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4月ーGWのヨンダ。

もう6月も半ばですが、4月~GWあけまでの読書。

今年から、毎月、老後の楽しみに読んだ本を記録しようと思ったのに、もう遅れ気味。毎月、読み終わると、キープと贈るに分けているのですが、その作業も遅れ気味な昨今です。。。

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たまたまですが、10冊。からの、3冊について。

★『一度きりの大泉の話』萩尾望都 (河出書房新社)

何かと話題の『一度きりの大泉の話』はもうタイトルから、なんだろ、「まったくもう・・」的な、なげやりとも、怒りとも、諦観とも取れる感じがいいなーと。

まず、この本を萩尾先生が書かれるきっかけになった、竹宮恵子先生の『少年の名はジルベール』(2016年、小学館)も併せて読まないと始まらないので、未読の方はそちらから。これ、絶交したふたりの互いに読まない往復書簡?のようなものかと。(ファンの人、怒らないでー!)

私は小学生から高校生まで漫画にどっぷりつかっていた。が、2人の漫画がひそやかに?はじまったころはちょっとまだ若すぎて、実のところリアルに少女コミックでは読んでいない。それに、コミックは後発で、決して、マーガレットやフレンドのような大メジャー路線じゃなかったから。最初は、ど真ん中ミーハーの心に刺さらなかったのだ。

たしか初めて読んだ萩尾望都作品は単行本の『11人いる』で、ぶっとんだけど、読んだのは全著作の6割くらいではなかろうかー。(本書に登場する山岸涼子さんや志賀 公江さんはよく読んでいたけど。)その程度の読者なので、正直に告白すると、よく竹宮恵子さんの作品と萩尾望都さんの作品が「どっちだっけ?」となったりしていたのだ。(怒られそうだけど)。

その理由的なものを、『少年の名はジルベール』で垣間見て、さらには、「そんなことみじんこ!も思ってはならなかったのだ、ごめんなさい」と、『一度きりの大泉の話』で反省することになった。

しかし、“あなたの漫画はつまらない”と言われるより、“あなた(竹宮さん)の漫画を読んだことはありません(BY萩尾さん)”と言われることの辛さよ。著者性の強くない料理本ですけど、ちびっと出している身としては、胸をえぐられるような気持になった。

結局、この本も、とっても売れて、萩尾先生の勝利・・みたいな感じもあって、かえって切ない。さまざまな書評を読んだり、大論争を少し追ってみると、萩尾先生は天才だ、圧倒的だ・・みたいなものが多い気がするが、やっぱり、萩尾さんが、自らのプライドを守り、存在の確かさ・圧倒的なポジションを確認するために書かれたような気がしてならないのは私だけかな。すでに十分圧勝しているのにも関わらず書いた。そしてそこ!こそが、もしかしたら愛おしいのかも。

よき、いや、深い愛に裏打ちされたすばらしき書評が出ているので、そちらもぜひ。(論座の青木るえかさんによるものなどおススメ)

★『高瀬庄左衛門御留書』砂原浩太朗(講談社)

話題の時代小説。売れているというのを新聞広告で知って手にした。私も読後は、藤沢周平さんのようだ・・と。作家に別の作家のよう、と言うことほど失礼なことはないと思っているので、ご勘弁をと思いつつ。でも多くの方がそう書いているから、いい意味で「待ってました!」と言う感じなのですよ、ね。

著者は、文芸編集者からフリーランスのライター、校正者を経て作家に転身した経歴の持ち主。主人公の、決して出世していない、決してこっそり剣客だったりもしない、高瀬庄左衛門は、「半歩先の理想」として書いたのだと、インタビューでおっしゃっている。うん、世の中のボリュームゾーンを占める人、というとなんだけど、そういう人が、うまく言えないけど、自分を認める、そして次の世代になにかつなごうとする、それが嘘なくムリなく書かれていると思った。

最近、いや、ここ数年、FBを見ていて思うのが、「誰もが一等賞を目指してはいない」ということ。これは逆説的な意味で。だってさ、FBには一等賞の方々の投稿があふれていえうでしょう?どうしても仕組み的に いいね!が多い人のポストがたくさん出てくるんだけど、その分野の“すごい人”が多いでしょ?また、SNSには、そうなるためにはどうしたらいいか?的なことを書いている人も多い。

でもさ、みんながトップ目指してるわけじゃないのよ~。だったら見なきゃいいじゃんと言われそうですが、それとこれは別の話でして。なので、時々凡人な自分は、どっと疲れる。特に、努力する天才=自分の目指すところへ向けて並々ならぬ努力が継続的にできる、その能力が高い人、ではない自分は、なんだか時に凹むのです。そんな私にも優しい視線の物語でした。時代小説って、いつだってそうだと思うんだけど。

鈍感力の高い筆頭家老(いるいるこういう人!朝令暮改なんのその!)や、生まれつき華麗なる亡き息子のライバル?や、地味で滋味だけど芯の強い息子の嫁(黒木華ちゃん願い!)など、ドラマ化したくなる要素満載。ちなみに、私のキャスティングは、主人公は10年後の竹野内豊なんだけどなー。今すぐなら誰だろう?NHKの土曜時代劇とかでぜひ。

一点だけ、どうしても腑に落ちない展開があったんだけど、息子の嫁と主人公の・・・そこは、誰かと語りたい。しかし、時代小説好きとしては、次作にも期待。過去作も読み始めたよん。

★ルワンダ中央銀行総裁日記 服部 正也 (中公新書)

こちらも話題になっていた新書。ルワンダと言えば、90年代のツチ族とフツ族の血で血を洗う(BBCの映像(一応配慮された)など、日本では放送できなかったほど)内戦のことしか知らなかったので、あの国の中央銀行の総裁を日本人が!とびっくりして、手にしました。が、時代は50年以上前。1965年に、独立したばかりのルワンダに中央銀行を設立するために、日銀→世界通貨基金から派遣され総裁として赴任した方=著者による顛末記でした。※出版されたのも50年ほど前で、ルワンダ内戦については増筆されています。

「謎のソマリランド」を読んだ時も思ったけど、もう知らないことだらけ。95年の騒乱時は、(たまたまた)ひょえーと目をそむけたくなるような毎日のニュースを見ていただけ。著者の服部さんも書かれていますが、外から眺めるのとは大違いであり、中にいても、事実上占領して優雅に搾取していた外国人から聞いたのでは、ルワンダのことなんてまるで分らない。

ともすれば、そっちのグループに入り、ふんぞり返って駐在を終える日本人=外人もいるでしょうけど、まあ服部さんの、なんと高潔で公正で、ゴールに向けてブレない人だったことか、と。アフリカを支配していた欧州人ではなく、アジア人だったことも大きいのかもしれませぬ。

また、なにもないところに、金融システムらしきものをゼロからつくる面白さ?にも素人ながらふれられる本です。それにしても・・・なによりも驚きだったのは、1965年のアフリカ・ルワンダに、単身赴任ではなく、夫人もお子さんも一緒に赴任したこと。着いた日に、さっそく木登りしていたという息子さん!ステキすぎる。今だって、アフリカ、単身赴任ね、なんて話をよく聞くので。服部夫人のルワンダ日記こそ、読みたい、とおもった私です。。。

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墨東忌憚、で、永井荷風ブームも、ひと段落。東京の谷根千、浅草・向島あたりを歩く機会が増え、必然的に、永井荷風が読みたくなったのです。墨東忌憚の舞台、昔々の私娼街・玉の井は、今の東向島5丁目あたりだそう。もちろん、がらっと変わっているけど、本をもってまた歩こうと思う。

あ、燃え殻さんの本も、癒されるよー。

                        #今月はおしまい



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