春はいつも、どこか寂しい。雪が溶けて顔を出す土の匂いや太陽に照らされたアスファルトの匂い、青が強くなる空、ギシギシじゃなくてパタパタに変わる足音。全部暖かさを感じるのに鳩尾のあたりがギュッとなる。冬の中に少しずつ春を見つけるこの季節は、嬉しさと切なさみたいなのがまぜこぜで苦しい。

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