見出し画像

カケラを残す 優しさについて

思わぬものに、不意に泣かされてしまう事がある。

spotifyでランダムに流れてきた、aikoの「カケラを残す」という曲。思わず車をドラッグストアの駐車場に停め、聴き入ってしまった。
イントロから、aikoの曲だとわかる前から、特別な曲になるという事がわかっていた。そういう第六感的なものをスルーせずに、ちゃんと味わう事が大切だと思う。

虚しい夜はいつか終わる
悲しい傷も必ず癒える
強いだけの力はいらない
愛には誰も勝てない
傷付いても傷付ける必要はない
仕方ないでしょ
あなたの側にいたいんだもん

サビの歌詞です。これは、優しさについての曲だなと思ってしまった。

「優しいね」と言われるのが嫌な人って、一定数存在する。
誰かにとって都合が良いだけだ、とか、なんか馬鹿にされている気がする、とか、そういうニュアンスがあるのはわかる。何となく、下に見られているような感覚も、わかるっちゃわかる。

でも私は、「優しいね」と言われるのは嬉しい。少なくとも、「優しくないね」と言われるより、めっちゃ嬉しい。本当に優しいのかどうかはわからないけど。

「優」という漢字は、憂いている人に寄り添う人の象形から出来たらしい。

寄り添う事。
簡単なようで、実はすごく難しい。
何かを相談されて言わなくても良いことまで言ってしまったり、良かれと思って余計な事をしてしまったり。
人の事を良く見ているからこそ、ついやってしまうお節介。それは、優しいようで全く優しさではない。

相談事は聞き出すものではなく、相手が話し出すのを待つものだ。「この人なら話せる。」と、相手が口を開くまで、誠実に関係性を築いていく。ただ待つだけ。それだけ。

本当の信頼関係があれば、悩みを口に出せただけで、実は8割くらいは解決しているような気がする。心の準備が出来たという合図であり、話すことで前に進んでいける。

私はめったに相談事をしないのだけど、今年は本当に様々な人に話を聞いてもらった。みんな驚きつつも、側でちゃんと耳を傾けてくれた。みんな本当に本当に優しかった。

やっぱり「優しい」って言ったり、言われたりすることって、幸せな事だと思う。

あなたの側にいたいんだもんと、aikoはかわいく歌っているけど、本当に側にいるだけで良いのだ。
相手を傷つけるようなお節介はいらない。自分のプライドを育てるために、無理に相手から相談事を引き出すなんて、最悪にもほどがある。

待つことは愛がないとできない。

誠実に相手と向き合えば、その人の心にカケラを残す事ができる。なんてことないくだらない日常の積み重ねが、ある時急に動き出す。特別な事なんて必要ないのだ。

優しさは、待つことは、やはり強さだと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?