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親の顔より見た中国の光景を再度見て面白く感じた唯一の瞬間

 何事も初めての経験というのは大事だなと思いまして。

 テレビのチャンネルを変えてたら、寄席の番組がたまたまあって少しの時間だが楽しく見まして。それを見ていると雰囲気や空気感がつかめる自分がいる。なぜそれができるかというと一度演芸場でツイッターで知り合えた友人Sさんと演芸場にいってみたことがあるからで。やはり関心をもって現地に行くと、同じジャンルの催し物をテレビで見た時も空気も含めてフラッシュバックして楽しめるものです。

 かくいう僕も中国に最初に踏み入れた時は僕も周りの全てに感動したし、小さなパソコンリブレットにせっせと日記を書きこんでました。で、中国のコンテンツに触れてはあるあるでしみじみするわけです。

 一度経験すると、コンテンツが楽しめるようになるのは旅行でもそうで、海外旅行が好きだからってなんでもみられるわけではなく、フィリピンに行ったことがあるからこそフィリピンの下町旅行バス旅映像が楽しく見られ、ドイツに行ったことがあるから世界の車窓からドイツ編が楽しくみられる。

 ところが中国ネタともなると中国に長居してしまったせいと中国の旅番組を見て「まだまだ浅いな」と思ってしまう面倒くせえ人間に成り代わるわけです。面倒くせえ人間と素直に楽しめる人間の間には、なにか切り替わる線引き、切り替わる瞬間があるのではないでしょうか。

 その線引きは何かといえば、情報を提供してお金をもらう仕事なので、そのプロ意識が絡むところかなと最初は自分事に思ったが、いやいや情報業でなくとも「まだまだ浅いな」といいそうな人がいっぱいいそうなので、長期滞在するか否かかなあなんて。

 じゃあ「まだまだ浅いな」というところまで達すると楽しいかというと、中国に長居して中国を知ってもそれほど楽しくない。ルーチンワーク。「おっ、これ知ってる」くらいのほうが見てて楽しいし知っても楽しい。つまり最初に0から1知るほうが、1から10を知るよりも個人的には楽しいと思うんですよ。子供も最初の知るプロセスが楽しそうですし。

 異国飯もはじめて知らないものを食べて、驚くのが楽しい。驚いたものを他人と共有しようと連れてって食べてもらったり、一緒に行って一緒に驚いたりするのが楽しいわけですよ。

 ・・・ごもっともな話じゃないですか?

 中国に長居する人が中国の別の地域に行ったところで最初ほど感動しないじゃないですか。例えばあるゲームにはまった人が同じチームが作った別のゲームを遊んでも、そんなに最初にはまったころの感動はもはやないんじゃないかなあ。

 ところが唯一例外的な経験をしたことがありまして。

 カンボジアのシアヌークビル。

 カンボジアのまったりビーチリゾートにダメ中国人が大量に押し寄せて、中華式マンションやらカジノやら商店やらを爆速で建設した中国版マフィアシティみたいな都市がありまして。

 中国で当たり前の店(ニセモノ)しかないし、当たり前の店が作り出す当たり前の光景しかないんです。それがめちゃめちゃ面白いんですよ。本国そのものの落書きや詐欺まがいの張り紙広告までが愛おしい。

 様々な記事に目を通された佐々木俊尚さんや

 中国経験の深い中国住みさんも感動しておりました。

 西川口や池袋のエンタメ性ってこれだと思うんですね。中国に滞在したことがあるような経験豊かな人が、そっくりな街にいって心がゆさぶられ、たぎり、感動する。

 あるいはあるときぽっと本国そのものの異国飯の店がオープンして、気になって行って入店した途端に懐かしい雰囲気が五感でフラッシュバックする。

 でも西川口や池袋やシアヌークビルを繰り返し行くと、多分2度目であるので「外国を感じる消耗戦」となるじゃないですか?あれ不思議ですねえ。

以下追記。思い出したのが、サブカルサイト「デイリーポータルZ」の池袋中華の紹介のページ。

リアル中国Loverにとっては当たり前すぎてつまらないことだけど、未知の人にとってはものすごく面白いという話。あれはシンプルにわかりやすく衝撃的だった。友人の安田さんの言を引用するとこれ。

以上追記。

 他の趣味でこういう現象はあるのだろうか。ともかく、いろんな異国飯屋を開拓したくなうのもこうしたフラッシュバックを求めてるに違いない。

 シアヌークビル感動XX歳。OK。

 ではその後の人生でシアヌークビルの知見は役に立つのか。立ったんですね。

 群馬の異国飯タウン「大泉」にカンボジア料理屋がありまして。カンボジア粥がいいと聞き、ふらっと店に入りカンボジア人の女将さんとおしゃべりしたときに、「シアヌークビルは中国人が抗争しててこわいねえ」と一致団結するトークで盛り上がり、美味しく海鮮粥をいただきました。

 群馬・大泉の話はいずれ。 

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