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進撃の巨人たち、さらば熱男
9月が終わり残暑の秋が始まった。10月1日(日)、侍ジャパンの社会人代表は中国でアジア選手権に挑み、MLBはマイアミ・マーリンズがワイルドカード進出に王手。ジャイアンツの1軍は2年連続Bクラスだが、2軍がイースタンリーグ優勝をかけて西武との最終戦にのぞむ。
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朝10時、開門前から長蛇の列。チケットは売り切れ。今年3回目のジャイアンツ球場は別の球場に変わっていた。まさか売り切れと思わず、当日券を目当てに来た人もいる。
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川崎の天気は試合中が雨予報。雲行きが怪しい。 マイアミにすむYさんからLINEが届く。マーリンズがワイルドカード進出決定の報。最高のスタート。にわかファンだが巨人の優勝よりうれしいかもしれない。
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10時開門。ジャイアンツ・キュロス500円も最後。東京ドームでも売り出して欲しい。いつもなら、やかましいくらい元気な声が聞こえてきたが、今日は静か。1人の存在がこれほど大きいとは。
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このあと東京ドームで行われる引退セレモニーに出る松田宣浩。同い年、同姓、同じ近畿出身。そして双子。これほど共通点の多い野球選手は他にいない。40歳を迎えても誰より元気な声を出し、球場のどこにいるかすぐに分かる。野球選手の引退に感傷的になることは無いが、イチローと熱男の引き際には込み上げてくるものがある。
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岡田悠希。平安高校出身というだけで無条件に応援する。今風の大人しい青年。熱男くらいガムシャラになって欲しいが、今の選手はクール。バッティング練習では、めちゃ飛ばすらしい。高橋由伸からは「直すところがない」と絶賛されている。来年は2軍でタイトルを取るか、1軍に定着するか。
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一人だけ風体の違う異様なノッカーがいると思ったら中田翔だった。
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バッティング練習前にリラックスしているようだ。本来なら2軍にいるべき男ではない。軽く振っているのに柵越え連発。格が違う。怪物。
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将来は中田翔を超えるスラッガーになってもらわないと困る浅野翔吾。同じ"翔"。大谷翔平にも翔がつく。It's 翔 time
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浅野と同期のドラフト2位、萩尾。同じ大卒の門脇が1軍で躍動している。その悔しい思いをボールにぶつけて欲しい。プロでやっていくには善人では厳しい。皮が剥ければ1軍で首位打者も獲れる逸材。
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守備位置はセンターからライトへ転換。丸佳浩の後継者。レフト秋広、センター浅野、ライト萩尾の外野陣になれば夢のトリオ。
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正午を回り、太陽が試合をのぞきに来た。曇りのち雨予報は完全に外れ、カンカン照りの熱中症注意。日焼け止めがないと肌が荒れる。優勝決定戦を祝福するような天気。
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巨人の先発は来季の左のエース候補、井上温大(はると)
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去年も期待を受けて1軍に昇格するが、一流の壁に跳ね返された。今年1月には今永昇太との合同自主トレでチェンジアップを習得。今年ファームでは6勝0敗、防御率0.85。優勝決定戦の先発にふさわしい堂々の成績。
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西武は早くも終戦で支配下契約を結ぶかどうかの育成メンバーが中心。背番号は3桁。優勝は決まったようなもの。
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まだ18歳の浅野翔吾。今日はDHでの出場。一発を打てるか。赤が似合うのは主人公、ヒーローの証。
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井上温大が軽く三者凡退に抑え、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマが鳴り響く。ジョニー・デップや村田諒太より似合うかもしれない。そして打席に立つときのルーティンがアレックス・カブレラ。まだ18歳のルーキーなのに打撃練習の飛距離は巨人でも上位。東京ドームのスタンドに何発も放り込む。第1打席はライトフライ。
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常総のバレンティンこと菊田拡和。坂本勇人が引退し、岡本和真がメジャーに行ったあと巨人の4番サードを継ぐ男。華がある。
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六番サードで出場。この日は4打数ノーヒット。まずは来年、イースタンで本塁打王をとってほしい。
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打撃は振るわなかったが、ファインプレーで優勝に貢献。失点を防ぐ守備は打点1と同じ価値。スラッガーでありながら守備の巧い選手はチームにとって2点増えるのと同じ。
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チーム唯一の猛打賞だった山瀬慎之助。小林誠司より肩が強く盗塁阻止ができるキャッチャーは貴重。井上温大をうまくリードした。打者の力が落ちている現代のプロ野球ではキャッチャーによって勝敗が決まる。1日も早く、巨人の正捕手の座を奪ってほしい。
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2回、浅野の第2打席はショートゴロ。相手は育成契約の選手だが打ち崩せない。それでも自分のバッティングフォームができている。171センチの小さな巨人。アストロズのホセ・アルトゥーべのレベルになってくれることを期待してしまう。
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満員御礼2488人。最終戦での優勝決定戦といえ快挙。日本の野球熱は世界一だ。
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浅野翔吾の第3打席は死球を受け、6回最後の第4打席もショートゴロ。今日は快音なし。しかし、すごいのは三振しないこと。今日に限っては、たぶん空振りもゼロ。まだ18歳で異常なミート力。岡本和真と吉田正尚を足した選手になるかもしれない。
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試合は井上温大のワンマンショー。9回を投げて1安打完封。コースにズバズバ決める。1本の被安打もボテボテの当たりがショートの内野安打になったもの。実質ノーヒット・ノーラン。とても2軍のレベルの投手ではない。
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来週のファーム日本選手権ソフトバンク戦でも投げて欲しい。今日のピッチングができたら1軍でもローテ確実。
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優勝の直前、ブルペンから飛び出そうと準備していた横川凱。来年こそは1軍のローテーションを担ってほしい逸材。グリフィン、井上温大と左利きの三銃士を結成してほしい。
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優勝決定のボールをキャッチしたのは萩尾匡也。守備に華がある。あとはプロの一流の投手を打ち崩して門脇に追いついてほしい。
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真っ先に井上温大のもとに駆けつけた山瀬慎之助、菊田拡和。3人とも同じ22歳。浅野翔吾が日本一の野球選手になったとき、巨人が王朝を築くのに必要な仲間。
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歓喜の輪ができる。どのスポーツ、どのリーグ、どのチームであっても、この瞬間に立ち会える喜びは大きい。
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二岡智宏2軍監督は就任2年目で胴上げ。1人の選手交代なく動かざること山の如し。大将は座っているだけ。あるべき姿を見せてくれた。
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優勝セレモニーを見る間もなく東京ドームに移動。
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次に浅野翔吾を見るのは宮崎のフェニックスリーグか。18歳なのに、すでにチームの顔になっている。この雰囲気は松井秀喜が入団したときに似ている。ひとりの選手が巨人を変える。プロ野球を動かす。
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京王よみうりランド駅から調布で乗り換え京王線で新宿。すぐに総武線に飛び乗り16時過ぎに東京ドーム到着。スタメン発表に間に合った。
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三塁側のバルコニー席から。といっても実質は最も遠い外野席。球場の全体は見渡せるが選手との距離は遠い。ここで5000円は高すぎる。フリードリンクでコーラとオレンジジュースが飲み放題なのは唯一の救い。
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さすがに、ここまで声は聞こえないが存在感が違う。元気なオーラが出ている。
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WBCでコンビを組んだ坂本勇人も満面の笑み。うれしそうだ。
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この笑顔がチームを照らすキャプテンシー。良くも悪くも巨人は坂本勇人のチーム。
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引退試合は6番サードでスタメン。原監督も粋なことをする。
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同時にショート坂本も復活。やはり坂本勇人は遊撃が似合う。
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先発はフォスター・グリフィン。今年のジャイアンツ観戦は4月1日の開幕カードの中日戦、グリフィンの快投からはじまった。安心感は戸郷と並んで巨人でナンバーワン。
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ホットコーナーには熱男が似合う。やはり三塁はダイナミックに守ってほしい。
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岡本和真の守備はピカイチだが、こうして見るとファーストで良い。どっしり構える岡本には一塁が似合う。
その岡本は初回はショートゴロに倒れ、4回の第2打席も同じくショートへの併殺打。バッティングはともかく、やる気のない走塁には腹が立った。今日は調子が良くないかもしれないが、覇気がまったくない。第1打席を見ただけで、今日のノーヒットがわかってしまう。シーズンを通しての通算成績は飛び抜けているが、ムラがある男にはキャプテンは似合わない。
四球を2回選んで出塁し、ヒットも放った坂本勇人とは雲泥の差。坂本はスキャンダルは起こすが、グラウンドで手を抜くプレーは見たことがない。ジーターと同じくプレイボーイだが、キャプテンに相応しい。
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5回の最終打席。巨人のユニホームを着て東京ドームでホームランを打つことが夢だったが、結果はライトフライ。最後に歌舞伎ケンケン打法を見られてよかった。野球史に残る個性。
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熱男は6回の守備に就いたところで交代。メジャー流の花向け。
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選手をリスペクトする原監督らしい演出。
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綺麗なお辞儀、見事な引き際。
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松田に代わったのは門脇誠。やる気のない岡本と違い、全身から覇気に溢れている。プロ野球では「ドラフト4位の法則」と名選手を多く輩出している。 イチロー、山本由伸 、近藤健介、中村紀洋 、金本知憲 、青木宣親、前田智徳、和田一浩。ここに門脇も加わるだろう。
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なぜ門脇誠が1軍なのかわかる。 ボテボテのゴロでも「なんとしても塁に出る」という気迫がみなぎっている。 2軍の選手は打率や安打数など、成績や査定を気にしているように見えるが、門脇は「塁に出る」「ランナーを返す」ことに全集中しているように見える。起用する側は使いたくなる。
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グリフィンはコントロールは荒れているが、球威があるからボール球を振ってくれる。ランナーを出しても崩れることがない。エースの資質がある。
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今年のプロ野球を見て気づくのはキャッチャーの差で勝負が決まること。巨人の岸田がホームランの決勝点を放ったのに対し、ムーチョは絶不調。2三振でヒットなし。打てる捕手は球界全体の課題になっている。
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7回108球、被安打4、8奪三振、1四球と見事なピッチング。今年のジャイアンツ観戦はグリフィンで始まりグリフィンでしまった。来年は左のエース。
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試合後は熱男の引退セレモニー。野球には走、攻、守、「声」があることを教えてくれた。
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誰よりも流した汗が多いから、涙も止まらない。
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1日に巨人の胴上げを2回も見ることは二度とないだろう。
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東京ドームの23ゲートは「熱男GATE」と名づけるべきだ。
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帰りに𠮷牛を食べてから記憶がない。今年の夏に深夜バスで大阪⇨炎天下の甲子園(高校野球)2試合⇨大阪ドーム(プロ野球)のトリプルヘッダーでも平気だったが、巨人2連戦のほうが何倍も疲労する。特別好きなものを観るときはパワーを使う量が違う。1軍の試合を観るのは2024年。生まれ変わった新生ジャイアンツに出逢えるのを楽しみにしている。
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— YAMATO (@yamatoclimber) November 9, 2023
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