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初北海道2日目 1989年7月25日-④ 知床大橋〜オシンコシンの滝

知床自然センターにやってきた。

知床林道の最終地点から知床林道を戻ってたどり着いた。この知床自然センターには「しれとこ100平方メートル運動ハウス」があり、今回の旅で僕が必ず寄りたかった場所の一つだった。ここ知床は日本初のナショナルトラスト運動がスタートした土地だ。知床は人の手によって開墾や開発が一時期進められていた。しかし特に冬の寒さがその人間の社会活動を苦しめ、結局そこに暮らしていた人たちは田畑はもちろん、暮らしていた家もそのままで夜逃げのような状態でここを去っていったのだ。

当時の暮らしや乱開発で破壊されてしまった自然を元の姿に戻していくために世界中から賛同者を募り、集められた寄付金によって捨てられた土地を買い戻していく活動、簡単に言うとそれがナショナルトラスト運動だ。

僕はこの活動に賛同しバイト代の中から自分としては結構な額を寄付をした。そしてその寄付をした人の名前がハウスの中に掲示されていて、今回それを自分の目で確かめたかったのだ。

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しんと静まり返ったハウスの中に僕の名前の書かれたプレートも誇らしげに掲示されている、はずだったけど、残念なことに1988年12月までに寄付を済ませた人の分しか掲示されていなかった。僕が寄付をしたのは年が明けてからだったので、タッチの差だった。

残念だったけど、これでまた知床に来る理由がひとつできた。

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ウトロの街に向けて車はどんどん標高を下げていき、あっという間にシーサイドロードになった。夏の日差しはオホーツク海沿いの国道にも燦々と降り注ぎ、爽快なドライブが再び始まった。海沿いに設けられたいくつ目かのトンネルがオシンコシントンネルという名前だった。そのトンネルの先に大きな駐車場が見えたので中に入る。そう、そこは知床の名所のひとつオシンコシンの滝だった。

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想像していた以上に大きな滝だった。水が岩肌を這うように流れ川となり、すぐにそのままオホーツク海に注いでいた。滝から飛んでくる水飛沫がほてった体に気持ちいい。少し高台になった展望スペースからは濃い青のオホーツク海が大きく広がっている様子が見えた。

ひとり旅も2日目になると、知らない人に声をかけることも全く抵抗がなくなり、記念写真を撮ってもらったり短い会話を交わすことにも慣れてきた。そして何枚か写真を写した後、その日何度目かのドライブを再開した。


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