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【インタビュー】NAPALM DEATHシェイン・エンブリー in 映画秘宝 2005

NAPALM DEATHシェイン・エンブリーへのインタビュー。2005年に話を聞いて、2006年に映画秘宝誌に記事が載りました。
昭和イギリスのホラー映画大好きっ子ぶりが伝わってきて、楽しいインタビューでした。
 
 
 
●子供の頃、どんな映画を見て育ったのでしょうか?
 
ハマー・ホラー、特にピーター・カッシングやクリストファー・リーが出ているやつはずいぶん見たね。最初に見たのは『妖女ゴーゴン』だった。それから夢中になって、新作が公開されるたびにドキドキしながら映画館に通ったよ。あとはアミカス社の映画、それから1930年代のユニバーサル・ホラーかな。ベラ・ルゴシとかボリス・カーロフが出ているようなやつだ。あとはバジル・ラスボーンやナイジェル・ローソンのシャーロック・ホームズ物、レイ・ハリーハウゼンの『アルゴ探検隊の大冒険』『恐竜グワンジ』...ジェイムズ・ボンド物も大好きだった。子供の頃から本能的に現実逃避していたのかもな。ただ、俺が生まれたのは中世の古城や寺院が残っている地方小都市だったから、ハマー映画に出てくる風景は日常生活からかけ離れたものではなかったんだ。街角の暗闇から何かが出てくるかも知れない...というリアルな恐怖に怯えながら育ったのさ。
 
●アメリカでは『チラー・シアター』『クリーチャー・フィーチャー』などSF/ホラー専門のテレビ番組がありましたが、イギリスにも同様の番組はありましたか?
 
チャンネル3で毎週金曜『モンスター・ナイト』という番組があって、深夜零時からホラー映画を放映していた。父親がパブで買ってきたフィッシュ&チップスを食べながら『悪魔のワルツ』とか『鮮血!悪魔の爪』を見たのを覚えているよ。あと、BBC2テレビでは土曜深夜にホラー映画二本立てを流していたんだ。ユニバーサルのドラキュラやフランケンシュタイン物は大抵その番組で見たよ。いつも次の週が楽しみでならなかったんだ。俺が子供の頃は、大人になったら絶対ドラキュラ伯爵になる!と心に決めていたよ。残念ながらそれは実現しなかったけどな。
 
●イギリス産のテレビ番組は、どんなものを見ていましたか?
 
『ドクター・フー』を見た次の日は学校でダレクごっこをしていたし、サイバーメンは本当に怖かった。『ヤング・ワンズ』ってコメディも見ていた。この番組にはモーターヘッドがゲストに出たこともあるし、コメディアン達が集まってバッド・ニュースというヘヴィ・メタルのパロディ・バンドを組んでいたこともある。。ハマーが制作した『悪魔の異形』は全部好きだったわけじゃないけど、ピーター・カッシングがカップルを地下室に閉じ込めるエピソードは斬新だったと思う。『テンプラーの華麗な冒険』はセイントが乗っている車が大好きだったし、毎週日曜にやっていた『スペース1999』を見ていると、次の日に学校に行かねばならないことを忘れることが出来た。ただもちろんイギリスの番組だけではなく、『事件記者コルチャック』『刑事スタスキー&ハッチ』なんかも書かさず見ていたよ。
 
●そのような経験は、現在のナパーム・デスなどでの音楽活動でどのように生かされているのでしょうか?
 
俺の音楽スタイルにはホラー映画やテレビの音楽が根底にあると思う。ガキの頃、友達がみんなポップ・ミュージックを聴いていた頃、俺はハマー映画のジェームズ・バーナードが書いたテーマ曲を聴いていたんだ。変な奴だと思われたよ。今でも思われてるけどな(苦笑)。ナパーム・デスやロック・アップでは映画音楽をそのまま模倣することはないけれど、サブリミナルな部分での影響はあるだろう。ロック・アップの「ザ・シックス・エクスティンクション」のリフは、偶然『スリーピー・ホロウ』のテーマ曲に似ているんだ。映画を見ることが曲作りへのインスピレーションとなることもある。特にダークでヘヴィな雰囲気から触発されることが多いね。
 
●映画音楽の作曲家から影響を受けることはありますか?
 
ドラマチックで重厚な映画音楽は、ナパーム・デスのヘヴィ・リフに多大なインスピレーションをもたらしてくれるよ。ジョン・ウィリアムス、ハワード・ショア、ジョン・カーペンター、ゴブリンなどが代表例だけど、ロマン・ポランスキーの『吸血鬼』の音楽を手がけたポーランド人も良かった(クリストファー・コメダ)。サウンド的にはナパーム・デスとはまったく異なると思うかも知れないけど、共感をおぼえるし、触発されることが多いね。
 
●バンドのメンバー同士で映画について語りあうことはありますか?
 
ナパーム・デスのメンバーは全員が映画フリークだよ。バーニー(グリーンウェイ/ヴォーカル)は英米以外の映画好きで、最近ロシアの『ナイト・ウォッチ』にハマってるし、ダニー(ヘレラ/ドラムス)はコメディやギャング映画が好物だ。ミッチ(ハリス/ギター)は映画学校で学んでいて、いずれ自分の作品を撮ることを望んでいるよ。彼の頭の中にはいろんなイメージがあるらしく、それを映像化できないジレンマがあるみたいだけど、サム・ライミやピーター・ジャクソンだって最初は小規模な映画からスタートしたんだし、彼も徐々に前進していけばいいんじゃないかな。
 
●ツアー中に映画を見たりしますか?
 
ツアー・バスで移動するときはビデオやDVDを見たりするけど、ツアー中に映画館に行くことは滅多にないね。飛行機で流す映画はファミリー向けで、俺の気にいらないものが多いし、最近これだ!と思った映画は『バットマン・ビギンズ』と『ランド・オブ・ザ・デッド』、それから『ナイト・ウォッチ』ぐらいだよ。あと、ツアーの合間に『LOST』のシーズン1をDVDで見たばかりだ。
 
●あなた自身は映画俳優になりたいと思ったことはありますか?
 
ガキの頃は思っていたけど、残念ながらチャンスに恵まれなかったね。それよりも小説を書きたかったんだ。実は無茶苦茶ゴーリーなホラー小説を書きかけてるんだよ。まだ未完成だけど、日本の漫画家に描いてもらったら相当凄いものになるぜ。誰かやらないかな?
 
●映画版『モータル・コンバット』サントラでナパーム・デスの「トゥイスト・ザ・ナイフ」が使われましたが、自分の曲が映画に使われることについてはどう思いますか?
 
いい映画なら文句はないよ。俺自身ゲーム版の『モータル・コンバット』に当時ハマっていたし、あの映画はゲームをかなり忠実に再現していたと思う。自分の名前が映画のエンド・クレジットで流れるのを見て、けっこうエキサイトしたよ。
 
●どんな映像作家にナパーム・デスのミュージック・ビデオを監督してもらいたいですか?
 
難しい質問だな。デヴィッド・クローネンバーグやティム・バートンだったら最高なんだけどね!最近の映像作家ではWARPフィルムスで『ラバー・ジョニー』を撮ったクリス・カニンガムが良いと思う。この映画はエイフェックツ・ツインの音楽を使っていて、かなり凄いものだったよ。あとは『SPUN』を撮ったヨナス・アカーランドも良いね。彼はいくつかミュージック・ビデオも撮っているんだ。
 
●映画女優でドリーム・ベイブといったら誰でしょうか?
 
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