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管楽器と録音⑤

凄いことに気が付いてしまった…

管楽器一人多重録音を始めて約2年、手持ちの楽器をオクターブ上げたり下げたりしながらなんとかやって来たのですが、E♭クラリネットや、アルトクラのパートの場合は、事前にin B♭に楽譜を移調していたんですよ。

よく分からないと言う方もいらっしゃると思うので、一応説明しておくと、管楽器奏者以外にはなかなか理解してもらえないんですが、ピアノとかギターって"ド"は"ド"じゃないですか。でも管楽器って"ド"がミ♭”だったり"シ♭"だったり、場合によっては"ファ"だったり”ラ"だったりするんですよ。自分でも何を言っているのかわかりませんが、何を言っているか分からない方はこちらを参考にしてみたりしてください…

で、私はクラリネットはB♭管のもの(普通のクラリネットとバスクラリネット)しか持っていないので、E♭管の入っているアンサンブルなんかの場合は、楽譜をわざわざ一回Finaleに手打ちで打ち込んで、それをプリントして吹いていたんですよ。

未だ現役

移調が…できる…だと⁉

で、先日からつらつら書いているCakewalk by BandLabですが、かなり最初の頃からバスクラリネットの音を1オクターブ下げてチューバの音域を鳴らしたり、ピッコロの音はフルートで吹いて1オクターブ上げたりしていたのですが、その機能がこちら。

移調したいトラックを選んでプロセス→トランスポーズ
"量"で数値を決定。オクターブ上は+12、下は-12。
ではB♭→E♭は?

よく見ると、1度単位で設定が出来るんですよね。ということは、in E♭の楽譜をB♭管でそのまま吹いて録音して、5度上げ、もしくは7度下げれば理屈の上ではちゃんとその高さの音になるのでは!?

絶対音感が無くて良かった

やってみたところ、もちろん弊害はあって、デジタルで移調するとはっきり言って音の輪郭が歪む感じがします。音色が劣化するというか、詳しいことは判りませんが、おそらく元の音の倍音の成分比が変わるか何かそんな感じのことで、ちょっとヒネた感じの音になる傾向があります。
オクターブ下げの時はイコライザーなどを使って、ゆがみを誤魔化す…補正するのですが、幸いE♭管ってもともとB♭管に比べてヒネた感じの音がするので、これはそのままでもそれっぽい音になるような気がします。

あと、E♭の楽譜をB♭の楽器で吹くので、それだけで『気持ち悪い』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。私の知り合いにも絶対音感を持つがゆえに、そもそも"ド"を吹いて"シ♭"が出ることに抵抗がある人がいるのですが、それの比ではない気持ち悪さだと思います。しかしこれまた幸いなことに、その辺に無神経というか懐の深い私なので、全く気になりませんでした。

作業手順

最初にE♭のパートだけを全部録音して移調、後はそれを聴きながらB♭のパートを肉付けしていくことになります。(一度移調すると元に戻すのが面倒なのと、そのたびに音が劣化していくことになるので)
ただ、実は録音を進めていく中で、E♭クラリネットのパートでどうしても気に入らない場所が出てきて、少し迷ったのですが途中で同じようにそのままB♭管で吹く = 5度で完全平行移動(?)という力技も試したのですが、『まぁこんな和音もあるよね』くらいの雑な人間で良かったなぁと胸をなでおろしています。(その後、その部分だけ移調する)
この先、このスタイルで録音を続けていく為にE♭クラリネットやアルトクラリネットのレンタルや購入を半ば本気で考えていましたが…要らないな…となってしまいました。楽器屋さんごめんなさい。

個人的には今回の録音はそういった発見もあり自分にとっては少し大げさに言うとエポックメイキングというかゲームチェンジャー的な試みでした。

Arsenal for Clarinet Choir

ということで出来上がったのがこちら。

表紙と中の動画にはギャップがある場合があります

吹奏楽の名曲と言われていますが、ちょうど流行ったといわれる時期が私が吹奏楽から離れていた頃だったので知りませんでした。数年前に演奏して一周遅れで気に入ったのですが、皆さん大好きなようなので石が飛んでこないことを祈ります。解説はこちらを参考に。

吹奏楽的な文化は嫌いですが吹奏楽の曲は好きですよ?

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