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発達障害を持つ人間の家族として

発達障害は、今とても注目を集めているように思います。
我が身内にも、1人発達障害を持つ人がいます。
障害を持つ本人が、色々な発信をしている記事。
専門家が、書いた記事。
こちらは、とても多い様に感じます。

ただ、障害者を支えている家族や身内が書いた記事は、少ないのではないでしょうか。大変さが分かるから、やたらに書けないというのが現実かと。
しかしながら、身近にいるからこそ感じる物。
見えてくる物を、伝えることは同じ障害で困っている方の手助けになるように思うのです。そんな訳で、しばらく発達障害について色々と不定期で書いてみたいと思います。
※プライバシー保護の為。身内の誰が障害を持っているかを明かさずに書いて参ります。

私は健常者ですので、本人の心の葛藤を正しく理解出来ているのか。
それは、分かりません。

ただ、私が思うことは「嘆き悲しむ」ことより「工夫して暮らす」ということがいかに大事か日々見ていて思うのです。それについて今回は書いてみたいと思います。もし、不快に感じたら削除しますので仰ってください。

発達障害という言葉が認識され始めたのは、日本では20年ほど前でしょうか。身内も(以下『T』と呼びます)、その頃に自分はその発達障害では無いかと感じる様になったそうです。

結果、地域で一番大きな病院に行き。
「発達障害の症状に当てはまるのですが、検査は出来ますか」
医師に聞きました。
医師の答えはこうでした。
「今現在、普通にお勤めが出来ていて。多少問題を起こしていても、人並みに生活が出来ていれば、僕はそれを出来かねます」

要するに、障害という認定が出ることで「甘え」が出て「今までで来た事ができなくなる」という弊害をまず避けたいこと。

次に、障害があると判明した場合。
職場で偏見を持たれて出世の道が絶たれるだけでなく。
職を失いかねないこと。

発達障害と言うのは生まれつきで、既に何十年と付き合ってきており。
既に成人している場合は、今現時点で医師がは出来ることは無いこと。
※この当時は、そういう状況でした。

医師はそんな話しをし、Tを説得しました。
結局、検査を諦める事になりました。

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現実問題。発達障害は症状も様々で、一概にこういう症状であるとは言えないもののようです。
医師が言うには、人間は成長過程で脳の発達がバランス良く行われます。
ただ、一定数。脳の成長が、片寄ってしまう人もいます。
ただ、その場合でも知能が遅れる訳ではない。
逆に片寄って、成長が著しい部分は、人並み外れた能力を有することもある。プラスになった分は、どこかにマイナスとしてしわ寄せができる。
それが発達障害と呼ばれる物らしい。

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現在でも。大人の場合、投薬治療がメインで薬も強い為。
薬の副作用と、薬を飲んだ場合のメリットを考え、メリットが上回ると思われる場合のみ投薬に持っていく等。慎重に行う必要があるとか。
グレーゾーンですと、言われる人が出るのはこういう理由からだろう。

子供の場合は、早い内から行動療法を行うことで、健常者が普通に学ぶ"相手の表情から気持ちを読み取る"等の訓練を行う事で、良い結果が出るそうだ。
発達障害は、社会性が欠如し易い障害。
社会性は子供の頃に訓練すれば、一定基準まで持っていく事は可能らしい。

知人の子供さんは、早い内から行動療法と投薬治療を行った為。
大人になる頃には、薬も不要になり、普通に家庭を持てているという。

では身内の場合はどうだったのか?というと。
最初の検査を拒絶されてから、10年近くが経過した頃。
発達障害(社会性の欠如)に伴うストレスから、うつ病を発症して病休。
その後、寛解。無事職場に復帰。

ここ数年は、年齢と共に職場での立場も高くなり管理職へのオファーもあり。本人は自分の管理は出来ても、他人の管理までは、少し無理だろうと思う所もあったらしい。

「発達障害」という認定を出して貰うことで、自分を守る武器になると思い始め。最終的に、家族と相談し精神科を訪れてテストを受けたのです。

テスト結果は、医師が初見でTから聞き取りをした印象より、ずっと重症だったようです。それだけTは、工夫に工夫を重ねて社会性を獲得し。
人並みに暮らしてきたのだと、身内は初めてTの努力に気がついたのです。

現在、Tは障害者手帳も取得し。
「気持ち的には楽になった」とのこと。
現状は、認定前と変わらず。普通に、以前にも増して精力的に仕事をしています。障害については、上司には相談している様ですが、理解をされているようには感じません。

なぜなら、生まれつきの障害であるのに
「そろそろ良くなったか」
「いつ頃治りそうか」
と言うような発言を上司がしているからです。

まだまだ世間では、発達障害がどんな物であるのか。
正しい認識はされていないようです。

TはTなりに、今の所うまく荒波を乗り切っているようですから。
私としては、そんなTを応援していきたいと思っています。