見出し画像

行方不明の愛を探しに ユミの細胞たち

※ネタバレあり

昨年の秋からのーんびり見ている、「ユミの細胞たち」という韓国ドラマがある。

30代の会社員で作家志望のユミを中心としたラブコメディ。韓国ドラマにありがちな、恋人が記憶喪失になったり、生き別れの兄弟に再開したり、そういったドラマチックな展開は一切ない。普通の人の、普通の恋愛模様が描かれている。

その普通さをコミカルなドラマにしているのは、登場人物の心の中の村に住む、「細胞たち」のユニークさだ。ユミがお腹が減ったら腹ペコ細胞が暴れまわり、恋に落ちたら愛細胞が飛び回る。下心細胞が常にパンイチなのもかわいい。

登場人物の心の動きが細胞レベルでわかってしまうと、普通の恋愛ですらこんなにドラマチックになるのだなと、ため息をついてしまう。軽くて、シンプルで、素晴らしいドラマでした。

私がすっごく好きなシーンがある。シーズン1の最後のあたりで、恋人ウンと別れようか、どうしようかとモヤモヤしている時。

ユミの心には「別れのくす玉」があって、これまでもウンにイライラした時に細胞たちがこぞって割ろうとしていた。だけど、ウンへの愛が曇りのないものだった時は、細胞たちがどんなに懸命に石を投げても絶対に割れなかった。

そのくす玉がいとも簡単に割れてしまう時が来る。きっかけは、ラインの返信が素っ気なかったとか、本当に些細な事だった。
「もうダメだ、、、」となってしまう時に、何かドラマチックな事が起こるとは限らない。些細な事こそ、くす玉をポロッと割ってしまうきっかけとなり得る。その辺がとてつもなくリアルだし、細胞たちを駆使する事でしか描けなかった心の動きだと思う。素晴らしすぎ。

シーズン2のボビーの心変わりも大納得。ボビーはユミが無邪気に音楽を聞いている姿に惚れたのだから、無邪気の権化みたいなダウンちゃんが側にいたら、そりゃあそうなるよ。ボビーはロマンチックで優しいけど、そういう人とは腹をくくって毎日一緒にいないとうまくいかないのだ。

ボビーと別れた後、ユミの愛細胞が怒りに変わるのも最高!怒りのユミ、最高!

ユミはずっと、恋愛すれば幸せになれると思っていたけれど、そうでは無いと知る。そして、細胞たちのリーダーの座を、愛細胞から作家細胞に明け渡す。ユミの文章力はぐーんと伸び、メンタルも落ち着いているようだ。

私自身の細胞たちのリーダーは、絶対に愛細胞だと思う。

愛と一言で言っても、人によって愛細胞の形は違う。ユミの素直な愛細胞も、ボビーの情熱的な愛細胞も、ウンのアルゴリズム愛細胞も、みんな良い。

一番好きなのは編集長のムキムキ愛細胞だ。364日優しくて1日冷たくするか、364日冷たくして1日優しくするか、どちらがしか選べない不器用さ。ユミには全然伝わってなかったけど、私は彼の愛細胞を推します。誰よりも、愛が深いよ。間違いないよ。

好みの愛細胞はわかるけど、肝心の、自分自身の愛細胞の形がわからない。愛は自分自身だ。誰をどのように愛するかこそ、どのように生きるかに直結する。

行方不明・消息不明の私の愛細胞に、再び出会いたい2023年。ただしあわせに過ごしたいだけです。今年もよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?