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5歳娘「パパ、葛藤ってなぁに?」

ある日、近所の公園で

娘「ねえ、パパ」

ワイ「なんや?娘ちゃん」

娘「あいさつってなぁに?」

ワイ「あいさつか」
ワイ「何か、って言われるとちょっと困るな」
ワイ「うーん・・・」
ワイ「要は、人と会ったり別れたりするときに交わす言葉・・・」
ワイ「そんなんがあいさつやな」

娘「・・・」
娘「あっ!」
娘「ねえ、ハスケル子お姉ちゃん!あいさつってなぁに?」

ワイ「!?」
ワイ「(今ワイが説明したばかりやないかい・・・!)」
ワイ「(分かりにくかったっちゅうことか・・・?)」
ワイ「(そこそこ正しい定義を説明したはずやけど・・・)」

ハスケル子「ええと、あいさつっていうのは・・・」
ハスケル子「おはよう、こんにちは、こんばんは」
ハスケル子「あとは、さようなら、とか」
ハスケル子「そういうのがあいさつだね」

娘「分かった!」

ワイ「ファッ!?」

娘「じゃあ・・・」
娘「お世話になっております!」
娘「↑これも、あいさつ?」

ハスケル子「そうだね!」

ワイ「それは知ってんのかい」

またある日、近所の公園で

娘「ねえ、パパ」

ワイ「なんや?娘ちゃん」

娘「葛藤ってなぁに?」

ワイ「今度は葛藤か・・・」
ワイ「うーん・・・要は・・・」
ワイ「心の中に、二つの気持ちが湧いてきて、どっちにするか迷うこと・・・」
ワイ「そんなんが葛藤やな」

娘「・・・」
娘「あっ!」
娘「ねえ、ハスケル子お姉ちゃん!葛藤ってなぁに?」

ワイ「!?」
ワイ「(またそのパターンか・・・!)」
ワイ「(地味に傷つくわ・・・)」

ハスケル子「ええと、葛藤っていうのは・・・」
ハスケル子「例えば」
ハスケル子「痩せたいけど、ご飯いっぱい食べたい・・・!」
ハスケル子「うわあああ・・・!食べるべきか、我慢すべきか」
ハスケル子「どうすべきなの!?」
ハスケル子「そういうのが葛藤だね」

娘「分かった!」
娘「じゃあ・・・」
娘「ある企業の株価がどんどん上がってるから、私も買いたい・・・!」
娘「でも、これから下がるかもしれないから、買うのは怖いかも・・・!」
娘「どっちにしよう・・・!」
娘「↑これも、葛藤?」

ハスケル子「そうだね!」

ワイ「5歳児が株価を気にすな」

悔しいワイ

ワイ「ぐぬぬ・・・」
ワイ「なぜワイの説明は伝わらんのや・・・」
ワイ「なぜあのハスケル子とかいう中学生の説明は伝わったんや・・・」

ハスケル子「まず説明しないことですね」

ワイ「ファッ!?」
ワイ「まず説明しないこと・・・?」

ハスケル子「たぶん、人間の脳は」
ハスケル子「具体例を与えられると、自動的にそこから抽象的な概念を理解しようとする・・・」
ハスケル子「そんな機能を持っています」

ワイ「ど、どういうこと?」

ハスケル子「つまり・・・」

娘ちゃんの脳「おはよう、こんにちは、こんばんは、さようなら・・・」
娘ちゃんの脳「それがあいさつなの・・・?」
娘ちゃんの脳「ということは、その4つの言葉は同じ仲間・・・?」
娘ちゃんの脳「共通点があるということ?」
娘ちゃんの脳「この4つの言葉の共通点は何だろう・・・」
娘ちゃんの脳「どれも、人と会ったときや別れるときに交わす言葉・・・?」
娘ちゃんの脳「あ、それがあいさつ・・・?」

ハスケル子「↑こんな風に」
ハスケル子「具体例をいくつか挙げられると」
ハスケル子「脳はそれらの共通点を自動的に探そうとする・・・」
ハスケル子「多分そうなってる気がします」

ワイ「そうなん・・・?」

ハスケル子「いえ、何のデータも根拠もないので」
ハスケル子「私の妄想です」
ハスケル子「でも、ちょっと試してみましょうか」

具体例を列挙してみる

ハスケル子「ビール、日本酒、ワイン・・・」
ハスケル子「これなーんだ?」

ワイ「お酒や」

ハスケル子「正解です」
ハスケル子「なんか、具体例から共通点を探してる気がしません?」

ワイ「ほんまや」
ワイ「具体的な単語を3つ聞いたら、頭が勝手にお酒や!って言うてたわ」

ハスケル子「アルコールを含む飲料の総称ってなーんだ?」
ハスケル子「こう問われるより、分かりやすい気がしますよね」

ワイ「ほんまや・・・」
ワイ「アルコールを含む飲料の総称の方が、定義としては正しい感じなのになぁ」

ハスケル子「まずは定義を伝えずに、具体例をいくつか言ってあげる」
ハスケル子「そして、それらの共通点が相手の頭の中にボンヤリと浮かんだところで」
ハスケル子「定義を伝える」
ハスケル子「そうすると分かりやすいのかもしれませんね」

ワイ「なるほどなぁ」
ワイ「例えば、甘いっていう言葉の意味を説明するにしても」
ワイ「甘さの定義を伝えるより」
ワイ「チョコ、飴、ジュースは甘いです」
ワイ「麦茶、ピーマンは甘くないです」
ワイ「そう言われたほうが分かりやすいもんなぁ」

ハスケル子「そうですね」

ワイ「でも、何でそっちの方が分かりやすいんやろう」

ハスケル子「たぶん、生まれた時は言葉で説明を受けることができないからじゃないですか?」

ワイ「どういうこと?」

赤ん坊は言葉で説明を受けることができない

ハスケル子「生まれたての赤ちゃんって、まだ言葉を知らないじゃないですか」

ワイ「せやな」

ハスケル子「でも、いつの間にか少しずつ言葉を覚えていくじゃないですか」

ワイ「せやな」

ハスケル子「昨日ママが、パパに向かってねえって言った」
ハスケル子「そしたらパパが振り向いた」
ハスケル子「さっきもママが、パパに向かってねえって言った」
ハスケル子「そしたらまた、パパが振り向いた」
ハスケル子「振り向かせたいときに、ねえって言うのかな・・・」

ワイ「なるほど」
ワイ「言葉で教わることができないから」
ワイ「具体的な場面から学ぶしかないわけか」
ワイ「だから、具体的な例から共通点を見つけ出して、抽象的な概念を理解しようとする・・・」
ワイ「そんな能力が、生まれつき備わっているんかもな」

ハスケル子「だと思ってます」
ハスケル子「なので、何かを人に伝えたいときには」
ハスケル子「説明するんじゃなく、具体例を並べることで相手の頭の中に浮かび上がらせる…」
ハスケル子「そんな感じを意識してます」

ワイ「なるほどなぁ…」

ハスケル子「ただ、そのやり方が良いかどうかは分かりません」
ハスケル子「何のデータも根拠もないので」
ハスケル子「それに、どうやって理解しましたか?って、赤ちゃんにインタビューしたわけでもないですし」

ワイ「いや、けっこう理に適ってて良い気がする」
ワイ「この手法を使えば、ワイも娘ちゃんに伝えられる気がするわ!」
ワイ「ありがとう、ハスケル子ちゃん!」

また別の日、近所の公園で

娘「ねえ、パパ」

ワイ「待ってましたやで!」
ワイ「なんや?娘ちゃん」

娘「和菓子ってなぁに?」

ワイ「和菓子、それは・・・」
ワイ「おまんじゅうやお団子のことや!」

娘「分かった!」

ワイ「よっしゃ!」

娘「おまんじゅう、お団子・・・」
娘「つまり、日本風の甘いお菓子が和菓子なんだね!」
娘「じゃあ、おせんべいは和菓子じゃないね!」

ワイ「ファッ!?」

具体例で伝えようとする場合の懸念点

ハスケル子「いい感じだったんですけどね」
ハスケル子「どうやら…」

  • おまんじゅうとお団子は和菓子である

  • 日本風の甘いお菓子が和菓子である

  • それ以外は和菓子ではない

ハスケル子「↑こんな誤解が生じちゃったみたいですね・・・」

ワイ「せやな」

ハスケル子「多分ですが・・・」

  • 具体例は、なるべく多く、色んなものを挙げる

    • 「おまんじゅう、お団子、おせんべい、とかのことだよ」

      • 甘いものに偏ったりしない

  • そうでないものも伝える

    • 「ケーキとクッキーは和菓子じゃないよ」

  • 最後に、ちゃんと定義も伝える

    • 「つまり、日本風なお菓子のことだよ」

    • 「ある一つのお菓子を指すのではなく、日本風なお菓子たち全体を指す言葉だよ」

ハスケル子「↑こうすると良いのかもしれませんね」

ワイ「なるほどなぁ」

ハスケル子「まぁ、特にデータも根拠もないので」
ハスケル子「私の妄想です」
ハスケル子「あまり盲信しないでくださいね」

ワイ「いや、もうハスケル子教の信者になってますわ・・・」

〜おしまい〜

スペシャルサンクス

このnoteは、以下の記事にインスパイアされて書きました。
(プログラミングに関する記事です)

関数型言語のウソとホント - Qiita


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