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ラリー・カールトンとリー・リトナー、そして青春のほろ苦い思い出

古いフュージョンを引っ張り出すようにして聴いてみました。
どれくらい古いかというと、ひとつはラリー・カールトンで「夜の彷徨」。

もうひとつはリー・リトナーで「オン・ザ・ライン」です。


「夜の彷徨」は1977年、「オン・ザ・ライン」は1983年の作品。
制作年代が異なるので、本人の音楽的な成熟度も音楽シーンの流行も異なります。
その上で両者を比べるのは意味はない、とは重々承知の上です。

承知の上ではありますが、「やっぱり、リー・リトナーのほうが好みだな」と再確認しました。
ラリー・カールトンもリー・リトナーもセッションギタリストで数々のアルバムに参加しております。
特にラリー・カールトンはドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」でも渋く光る演奏を残しています。決してラリーがリーに劣るワケではありません。

それでもやっぱり、リー・リトナーのほうが好みです。
ブルース色の濃いラリーよりも、ラテンの明るさを感じさせるリトナーのほうが聴いていて楽しい。
そして音楽的な多様性もリトナーのほうが豊富に感じます。まあネタが多い、ということかも知れませんけども。
「オン・ザ・ライン」は、そういうリトナーの多彩さを存分に発揮したアルバムです。
冒頭の「リット・ヴァリエイション」はバッハのフーガを思わせるクラシカルなイントロに始まり、冒険の旅に出かけるぞ!とでも言いたげな勢いのある楽曲として展開します。

アレンジを重視した構成を聴くにつけ、思い出されるのはウェス・モンゴメリーの「ロード・ソング」、ドン・セベスキーのアレンジはフュージョンの先駆け、だったのかな?
そういえばリトナーには「ウェス・バウンド」というウェス・モンゴメリーに捧げたアルバムもありました。リトナーの「ロード・ソング」も、また味わいのあるものです。

そして極々個人的なハナシを持ち出しますと。
若かりし頃、甘木学園大学という三流のポンコツ大学に、クラシックギターオーケストラ部というショボいサークルがありました。
そこでギターを弾いているつもりになっていたある日、事情があって思い立ち、オリジナルアレンジとしてドン・セベスキー風の「イエスタディ」を合奏しようとしました。
実際にはセベスキー風どころか、「もどき」ですらないロクデモナイシロモノの大失敗です。
音源が残っていないのが何よりです。

古い音楽を聴くということは、聴いていた当時の思い出が蘇りますね。
しかも思い出とはは、甘く切ないものばかりではありません。
苦くて思い出したくもない蓋をしたいものほど、蓋をこじ開けて脳裏に蘇ってくるのだから困ったものです。