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インド映画5選 atクラハ[20210731]

※clubhouseでの発表用メモの加筆修正です。
※広瀬公巳さん主催のclubhouseのroomで発表しました。clubhouseでもらったコメントも追記しています

 今回のテーマは「実録モノ」、しかし一番最後のお気楽探偵アトレヤの紹介に一番力が入っていたと伝わってしまったとは!!御贔屓バレバレでございました(^^)。このアトレヤ以外は日本のNetflixで見れますので是非ともご鑑賞くださいマセ(2021年7月現在)。

■MARY KOM/メアリー・コム 2014年(Netflix) ボリウッド

監督 オムング・コマール
出演 プリヤンカー・チョープラー ダルシャン・クマール
   スニル・タパ ラジニ・バスマタリ シシル・シャルマ
[あらすじ]
 いま東京オリンピック代表で来日しているインドの女子ボクシング代表、メアリーコム選手の半生、選手になるまでそして結婚してから選手への復帰を描いた作品(7/29:決勝トーナメント! ベスト16で惜しくも敗退)。
[ポイント]
・本名はチュングネイジャング、コーチが世界に飛び立つ彼女を見越して「メアリー・コム」と命名
・前半の父との葛藤ももちろん、後半の結婚して子供を産んでいったん選手としての道をあきらめてから復帰するまでが本筋かと。支えてくれる夫(サッカーのコーチ)の存在の貴重さ。
・コーチがとにかく信頼できるいい人、もう一人の父として彼女を支える。どこか仙人のように達観しているようで熱い!結婚に反対していたので式にはでないけどそっと見にくる優しい人。
・プリヤンカチョープラーがガチで体を鍛えて本気で試合する。自然の中での訓練シーンがスポ根的に強烈なので是非楽しんでほしい。
[なんと]
 彼女はいま議員としても活躍中、モディ首相に表彰されていたりなど今後はむしろ政治家としての活躍にも注目の人とのこと(いや知りませんでした)。インドは男尊女卑が強い国でもあるが、それ以上に性格(個性)が強いとそれはそのまま認められる国でもあると言えると。たしかに政府や企業の要職の女性率は日本よりも高いのではと感じます。

■Special26 2013年(Netflix) ボリウッド

監督 ニーラジ・パーンデー 
出演 アクシャイ・クマール カージャル・アグルワール
   アヌパム・カー ジミー・シェルギル マノージ・バージパイ
   ジミー・シェルギル マノージ・バージパイ
[あらすじ]
 1987年、CBI(中央調査局)を名乗る詐欺師4人組による政治家や資産家を狙った強盗事件が次々と起きていた。手口は強制捜査を名乗り白昼堂々と屋敷に乗り込み彼らの目の前で金品を押収するというもの。被害者はみな裏金や賄賂など後ろ暗いところがあるので被害届が出せずなかなか発覚しなかった。しかし本物のCBIとしては黙っていられない。詐欺に巻き込まれた警察官の協力を得てとうとう一人のしっぽをつかむ。CBIと警察は詐欺師たちを捕まえることができるのか。
[ポイント]
・いわゆる義賊ですね!そしてこの作品のメインの舞台となる最後の事件はまさに映画みたいな話、最後の最後まで気が利いている!!
・カメラワークもかなり凝っていて、とくにホンモノのCBIの街中の追いかけっこはわたし的名シーンの一つです。
・アジャイ(アクシャイ・クマール)がリーダーだけど、一番の相棒で子だくさんのシャルマ(アヌパム・カー)がいいキャラです。この人がしっぽをつかまれてしまって…どう動くか、見ものですね~。
・「Special26」とは何を指すか、も映画の中でわかります。
[なんと]
 今日イチ盛り上がった作品!!ラトナさん、キショールさんありがとうございます!そう、見てない人のため絶対オチの言えない映画です(^^)。そしてアクシャイ・クマールの作品は「ルストムの裁判」も皆さまの激押し。まだ見ていないので見ます~♪

■Visaaranai/Interrogation/尋問 2015年(Netflix)タミル

監督 ヴェトリ・マーラン
出演 ディネシュ サムティラカーニ アーナンディ
   ムルガドス キショール・クマール
[あらすじ]
 タミル・ナードゥ州(タミル語圏)からアーンドラ・プラデーシュ州(テルグ語圏)へ出稼ぎにきたパーンディたちは突然理由も分からず警察に拘束され拷問を受ける。実は最近、政治家の家から3000万ルピーが盗まれた事件があり、その犯人を挙げないと警察の立場がないために彼らを犯人としてでっちあげる目的だった。
 執拗な拷問に負け一旦は自白するが、最後の裁判所で警官たちの暴行を訴え犯人じゃないと改めて申し開きをしてなんとか自由の身になる。4人は世話になったタミル人の警察官とともに故郷に帰るが…
[ポイント]
・警察の不正、保身、特権意識、差別意識、悪辣な尋問の実態を暴く問題作
・タミル・ナードゥ州から出稼ぎにでるタミル人、彼らは出稼ぎ先では言葉も通じず、意味が分かっても上手く話せないので言い訳が出来ない。さらにこの作品の4人はどうやらダリト(不可触民)らしく、人として扱われていないのでは、と…。
・この映画の前半部分が実際に被害をうけたタミル人4人のうちの生き残った一人(チャンドラクマー)が書いた本が原作となっており、脚本にも参加、彼は今はたった一人の生き残りとして人権保護活動を行っている。
・かなり厳しい作品で、正直見ていて気分が悪くなる人もいるかもしれない。でもいまのインドの社会の現実を見る、という意味でも一見の価値のある作品です。もちろん映画としてのクオリティも高いです。
・ヴェトリ・マーラン監督は「不徳のアンソロジー」の監督もしています。
・警察の台詞の中に「おまえはLTTEだろ」と発言があり、調べてたところ日本語でも注意喚起のページがあるテロ集団のことでした。
タミル・イーラム解放の虎(LTTE)Liberation Tigers of Tamil Eelam

■Black Friday/ブラック・フライデー 2004年(Netflix) ボリウッド

監督 アヌラーグ・カシャップ
出演 パワン・マルホトラ ケイ・ケイ・メノン
   アディティヤ・シュヴァスタヴァ 
[あらすじ]
1993年3月12日金曜。ボンベイ市内13ヵ所で連続爆弾テロが発生。犯人逮捕までを実行犯、リーダー、警察のそれぞれの視点で再現したドキュメンタリードラマ。
[ポイント]
・自分のRoomで「SANJU」を紹介、サンジュことサンジャイ・ダットは1993のボンベイテロの犯人に関係するとして容疑がかかり、名誉が回復するまで実に20年かかりました。その事件の詳細が気になったところこの作品で知ることが出来ました。
・凄惨な現場の映像、犯人逃亡の再現、警察側の捜査、なぜこのテロが起きたのか。実行は子分にやらせ自分自身は犯行の直前に国外へ高飛びしたリーダー、すべてを緻密に描いていて2時間半を飽きさせません。
・これはガチの名作、カシャップ監督は天才でした(正直言って最近の俳優[AKvsAKまばたかない瞳など]のイメージが強くて全然知りませんでした)。この作品が代表作と言われるのも納得です。
・超個人的ポイントとしてはナワさん(犯人グループの下っ端)、ムラリさん(警察官、ムラリさんは警察官役が多い気がする)が出ています!
[なんと]
 三大テロ映画(という言い方でいいのかな?)のうちの一作、他2作のホテルムンバイ とパレス・ダウンは被害者視点で描かれているが、これは犯人側の視点がある作品。Ratnaさんのレビューも是非読んでください。なお、ボンベイがムンバイと呼ばれるようになったのは1995年「最近はムンバイと言うらしい」(某映画より)。

■Agent Sai Srinivasa Athreya/お気楽探偵アトレヤ 2019年(IMW) テルグ

監督 スワループR. S. J.(長編初)
出演 ナヴィーン・ポリシェッティ シュルティ・シャルマー
[あらすじ]
 シャーロックホームズ大好きアトレヤは探偵事務所を開いているがたまに友人が持ってきてくれるネタ以外には事件はなく、いつも暇を持て余している。この日も友人の相談で線路脇の遺体の調査をしていたら警察官に容疑者と誤解されて捕まってしまった。留置場で娘がレイプ事件の被害者だと嘆く一人の老人と出会う。釈放されたアトレヤはそのレイプ事件を追うことにするが…
[ポイント]
・実際の事件をそのまま再現したわけではないですが、7つほどの事件をヒントに脚本を組み立てています。それぞれの関連付け、構成がうまい。導入の線路脇の死体の事件は2011年に222,446体の身元不明遺体が線路脇で見つかったが詳細はいまだに不明、というもの。なお例年は3~40,000体程度とのこと。
・正直、事件自体は全然お気楽ではないですが、アトレヤの軽妙なキャラクターやテルグ映画ならではのコメディ調などが入ることで全体をいい感じにまとめあげています。そして迷信へのアンチテーゼもテルグ映画ならではです。
・主人公のアトレヤは映画マニア、なのでこの映画にもたくさんの有名な映画が出てきます。一覧は以下のとおり。
 -ユージュアル・サスペクツ
 -シャーロック・ホームズの冒険
 -シャーロック(カンバーバッチ版)
 -シャッター・アイランド
 -ゴッドファーザー
 -ショーシャンクの空に
 -羊たちの沈黙
 -キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
 -ランボー
 -サルカール(タミル映画)
 -ビジョン(原題Drysham)
 -バーフバリ
 -伝説の女優サーヴィトリ
・なにより主演のナヴィーン・ポリシェッティ君がキュートでかわいい。かわいい。かわいい。
 この人はいわゆる俳優一家ではなく、叩き上げで役者になった人です。最初はエンジニアになるために就職しましたが…やはり演技を忘れられムンバイへ。「きっとうまくいく(アーミル・カーン主演)」をベースにした舞台にたち主役3人のうちの一人を演じて認められますが舞台だけでは食べていけずいろいろやりました。
 そしてyoutubeのコメディチャンネルで認められてチャンスをつかみます。日本で公開された作品では「きっと、またあえる」に出ています。なお、彼の憧れの俳優はリティク・ローシャン♡♡♡とのこと(これはすべてナヴィーン君ファンの謎さんからいただいた情報です、謎さんありがとうございます)
・この作品をもうちょっと(かなり)詳細に紹介したわたしのnote.はこちら、未見の方はご注意の上でご参照くださいマセ(とはいえ日本語で確認するにはこういった視聴済の情報をかき集めるしかないかもしれませんね)。
[なんと]
 ロマンスが一切ない映画なのですが、ヒロイン(?)で助手のスネーハがいろいろミスリードをするのが気になるとのこと…わかります!あちこちでミスリードされまくって大混乱をきたす映画なので、それもわたしが大好きな理由の一つですw。あと確かに有名映画とはいえオチを言ってしまうんですよねwちょっと迂闊なキャラなアトレヤ君、かわいい(←これ♡)。でも推理はホームズ並みに冴えわたっているんですよ!(←ご贔屓♡)
楽しくて奥の深い作品、いま日本語で見ることができず本当に残念です。

■ちなみに

 今日の紹介でいわゆる「歌って踊る」があるのはSpecial26だけなんですね。選んだ後から見直して気づきました。今日の作品が実録モノ特集という理由もあるかもしれませんが、ほんとにインド映画っはすべてが歌って踊るというわけではないんですよね(でもわたしは歌って踊るが大好きです!)。

■さらに

 色々いただいたコメントをこちらにもまとめてみました。
・ナワさんことナワーズッディーン・シッディーキーさんはいい役者さん!いろんな役をやっていて本当に顔の表情が深い、やくざ役のときは顔は優しいのに言っている台詞はとても怖い(100%同意!ナワさん大好きです)。
・日本語訳のタイトルがただの直訳ではなく映画のテーマの中身まで表していていいとおもう。「きっと、また会える」や「きっと、うまくいく」など(タイトルをつけてるのはプロの方々ですが、そう言ってもらえるのは嬉しいです!ありがとうございます)。
・原題も欲しい、とのことで次からは原題も紹介したい…ですが読み方が分からないので(^^;直前に相談させてもらおうかな。note.では原題も記載しております。

Ratnaさん、キショールさん、apuさん、takakoさん、他お聞きいただいた皆様、ありがとうございました(^^)


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