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ハーブ&スパイス

誰も風邪を引いていないのに、家から一歩も出ない土日を過ごした。

息子には家でやる事が沢山ある私に付き合ってもらった形になったが、「よっしゃあ!家でダラダラできる〜!」と嬉しそうだった。それにしても、ダラダラと「よっしゃあ!」という感嘆符は似合わないなあ…。


両日とも朝は9時過ぎに起床。こんなに朝寝坊出来たのは久しぶり。このところ休みの日なのに5時半には目を覚ましていた。前の投稿で副交感神経を優位にすると誓いをたててから1週間も経っていない。何事も気づく事から始まる。


ホロスコープ歳時記という占いを書いている人がいる。その方の記事によると、二十四節気の中で小雪の時期(つまり今)になると、寒いし暗いしやる気がなくなる(超意訳)とのこと。当たっています。なんかもう、ぐったり。暗いのが良くないよ。

これから冬至まではいかに鬱々とした気分をかわしていくかがポイントになる。冬至を過ぎればどんなに寒かろうが陽は伸びていくし、寒さにも慣れるんじゃが。


さて、溜まっていたパソコン作業をしつつも、家にいれば家の中に目が行くものだ。ふとキッチンの棚の奥にいる、FROMコストコの強力粉と目があった。前の家から引っ越す時に、押入れの中で存在すら忘れられていたもの。余りに不憫で持ってきたのだ。ちなみに私は強力粉だろうが片栗粉だろうが、粉であれば全て小麦粉という大らかさを持ち合わせた人間です。そうでもなければ3kgの強力粉など、一生かかっても消費しきれない。


消費するためにクッキーを焼くことにした。しかし、家には牛乳もバターもない。砂糖、米油、強力粉のみで、強引に生地をまとめる。

チョコでもあればチョコチップにするのになあ…とキョロキョロしていると、同じくキッチンの棚の中で冬眠していたスパイスたちと目があった。シナモン、ジンジャーパウダー、カルダモンをぶちこみ、黒ごま、塩を効かせてみる。ラップで棒状にまとめ、5分ほど冷蔵庫で寝かせ、包丁でストンストンと切る。私は大らかなのでオーブンの予熱などしない。170℃で25分ほど。さあ、いってらっしゃい。


クッキーが焼けるまでの間は、この世で1番事務作業が捗る時間だと思っている。次第に良い香りが部屋中にたちこめる。嫌な作業の後には確実に幸せになる何かを控えさせておくのがよい。そうやって人生の荒波を越えていこうではないか。


焼きあがったクッキーは大優勝のお味。ふんわり香るスパイスと黒ごまの風味。塩気を効かせたのがかなり良かった。つなぎは油のみなのでホロホロの食感。いくらでも食べられた。遅く起きた日の、昼ご飯よりは軽くおやつよりは重いアレとなった。


さて、爆速で日が暮れるので、あっという間に夕食の時間だ。昼間に見つけたスパイス類を使いたい。彼らも前の家から持ってきたものだ。今まで忘れていてごめんよ。


キャベツを細く切り(千切りなどとは言わない。千切りなどできない)、油と酢と塩とブラックペッパー、友人のsyoufarmさんのハーブソルト、そして棚の奥にあったオレガノをこれでもかというくらい振り入れる。これまた天才のキャベツサラダが出来上がった。


一歩も外に出なくても、ハーブ&スパイスが彩りを与えてくれた休みの日。どうせ私の事だから、次に使うのは数ヶ月後だろう。それで良い。日常が淀み、すべての物事に飽き飽きとして、自分以外の誰かが作ったご飯を食べたくなった時、刺激をくれるのは既にそこにあるものだったりする。忘れていた存在に気づけたのなら、今をちゃんと生きているという事なのかも。

大切なものは過去のある時ある瞬間に手に入れているのかもしれない。そうやって、小さな喜びの側面を見つけていきたいと思う。あっちから見ていたらつまらないものでも、こっちから見てみたらめちゃ良いじゃん!的な人生にしていきたいよね。気づいた時に棚の奥から取り出せば良い。腐りも傷みもしないのだから。

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