗線となることもあるが、典型的には水平にきれいに抵抗性が形成される。損はしたくない、できればほんの少しのプラスで手仕舞いたいという考えが、この抵抗線を形成する。

株価は、買い手(需要)と売り手(供給)の綱引きのバランスで決まってきます。誰もが、できれば損はしたくないし、できれば大きく儲けたいものです。そのため、安値には買い手が、高値では売り手が多くいます。特に、高値付近で買って売られてしまった場合、含み損がありますから、損をしない場所で売りたいですよね。こうして、上図のように、高値には売り圧力により抵抗線が形成されます。しかし、もし売り手が少なくなり、その状態で抵抗線を超えた場合はどうなるでしょうか。損を手仕舞いたい売り手が少ないため、スルスルと株価は日に日に上昇し、どんどん高値を更新していくのです。これがOverhead (抵抗線の上の) supply(売り圧力)の概念で、短期トレーダーが狙うべきポイントです。うまくこの上昇気流に乗ると、株価上昇の日>株価下落の日が続き、また株価上昇時は強く上昇(株価下落時は弱く下落)し、2週間程度の短期間で10-20%の株価上昇の恩恵を受けることができます。今は亡きWilliam O'Neil流投資では、通常は利確は20-24%の所で行うが、3週間以内に20%以上の強い上昇があれば、強い上昇気流と判断し、保有を続けるという特別ルールを設けています。ただし、逆に1週間程度の超短期間で20%も上がってしまう場合は、注目が集まりすぎの速度違反、ある程度の調整がくるものと判断し、欲張らずに売り切るメンタルが必要になります。

Overhead supplyで大事なこと

・売り枯れている (個人投資家の売り)
・抵抗線を越える時には強い買い手の強いエネルギー(機関投資家の買い)

が揃うことが大切です。有名なエントリーパターンである”Cup-With-Handle”や”Double-Bottom”も、基本的にはこの概念の応用です。Cup-With-Handleでは、①handleの部分で出来高軽く売り枯れていること、②しっかりと下落しふるいおとしが起きていること、③抵抗線を越える際に出来高高く上昇していること、が大切です。これらの条件がそろうと、典型的な”Cup-With-Handle”ベースから放たれ、するすると株価上昇が起きる上昇気流に気持ちよく乗ることができます。逆に、handleの部分の出来高が高かったり、handle形成の時に安値が切り上がっている楔状の下落の場合や、抵抗線を越える時に出来高が軽く上昇している場合は、ふるいおとしというよりはさらなる下落の始まりの可能性があり、見送るべきベースの形です。抵抗線を超えて上がったとしても1桁%程度にとどまり、推進力なく、徐々に勢いがなくなっていき下落していくことが予想されます。

左図は典型的な良いCup-With-Handleであるが、Cup(赤)の形成後、handle部分でしっかり安値が下がって(緑)売り枯れていっていることがわかる。一方右図では、handle部分で安値が切り上がる楔型(水色)であり、だましのパターンとして知られている。

出来高の重要性

上記の説明でもある通り、トレードにおいて出来高(Volume)は非常に大切です。個人投資家(retail investor)と機関投資家(institution)の違いは、資金力にあります。機関投資家は保険会社、年金、投資ファンド、信託銀行など、顧客から集まった莫大な資金を運用しているため、個人がもつ口座資金とは資金力に天地の差があります。個人がある株式を$10,000売買したところで、機関投資家の売買量に比べたら小さいものです(まさにretail)。機関投資家の売買ではその豊富な資金力から出来高が高くなり、また本気の購入の場合は1日で終わらず数日売買が続きます。出来高を伴って連日株価が上昇していたら、機関投資家が連日買っていることが予想される、非常によいサインです。逆に、出来高を伴って株価が下がる日が続けば危険で(distribution, 売り抜けと言います)、需要(買い)と供給(売り)のバランスでは供給の方が強く、今後も下がっていくことが予想されます。”distribution day”は指数で使用される指標ですが、当然個別株にも応用できます。2-3日続けて安値更新して、出来高も連続で上がっていたら、それはもう売りを考慮した方がいいサインです。

市場とは、機関投資家による大いなる資金の動きで構成され、私たち個人投資家はそのほんの一部にしかすぎないことを忘れず、出来高を見て上昇気流、下落の気配を察知し、適切なtrendに乗って行きたいものです。

参考:
William J. O’Neil 「オニールの相場師養成講座」
Youtube “Mark Minervini: Determining Proper Buy Points“ 

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