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「#UL登拝」スタイルでの登山ウェアについて考えてみました【作務衣登山をやってみて 守屋山 長野県諏訪市/伊那市】

Youtube動画【初夏の守屋山 僧職系登山男子が作務衣で山を登ってみた】を公開しました。

「#UL登拝」スタイルで山に登ってみようと思いまして、
近くの守屋山に登ってみました。
長野県諏訪市と伊那市にある山で、近年とても人気のある里山です。

#UL登拝  に必要なものは「袈裟と数珠」。
したがって、普通の登山ウェアで大丈夫なのですが、僧職系登山男子としてはやはり僧服での登山をしたいところ。
そこで、「作務衣(さむえ)」での登山をしてみました。

作務衣とは

作務衣とは、僧侶が掃除(下座行といいます。座を降りた後の修行という意味)やお寺での作業のときに着る服です。
なぜ、その作務衣で登山しようと思ったかというと、高野山での修行中に作務衣で登ったことがあるからです。

高野山での修行中、高野三山や町石道を登ったことがありました。
高野三山とは、高野山奥之院を囲む3つの山。
町石道とは、麓から高野山へと繋がる表参道的な山道。
一町(約110m)ごと町石という石塔が立っていますが、一つ一つにお経を上げながら登りました。
その時の服装が、作務衣に金剛杖、頭には手ぬぐいという今回のような服装でした。
Instagramでフォロワーさんに教えてもらったのですが、
曹洞宗の永平寺で修行する雲水さんも、白山への登拝のときにやはり作務衣で登るそうです。

直綴(じきとつ)や修験装束など、実は色々と候補がありました

私の先輩に、僧侶でトレイルランニングをしている方がいて、登拝の服装を相談したことがあります。
作務衣が無難かなぁ・・・もし法衣を着るなら直綴(じきとつ)かなぁ、とのアドバイスでした。
本山の高野山ではあまり用いない法衣ですが、信州に帰ってきてからはよく着る法衣です。
・・・とは言え、正絹の法衣を山で着るのはちょっとむずかしい。
ホントに着るなら専用のものを設える必要があります。

私たちの使う法衣は、法衣屋さんでオーダーメイドで作ることが多いです。なので、山で使える化繊の直綴作れませんか?と法衣屋さんに聞いてみました。もちろん作れるのですが、結構なお値段。
私が持っている登山ウェアで、最も高価なのが冬山用のハードシェルですが、それよりも遥かに高い・・・。
なので、あっさり断念しました。

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これが直綴(緑色)に如法衣(黄色)という袈裟。

次に修験装束。山伏さんの服装です。
私も着たことがないわけではなくて、年一回、柴燈護摩という修験道で行われる法会に出仕する機会があり、そのときに着ています。
修験道の法会なので、私たちの法式にあるものではないのですが、宗教的に近いので我々の宗派でもよく行われています。
本山の高野山でも、3月にある「高野の火祭り」で行われています。
修験道の本山の一つである醍醐寺の門跡さまから、直接伝授を受けて始まったそうです。
しかしながら、修験経験ゼロのわたしが着るのはやはりちょっと良くないかなぁと思うところ。

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そこで結局、作務衣になりました。

作務衣登山、意外に快適でした

私、暑がりなので、できるだけ薄着で登りたいところです。
普段着ている法衣も6月の衣替えから夏物になります。
紗というちょっと透けている織り方の法衣になりまして、
檀家さんからは「涼しそう」と言われるのですが、
襦袢・白衣・法衣・袈裟と4枚重ねるので、とっても暑いんです。
お盆はいつもたくさん汗かきながらお参りしています。

・・・なので、作務衣の登山は暑いだろうなぁと思っていました。
しかし、この日は涼しい日ということもあり、ほとんど汗もかかず登って降りてくることができました。
Twitterのフォロワーさんからは、ゆったりとしていて空間があるから逆に涼しいのでは?というリプをいただきました。
どうなんでしょうね。これからの夏山で試してみたいところです。

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ぼちぼち作務衣でも登山してみます

作務衣で登山してみて、
自分と仏と山・自然とが一体になる感覚がありました。
古来、山岳修行に励んでいる山伏さんたちは、
袈裟や錫杖、修験装束に身を包み、一心に仏を念じながら山に登ってきました。
全くそこまではいかないのですが、
その感覚がほんのちょっと、わかるような気がします。
ホントにほんのちょっとですけど、その感覚が貴重なのだと思います。

そんなわけで、霊山へのUL登拝のときには、
作務衣で登山してみようと思っています。
もし山で白い作務衣のお坊さんを見かけたら、声かけてください。

とは言え、「UL登拝」はより山の仏さまに親しんでほしいと考えて、
お伝えしているものです。
もちろん私のような服装でなくても全然大丈夫です。
半袈裟と数珠だけでもお持ちいただければ、素晴らしい体験になると思います。
私も岩場が続くような難しいコースは作務衣で登る自身がありませんので、
袈裟と数珠だけ持って登ろうと思っています。

いよいよ夏山シーズン間近ですね。
どうぞ安全で、素晴らしい登山になりますように祈念申し上げます。

合掌

小雪童

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