おそるべき!カセットテープの実力!!

エアチェックといえば、忘れがたい一本のカセットテープがあります。

40年以上も前の高校時代に、フラメンコギタリストのパコ・デ・ルシアの曲を録音したカセットテープです。
曲は「二筋の川」、「天才」、「魂の響き」、「火祭りの踊り」の四曲が収められています。

ご存じの方はご存じでしょうが、パコ・デ・ルシアはフラメンコギターとジャズを融合させたいわゆるフュージョンスタイルの演奏を確立しました。伝統的な演奏スタイルを重んじるフラメンコギターの世界では革新的な奏者です。
ジャズギタリストの中でもロックよりのアル・ディ・メオラにも大きな影響を与えました。

アル・ディ・メオラのヒット作「地中海の舞踏」は「二筋の川」に触発されたといいます。
確かにコード進行や曲の構成がよく似ています。
まあ似ているも何も、「地中海の舞踏」はアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアのデュオなのですけれども。

「二筋の川」はベースギターで始まるフュージョンスタイルの曲です。
最初はのどかなのですが、川が次第に急流にさしかかるように、胸をかきむしりたくなるほどに扇情的な演奏が聴けます。

「天才」は、フラメンコスタイルのソロ。これまた、火の出るようなギターテクニックに胸が熱くなる。

そして「魂の響き」はオーケストラとの共演。スペインの高い空に向かって音楽が昇っていくようです。
ああ、こういう曲を弾いてみたかった!
弾けなかったのは、共演してくれるオーケストラがなかったのと、楽譜が手に入らなかったのとの、自分が下手だったからだ!

それにしてもカセットテープですが再生してみても、特に音質が劣化しているということもないようです。カセットテープの性能、恐るべし!

しかも音楽用とかメタルテープとかではない、おそらくは英会話学習用程度のテープですよ、これ。
それでいて三十年の時を経て音楽鑑賞に耐える音質をキープしているってスゴイよ。

自分がオーディオや音質に詳しくもなく、あれこれと注文をつけるような「うるさ型」でないことは差し引いて考える必要はあるとはいえども。

今時のデータ保存媒体を三十年後に聴こうとしたら、骨董屋で再生可能なディバイスを買ってくるところからはじめなくちゃいけないかもしれません。そっから再生用のソフトウエアをインストールして、最新のOSでは動かないので古いOS環境をエミュレートして……って、最初の目的を忘れちゃいそうですよ!