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山好きのための仏さまの話 #1ホトケって何?

山で出会う地名や言葉の中には仏教にまつわる言葉がとても多いですよね。地名でも菩提峠、大菩薩嶺・・・似たような、それも普段見たことない漢字が並びますからね・・・。なんだか正直よくわからないって思いませんか?
そこで、
菩薩や菩提、その言葉にどんな意味があるのかなど、
山で出会う仏教の基礎知識を僧職系登山男子がお伝えします。
山好きのよる、山好きのための仏さまの話、第1回です。
そもそも、ホトケさまって何?という話から始めましょう。

そもそも、仏さまってなんだろう?

以前、私はNHK文化センターというカルチャーセンターで仏教の講座を担当していました。
あるとき受講生の方から、

「そもそも仏さまってなんですか?」

と聞かれました。逆にどんなイメージですか?と聞きますと、

「お仏壇で手を合わせるイメージ」

とのこと。
なるほど、ご先祖様のことを仏さまって言いますから、一般の方にとってはそのようなイメージがありますよね。

「仏」とは、
①仏教をお開きになったお釈迦さま 
②(お釈迦さまのように)悟りを開いた方

のことを言います。
日本では、亡くなった方のことをホトケって言いますよね。
日本人の信仰では、亡くなったら仏さまになります。この信仰の中では、仏・家・先祖(墓・寺)が密接に繋がってきましたから、「仏」と聞いてお仏壇を思い浮かべる方も少なくないと思います。

この信仰は、山とも深い関わりがあります。

日本では昔から、山は人が亡くなった後に、その魂が行く場所とされてきました。
立山は死後に行く世界と信じられ、阿弥陀さまや極楽浄土を思わせる地名が残っていますよね。恐山も死者が行く場所と信じられてきました。
私が修行していた高野山も同じ信仰がある場所。高野山に近い地域では、宗派を超えて高野山に分骨する風習が今でも残されています。(以前にも書きましたが、様々な宗派はもちろんのこと、他の宗教、例えばクリスチャンの方に納骨のお経を上げたことがあります。)
山は、死者の魂が行く場所と信じられてきたからです。

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本来は「悟りを開いた人」

山にはもう一つ信じられてきたことがあります。
それは神仏がいらっしゃる場所、です。
山を1座2座と数えますが、神さま仏さまが座る場所であるからそのように数えます。
この場合の仏さまは、仏教本来の意味である「悟りを開いた人」という存在です。

例えば立山には弥陀ヶ原、大日岳という地名や山があります。阿弥陀如来、大日如来という仏さまが名前の由来ですが、ともに「如来」と付いていますよね。この如来と付く仏さまはまさしく、悟りを開いて仏になった方々。

阿弥陀如来は亡くなった方はすべて極楽浄土に導いていただけますし、大日如来は宇宙そのもの、他にも薬師如来という人々の病を治す仏さまもいらっしゃいます。まさしく悟りを開いた方ならではのご利益ですよね。

じゃあ、菩薩ってなに?

他にも菩薩ってつく仏さまがいらっしゃいますよね。
お地蔵さまは地蔵菩薩ですし、観音さまは観音菩薩。
仏さまの種類が違うのです。
仏さまには大きく分けて「如来」「菩薩」「明王」「天」という種類があります。
では次回、この4つの仏さまの種類についてお話しましょう。

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