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河畔のオオワシはサケを狩るか?

※この記事は1月14日にXに投稿した記事の写真を調整したものです。

北海道の右上、北見市を流れる常呂川周辺では毎年12月ごろから特別天然記念物オオワシを頻繁に見かけるようになる。翼を開くと2.5mにも達する日本一とも言われるほど大きなワシで、ユーラシア大陸から越冬のために北海道へとやってきて川が完全に氷に閉ざされるまでの間は河畔の木の枝に陣取りじっと川を見ている。彼らが狙っているのはサケだ。 これまで観察の中で、あるいは伝聞で、オオワシがサケを食べることは知っている。しかしそれは凍ったサケの死体をついばんでいるだとか、鳥がサケを食べた痕の付近にオオワシの羽が落ちていただとかその程度のものだ。オオワシが生きたサケを狩って食べているのか、自分の中で確証がなかった。なにしろオオワシは大型の鳥だが体重は6〜9kgしかなく、一方でサケは80cm程度で4kgはある。生きたサケであれば捕まえた瞬間に暴れることもあるし、体重の半分にもなる魚をわざわざ狩って食べることが彼らにとって合理的なのだろうかと思っていた。 ところが、ある日の一匹のオオワシの行動とサケの死体が、オオワシが生きたサケを狩ると自分の心を確信させるものだったので紹介したい。

地上20mほどの河畔の木の上で湧水地点を眺めるオオワシ。

彼を横目に通りすぎ1時間半ほど別の川でサケをみてから戻ると、木の上にその姿はなかった。ふと真下の川に目をやるとオオワシは川に降りて何かを食べている。食べている瞬間は写真に収めることができなかったが、立ち去ったあとをみると食べていたのはサケだった。

遠目からもはっきりと分かる出血量

かなりの量の出血でその鮮度が抜群なことを思わせる。 サケの死体を拡大しよう。

心臓付近が食い破られたサケの死体

的確に心臓周辺を食い破り失血死させている様子がうかがえる。 またこの時期このレベルのキレイな魚体が死体となって沈んでいることはそうはないだろう。さらに死体のすぐ右側にはまだ放精していないと思われる精巣(白子)が引きずり出されている。つまり、このサケはつい先程まで生きていたと考えるほうが自然だ。 周りに他の野生動物の姿は見当たらず、死体とは思えない鮮度のサケをついばむオオワシからは、生きたサケを狩る姿がありありと想像できた。河畔に次々と雪がつもり、簡単に食べられるサケの死体はすぐに隠れてしまう冬。冷たい川を泳ぐ大きなサケを狩ることは彼らにとっても簡単なことではないはずだ。そんな姿からは、それでもここで生きていくという強さを感じた。次は狩りの瞬間を拝みたいものだ。

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