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長いも

松本地域の元旦の夜のごちそうは、とろろ汁が代表的です。ごはんの上に長いもをすりおろしたとろろをかけて食べる簡単な料理です。長いもをすりおろす際に、だし汁を入れることで、格段においしくなります。

とろろ汁は、昔から正月の最高のごちそうとされました。明治時代以前は、ごはんが貴重なうえに、長いもも簡単に手に入れられたか疑問に思われます。長いもは、山芋とも言われますが、松本地域では長いもと言っています。なお、高価な自然薯とは異なる植物のようです。とろろ汁は、質素な食事だと勘違いしておられる人がいますが、訪問先でとろろ汁が出れば、最高のおもてなしとされました。

長いもは、松本市郊外の山形村が大産地です。昭和40年代以降、山形村では、桑畑などが、レタス、スイカそして長いもの畑に変わっていきました。今では長いもは手に入れやすいのですが、かつてはそうではなかったのではないかと思います。

長いものわき芽のことをむかごと言うと思いますが、松本地域は、意外とむかごを食べることを聞きません。これは疑問なことです。信州でも長野などの北信では、むかごを普通に食べているようです。長野市郊外の松代地区犀川河川敷などで長いもを栽培しています。

山形村の長いもは、毎年10月下旬に一斉に出荷が開始されます。冬の定番の食材とされます。長いもには消化酵素が含まれていると言われ、多少食べ過ぎても大丈夫と言います。ごはんがたくさんすすみます。まぐろの角切りの山かけごはんも最高ですが、海のない松本地域では無縁ではなかったかと思います。

長いもは口のまわりがかゆくなる人がいます。これは、長いもの中に針のような細胞があって、動物に食べられることを防いでいるためであると、テレビ番組で知りました。そのことで、長いもが好きでない人もいらっしゃいますが、体に良いおいしい食材ではないかと思います。



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