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公認会計士試験挑戦記

0.はじめに

皆さんこんにちは。

これまで簿記3級(2020年11月受験)、2級(2021年2月受験)と受験記を書いてきましたが、実は2級受験直後の2021年3月から公認会計士試験に向けて勉強を始めました。

働きながらの挑戦ということもあり、時間が少ない中でどう合格を勝ち取るか、自分なりに考えて2021年を走り抜けてきました。

合格体験記は合格後の自分に預けますが、今回は自身のために2021年の振り返りをしておきたいと思います。

そして私、今年結婚しまして、日ごろ勉強を支えてくれている妻に感謝を込めて書きたいと思います。いつも本当にありがとう。早く恩返しできるように頑張ります。

1.踏み出す勇気

2021年2月28日に日商簿記2級を受験しました。約100日間、時間にして約250時間、働きながらできる限りの準備をして迎えた試験ということもあり、合格発表を前にして合格を確信していました。

やりきったと思えるまで2級に向けて勉強できたのは、自らに課した裏テーマがあったからでした。それは、

「100日という限られた時間の中、一発で簿記2級に合格したら、公認会計士講座を受講してよい」

というものでした。

なぜ勉強を始めたかについては後述しますが、「2級程度でつまづくようであれば勉強を始める資格なし」と考え、受講開始のために自分をテストする意味で懸命に勉強しました。

平日は始業前、昼休み、終業後。休日も予定がない日は丸一日勉強に充てました。勉強の習慣がなかった私にとっては非常に負荷をかけた100日であったと振り返っています。詳細は2級の受験記を見ていただけると嬉しいです。

さて、2級受験翌日。合格を確信した私は、早速CPA会計学院という予備校に受講の申し込みをしようとPCを開きました。ホームページから手続きを進め、残るは申請の確定ボタンを押すのみとなりました。確定する前に色々な思いが巡ります。

合格するまで、約3年(働きながらの場合)。

受かるまでほぼ自由な時間はない。

合格率は10%。すべて捧げたとしても受かるかどうかわからない。

勉強のハードさから、試験を受ける前に撤退する人も多い。

働きながらだともっとリスクは高い。

勉強に集中するためには、仕事ももっと頑張らなければならない。

受講料も決して安くはない、70万円。当時のボーナスより高い。

でも、やってみたい。

100日前、自分と約束した目標も達成できた。今度もきっとやれる。

緊張しながら、そして覚悟を決めて、受講申請しました。

2.公認会計士を目指す理由

たくさんありすぎて書くのに困るのですが、一言にまとめるなら、「選択肢を広げたい」ということです。

どういうことか。

子どものころ、4人家族の我が家では、仕事帰りの父がお土産(ケーキなど)を買ってくるとき、決まって5つ以上買ってきていました。父曰く、

「最後の人まで選択できるように」

5つあるおかげで、最後の人も残り2つの中から好きな方を選べるんですね。

知人には何度も同じ話をしすぎて恥ずかしいのですが笑、私には刺さっている教えでございます。「どんな時も選択肢があるというのはいいよね」ということだと理解しています。

話を戻します。

大学を卒業するまでの人生は、常に選択肢を広げるための活動だったと思います。新しい友達と出会うこと、知らないことを学ぶこと、、そのすべてがポジティブで、次に活かせるような、そんなイメージでした。

一方社会人になってからは、勤めていた会社でこそ経験値が上がり成長を感じますが、裏を返せばその世界でのみ活かせる経験が多く、その会社で経営層になっていくための、いわば可能性を狭めていく活動になっていました(決して前職を批判しているわけではなく、多くのサラリーマンはそうだと思っています。そしてそれを分かった上で入社すべきでした。)つまり、気付かぬうちに自らが大事にしていた教えに反する活動をしていたわけです。

将来、いまの上司たちみたいな生活をするんだなーと思うと、先が見えてしまったようで、なんだか急に、お土産のケーキが先に食べられてしまい、おいしいけどあまり好きでないフルーツタルトだけが残っていた時のような、なんとも言えない気持ちになったのを覚えています(これも前職批判ではありません。尊敬できる先輩が多く、収入も高く、楽しそうでしたが....)。

仕事も面白そう、先輩も尊敬できる人たちばかり、一生この会社で勤め上げていいだろうと思った会社に就職しましたが、3年間働いた結果、もっと違う世界、想像していない展開になるような人生にしたいかもしれないな....と思うようになっていました。

そこで当然、転職活動を考えるわけですが、違う会社に入ったとて、数年後に全く同じ展開になってしまうような気がして、安直な転職はやめようと考えました。

「若いうちにしかできないこと」で、「これまでの経験と全く違う世界に行ける可能性を広げてくれて」かつ「興味がある」もの...ということで、会計の世界をのぞいてみることにしました。

日商簿記3級、2級を勉強して理解が深まるにつれ、会計の世界は面白く、自らの可能性を大いに広げてくれるものだとわかりました。

かなりざっくりですが、以上が公認会計士を目指す理由です。

3.情報収集と課題整理

公認会計士を目指すにあたり、試験制度や必要な勉強時間などについて調べました。

試験は大きく2段階です。短答式試験と呼ばれる1次試験、論文式試験と呼ばれる2次試験です。

短答式試験はマークシート形式で、比較的広く浅い知識が問われますが、範囲が膨大なのが特徴です。早い人で1,000-2,000時間くらい勉強して合格する人が多いようです。年に2回受験するチャンスがあります。また、一度短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験を免除され、論文式試験を受験できます。相対評価で合否が決まります。

論文式試験はその名の通り記述式の試験で、比較的狭くて深い知識が問われます。短答式試験と合わせて3,000-4,000時間程度勉強が必要なようです。年に一度受験チャンスがあります。短答式試験と同じく相対評価で合否が決まります。

日商簿記2級に向けて勉強した経験から、働きながら週25時間程度は勉強できることがわかっていたため、約3年間かけて合格できるようなプランで勉強を開始しました。

一見、ここまでの情報に限ればなんだかいけそうな気がしてしまうのですが、実際にやってみるととんでもない試験に片足を突っ込んでしまったなと思うことになります。

まず、勉強時間について。合格目安の3,000-4,000時間という数字は、学習に専念できる学生に当てはまる数字だと考えます。つまり、1日7~10時間程度勉強時間を確保できるという前提なんですよね。

同じ時間でも、3年間もかけてしまうと火力が足りず、覚えた先から忘れていくような構造になってしまい、もっと勉強時間が必要になります。週25時間というペースではかなり厳しいということを理解しました。

次いで、試験制度について。短答式、論文式に共通して相対評価で合否が決まるため、学習に専念しているライバルたちに勝つ必要があります。日商簿記のように絶対評価ではないため、周りができる問題は必ず取らなければならないという特徴があります。

働きながら挑戦する課題としては、

・抜本的な学習時間確保

・学習する範囲の選択と集中

だと結論付けました。

4.時間確保に向き合う

学習効率も大事ですが、とにもかくにも勉強時間を増やす努力をしなければなりません。

しかし、すでに日商簿記2級に向けて様々な工夫をしたうえで、週25時間程度という結果にたどり着いており、これ以上の勉強時間確保には限界があると感じていました。

これはどうしたものか。

そんな時見つけたのが、ある監査法人の受験支援制度。監査法人で会計士補として働きながら、必ず定時で上がらせてくれるというありがたい制度がありました。

これだ......!

………でも、本当に今の会社をやめるのか?

やめたとして、合格できなかったらどうする?

新卒でもない限り、もう今の会社ほどいい会社には入れないかもしれない。

本当にやり切れるのか?覚悟はできているか?

など不安はありましたが、会計士試験の勉強を始めたときの気持ちを思い出して、思い切って応募することにしました。このままダラダラ勉強したって受かるわけがない。

早速ESを送り、web面談を経て(まあまあ詰められました)、運よく内定を頂きました。

結果、現在では週35~40時間の勉強をコンスタントに続けられています。また、リモートワーク中心ということで移動の負荷も減り、体力の消耗も少なく学習効率も高まっていると感じています。この制度には本当に感謝しています。さらに、監査の実務に触れることで監査論という科目にはアドバンテージがあると思います。素晴らしい。

上記は自分でできる努力についてですが、私は本当に幸運なことに妻が勉強をサポートしてくれています。前職のまま、そして独身で過ごしているよりもずっと勉強に集中できる環境になりました。本当に感謝しています。

妻のおかげもあって(もはやそれが大部分かもしれません)、環境を大きく好転させることができたため、受験タイミングを前倒すことにしました。早く受けることに越したことはなく、一歩踏み出して本当に良かったと思います。

聞くところによると、海外では会計士資格取得前に監査法人に就職し、パラリーガルのように働きながら勉強するのが主流で、就職希望者も非常に多いようです。キャリアのスタートとして会計を学び、次のステップにつなげたい若者が多いのだと理解しています。

日本は残念ながら海外に比べて公認会計士試験の難易度が高く(全科目を一発で合格ラインに持っていくという試験制度も相まって)、学習専念→合格→就活が主流ですが、私のような人間がこの制度で合格することで、少しずつ流れが変わっていくかもしれません。

5.学習効率アップに向き合う

これはまさに来年に向けた課題です。今現在は予備校のカリキュラムに沿って勉強していますが、かなり遅れを取っています。

というのも各予備校が用意しているカリキュラムは、客(生徒)のボリュームゾーンである大学生に合わせたものになっており、限られた時間で勉強する人にはややフィットしていない実態があります。

今後は勇気を持って予備校のカリキュラムを無視し、よりROIにこだわって勉強を進めたいと思います。投下した勉強時間や体力あたり、リターン(得点)が大きくなりそうな勉強をしていこうということです。

具体的には、予備校が示している「出題可能性」だけでなく、「試験当日に自分が得点できるようになれるか」という視点で、学習する論点を絞ることを徹底したいと思います。せっかく勉強しても試験当日までにものにできなければ全く無駄ですからね。この点については受かってからの方が説得力が増しますので、まずは結果を出せるように頑張ります。

以上、長くなりましたが振り返りでした。ここまで読んでくださりありがとうございました。

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